FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:海外市場休場で模様眺めムード強く売りやや優勢

前日の米国株安が嫌気されたほか、イースターで海外市場が休場となることから、模様眺めムードになった。新たな手掛かり材料に乏しく、ファーストリテイリングなど好決算を発表した銘柄は買われたものの、全体的には見送られた。半導体関連株などが売られ、一時下げ幅は380円を超える場面もあった。結局、前営業日比78円安の2万7093円と3日ぶりに反落して終了した。

 

東京外国為替市場:短期筋などによる仕掛け的なドル買い

ドル/円は、朝方に126.25円付近まで上昇したものの、上値を追う動きは鈍くなり、しばらくは126.20円前後で停滞した。鈴木財務相が『為替の安定は重要、急速な変動は望ましくない』と円安けん制発言したものの、従来発言の繰り返しだったことから、ドル/円相場への影響は限定的だった。本日は五・十日にあたり、仲値にかけて本邦輸入勢などのドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれ、13日につけた126.36円付近までドル買い・円売りが進んだ。仲値発表後もドル買い基調が続き、126.56円付近まで再度高値を更新した。海外市場がイースター休暇入りしていることから、市場が閑散となっているところに短期筋などによる仕掛け的なドル買い・円売りが持ち込まれたことも、ドル/円相場上昇要因の一つとなった。その後は、一定の高値警戒感も広がったことから、小幅に値を下げ126.30円台を中心とする狭いレンジで取引された。午後は、海外勢のイースター休暇や週末を控えて、ポジション調整の売り買いに終始する参加者が多く方向感が出ず、126.30円台を中心とするレンジで取引された。何度か新値付けをトライしようとする値動きがあったものの、参加者が少ないことから追随がなく、ことごとく失速した。なお、本日は岸田首相の『日銀の政策は為替誘導のために行われているもではない』との発言も伝わっていたが、ドル/円相場への影響は限定的だった。ユーロ/ドルは、欧州勢の多くがイースター休暇に入ることで、参加者が極端に少なかったため、1.08ドル台前半でこう着した。

 

ウクライナでは22年3割超の減少:ウクライナ中銀

ウクライナ中銀は、ロシアの侵攻により今年のGDPは少なくとも3分の1減少し、インフレ率は20%を超える可能性があるとの見通しを示した。一方、現時点では固定為替相場の維持がなお重要としながらも、通貨市場の均衡が取れ次第、変動相場制に戻す方針と説明している。

 

ECBは政策金利据え置き:早期利上げ観測が後退

欧州中央銀行(ECB)は定例理事会で市場の予想通り政策金利据え置きを決定した。資産購入プログラムを第3四半期に終了する可能性が高まったと指摘したほか、量的緩和策の終了後しばらくして利上げに踏み切る方針を表明した。ラガルド総裁はその後の会見で、ウクライナ戦争が欧州経済に著しいリスクとなり、不透明性が非常に高いと慎重姿勢を強調した。また、量的引き締め(QT)に関する言及は時期尚早との見方で、米国経済とは相違すると述べ、タカ派色が予想されていたほど強くなく、早期利上げ観測の後退した。

 

トルコ中銀は政策金利を据え置き:インフレの見通しは楽観的

トルコ中銀・金融政策委員会(MPC)は14日、政策金利を14.00%で据え置くことを決定した。4会合連続の据え置きは市場の予想通りだった。声明では物価上昇のペースはいずれ鈍化すると、これまでと同じ『楽観的な』見通しを示した。今後リラの上値を抑えそうな要因は、やはりウクライナ情勢の悪化。中銀声明では、今後インフレが抑制される理由として『進行中の地域紛争の解決』を挙げている。しかしながらプーチン露大統領は強硬な姿勢を崩さず、現状ではウクライナとロシアの戦闘激化は避けられそうにない。トルコ中銀MPCの見方は、あまりにも期待感が先行し過ぎている。

 

南アでは大雨による洪水:今後の経済指標に注意

今週に南ア東部クワズールナタールの一部を襲った大雨による洪水の影響で、南アのトヨタ工場が操業停止となっている。洪水による被害が今後も深刻になる可能性もあり、今後の経済指標にも要注目である。

 

メキシコの政策金利は年末には7.75%か

市場調査会社フィッチ・ソリューションズは、『中南米地域の中央銀行はインフレ圧力の高まりを受け、積極的な利上げサイクルを今後数カ月に渡って延長することになる』と予想している。また、メキシコ銀行(中央銀行)も年末までに追加で125bpの利上げが実施されるとしている。メキシコの政策金利は現在6.50%なので、今年の年末には7.75%まで上昇する計算となる。

 

米FRB高官の相次ぐタカ派発言:急速な金融引き締めに傾斜

米国のインフレがピークに近いとの見方も浮上する中、FRBの高官はFRBの金利を中立水準に引き上げる必要性を強調した。ウォラー理事もCNBCとのインタビューで、インフレはピークに達したとの認識で、今後、減速するとの見通しを再確認した。ただ、インフレを目標の2%に引き下げるため5月FOMCでの0.5%ポイントの利上げのみならず、6月、7月も同ペースで追加利上げの必要性を指摘した。パンデミック以降、政府の支援策も加わり世帯の貯蓄が膨らんでいるため今後も消費の伸びに期待でき、経済が積極的な利上げに耐えうるに十分な程強く、高インフレに対処する良い機会だと訴えた。また、景気後退入りを回避できると自信を表明。2022年の連邦公開市場委員会(FOMC)投票権を有するブラード・セントルイス連銀総裁は、英フィナンシャルタイムズとのインタビューで、緩やかな利上げでインフレが抑えられると思うのは『幻想』、との考えを示した。成長を抑制する水準まで利上げする必要性を強調し、やはり、5月FOMCでの50ベーシスポイントの利上げに続き、急速な引き締めが必要との考えを示している。

 

1年以内の景気後退確率が28%:ゴールドマン・サックス

ゴールドマン・サックスは14日付リポートで、『インフレ率の上昇、新型コロナウイルスの回復による成長の鈍化、および歴史的に厳しい労働市場のため、投資家の間でスタグフレーション(インフレと景気後退が同時に進行)の懸念が依然として高い。そして、米連邦準備理事会(FRB)が1990年以降で最も急な利上げサイクルの一つに乗り出したことで、景気後退リスクへの懸念も高まっている』と指摘している。景気先行指標や一致指標を分析すると、景気敏感に対するディフェンシブのバリュエーション(投資尺度)、米2年債と10年債の利回り曲線などに強気と弱気の混同したメッセージを送っている。市場が示唆する景気後退確率の現在の水準は20~30%であり、歴史的には12カ月以内に28%の割合で景気後退が起こるとも分析した。リセッション(景気後退確率)確率が60%を超えた場合にのみ、12カ月以内にリセッションが発生しない事例はほとんどなかったという。市場が暗示する景気後退の可能性は助けになるが、早すぎる売却はポジティブな株式リターンの放棄を意味することから、景気後退前後の市場タイミングは明らかに難しいとしつつ、『資産配分では株のオーバーウエート株を維持するが、低確率でも影響が大きいテールリスクのヘッジによるリスク管理に注力する』との見解を示した。

 

欧米市場イベント

○15:45   3月仏消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比1.4%/前年比4.5%)
○21:30   4月米ニューヨーク連銀製造業景気指数(予想:1.0)
○22:15   3月米鉱工業生産指数(予想:前月比0.4%)
          設備稼働率(予想:77.8%)
○16日05:00   2月対米証券投資動向
○聖金曜日の祝日(グッドフライデー)で豪州、NZ、香港、シンガポール、インド、ドイツ、スイス、フランス、スウェーデン、ノルウェー、南アフリカ、英国、カナダ、メキシコ、ブラジルなど休場。米国は株式・債券・商品市場が休場。

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