FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:外部環境の落ち着きを好感した買い優勢

前日の米国長期金利低下や米ハイテク株高を好感した。外部環境が落ち着いているほか、米消費者物価指数(CPI)、卸売物価指数(PPI)など注目されていた指標の発表を通過し、投資家の警戒ムードが和らいだ。また、中国当局による金融緩和などの政策期待で米国株先物やアジア株もしっかりとした流れとなり、日経平均はじりじりと上値を伸ばす展開になった。市場では、米国金利低下など外部閑居の落ち着きに加え、投資家心理も改善した。ただ、イースター休暇を控え、売り方の買い戻しが進行したとの声が聞かれた。4月第1週(4日~8日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家(外国人)は6857億円買い越しとなり、買い越しは2週連続となった。個人投資家は2951億円の買い越しとなり、買い越しは2週連続となった。信託銀行は4930億円の売り越しとなり、売り越しは2週連続となった。

 

東京外国為替市場:米長期金利の低下を眺めドルの上値が重い

ドル/円は、シドニー市場のドル売り・円買いの流れが続き、開始直後に一時125.21円付近まで下値を広げた。その後は、日経平均株価が堅調なことでドル買いは戻され、125.40円台まで反転した。さらに、仲値にかけて本邦輸入勢などのドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれ、125.58円付近まで上値を伸ばした。ただ、仲値発表後に、国内輸出企業などのドル売り・円買いも見られ、125.30円台へと下落し、行って来いの展開になった。午後は、米長期金利が低下したことで、日米金利差縮小を意識したドル売り・円買いとなり、一時125.10円付近まで値を下げた。当局が神経質になっていることは市場心理を圧迫しており、円を売りづらい雰囲気が広がった。ユーロ/ドルは、今晩予定されているECB定例理事会を控えて、ポジションを一方向に傾けにくいことから、様子見ムードが広がり、1.09ドル台前半でもみ合いとなった。

 

欧州市場では欧州中央銀行(ECB)理事会:主要政策金利は据え置きの公算

ロシアのウクライナ侵攻を受け、経済見通しに対するリスクは大幅に増大した。ECB理事会はインフレ率が中期的に目標の2%で安定するとの基本シナリオを維持しているが、ウクライナでの戦争は、供給サイドの制約を再び悪化させる可能性があることから、利上げ時期が多少早まる可能性は残されている。

 

スタグフレーションへの懸念:運用者は景気悪化の表面化に身構え

エネルギー危機と中央銀行のタカ派傾斜が主要国経済を1970年代のようなスタグフレーションに陥らせる。現時点でこの可能性は高くはないが、特に欧州の運用者の間でこのシナリオについて懸念が高まっている。今月のバンク・オブ・アメリカ(BofA))のファンドマネジャー調査によると、経済成長を巡る楽観は過去最悪に落ち込んだ。スタグフレーションの予想は66%と2008年以来の高水準に上った。米国の3月インフレ率は1981年以来の高さだった。運用者は景気悪化の表面化に身構えており、欧州の運用会社でその傾向が強い。

 

トルコ中銀・金融政策委員会では政策金利の発表:声明文に注目

トルコ中銀・金融政策委員会(MPC)では、『政策金利、14%で据え置き』を4会合連続で決定することが確実視されている。ただ、足元のインフレ加速度はMPCの想定を超えているはずであり、(大統領の意向で)利上げが出来ないにしても『緩和サイクル休止の延長』を話し合っていてもおかしくはない。インフレ高進への警戒感も含めて、声明文に何かしら明示されるか注目される。一方でMPCがこれまで通り、年後半にかけてのインフレを楽観視している可能性もある。資源価格高騰の原因である露ウクライナ戦争の出口が見えないにもかかわらず、インフレ抑制の手立てなしとなれば、当然ながら市場の失望を誘うことになる。

・20:00 トルコ中銀、政策金利発表(予想:14.00%で据え置き)

 

南アが運用先として安全な避難所としての魅力増加

ここ最近のランド買いの一因としては、南ア債の入札が好調なこともある。南ア財務省によると、英国、北米、ヨーロッパ、アジア、アフリカのファンドマネージャー、年金、ヘッジファンド、銀行など、さまざまな投資家が関心を示していると発表している。また、ウクライナへの侵攻により南アフリカの交易条件の見通し改善、財政状態の改善、および他の新興市場(特にロシアやトルコなど)と比較した場合の相対的な『安全な避難所』としての魅力も要因とされている。なお、昨日発表された南アの小売売上高が市場予想よりも弱く、前年同月比ではマイナスとなった。2月末からロシアのウクライナ侵攻もあることで、3月も伸び悩むと、インフレと景気停滞が同時に進む、スタグフレーションが懸念される。

 

米3月PPIは過去最大の伸び:インフレが3月でピークとの見方も

米3月生産者物価指数(PPI)は前月比+1.4%となった。伸びは2月+0.9%から予想以上に拡大し少なくとも2009年以降で最大を記録した。前年比でも+11.2%と、2月+10.3%から予想以上に伸びが拡大した。また、変動の激しい食料や燃料を除くコア指数は前月比+1.0%と、2月+0.4%から予想以上に伸びが拡大し、過去最大となった昨年7月に並んだ。また、前年比では+9.2%と、2月+8.7%から伸びが拡大しやはり過去最大を記録した。ただ、コアCPIが鈍化の兆しを見せたため、インフレが3月でピークとの見方も根強く、金利は低下した。 

 

米国市場では3月小売売上高が公表:予想は前月比+0.6%

2月実績は前月比+0.3%だった。ガソリンスタンドとフードサービスの販売が主に増加した。個人消費意欲はまずまず堅調との見方はあるものの、インフレ高進の影響は無視できないため、ガソリンスタンド、フードサービスを除く部門の売上が伸び悩んだ場合、全体の売上高は予想下回る低い伸びにとどまる可能性がある。

 

欧米市場イベント

○15:00   3月スウェーデン消費者物価指数(CPI、予想:前月比1.3%/前年比5.6%)
        コア指数(予想:前月比1.3%/前年比5.6%)
○15:30   3月スイス生産者輸入価格
○20:00   トルコ中銀、政策金利発表(予想:14.00%で据え置き)
○20:45   欧州中央銀行(ECB)定例理事会、終了後政策金利発表(予想:0.00%に据え置き)
○21:30   ラガルドECB総裁、定例記者会見
○21:30   2月カナダ製造業出荷(予想:前月比3.6%)
○21:30   2月カナダ卸売売上高(予想:前月比0.9%)
○21:30   3月米小売売上高(予想:前月比0.6%/自動車を除く前月比1.0%)
○21:30   3月米輸入物価指数(予想:前月比2.3%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:17.1万件/150.0万人)
○23:00   2月米企業在庫(予想:前月比1.3%)
○23:00   4月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値、予想:59.0)
○15日04:50   メスター米クリーブランド連銀総裁、討議に参加
○インド(ジャイナ教マハビラ生誕日)、ノルウェー、メキシコ(聖木曜日)、休場

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