FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:全体的に自律的な切り返し

米国株安、予想を下回る機械受注など悪材料が重なったものの、前日までの動きが下げ過ぎとの警戒感も生じ、全体的に自律的な切り返しに転じた。また、米長期金利の上昇に一服感が出たことで、グロース(成長)株を中心に買いが入った。中国経済の先行きを巡る過度な警戒が後退したとの見方から、海運や機械といった景気敏感銘柄の一部にも買いが集まった。結局、前営業日比508円高の2万6843円と3営業日ぶりに反発した。信用評価損益率は8日申し込み時点でマイナス12.7%と、前の週のマイナス11.94%からマイナス幅が0.76ポイント悪化した。悪化は2週連続となった。

 

東京外国為替市場:米長期金利が上昇していることでドル堅調推移

ドル/円は、日経平均株価が堅調なスタートとなったことを好感してドル買い・円売りが先行し、125.55円付近まで上昇した。その後も、仲値にかけて本邦輸入勢などのドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれ、125.64円付近までじり高となった。米長期金利が上昇したこともドル買い・円売りを促した。仲値発表後に上値を125.65円まで伸ばしたものの、その後は利益確定やポジション調整のドル売り・円買いに押され125.40円台へと上げ幅を縮めた。午後のドル/円は、米長期金利が緩やかに上昇を続けていることで、ドル買い基調となり、125.40円台から125.73円付近まで値を上げた。日経平均株価が堅調なこともドル買い・円売りを促した。ただ、11日付けた125.77円が意識されると、上値が重くなった。その後は、米3月卸売物価指数(PPI)の結果を見極めたいとの雰囲気もあり、125.60円台を中心とするレンジで小動きとなった。ユーロ/ドルは、1.083ドル台を中心とする狭いレンジの展開になった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

日銀は来年末まで政策変更なしと予想:UBS証券

UBS証券は13日付のリポートで『メインシナリオは、来年末まで政策変更はなし』との見解を示した。リポートでは、今後、消費者物価指数(CPI)のインフレ率が約2%にまで上昇するものの、日銀の金融政策は変更はないと想定するとしながら、『この見方は今年2月から変更ない。しかし、3月半ば以降の急速な円安と米国における更なる金利上昇がこの見方を揺るがしている』と指摘している。日銀が動かない4つの理由として、①円安が日本経済にとって差し引きプラスになると日銀が述べている、②度重なるコロナ感染症の波により日本の経済回復は停滞しており、マイナスの需給ギャップが依然大きい、③インフレの主因はエネルギーと食料であり、これは国内総生産(GDP)成長率にマイナス要因となることから、2%のインフレ率は持続不可能とみられる、④現在の政策金利に関するフォワードガイダンス『円安が急すぎると判断すれば、財務省による円買い介入もあり得るだろう』とみている。

 

欧州市場では2月ユーロ圏鉱工業生産が公表:予想は前月比0.0% 午後6時発表

1月実績は前月比で横ばいとなった。非耐久消費財の生産は増加したが、耐久財、鉄鋼などの中間財、機械などの資本財は減少した。2月については非耐久消費財の生産水準はあまり変わっていないこと、資本財の生産が大幅に増加することは期待されていないことから、前月比で横ばいとなる可能性がある。

 

強引なトルコリラ支え策持続性に疑問も

『トルコ国会で与党・公正発展党(AKP)が外貨をリラに交換した企業に対する税制優遇措置の延長法案を提出した』と報じられ、リラ需要の高まりを期待した買いが入った。一部報道によればトルコ当局は、輸出企業に義務付けていた『外貨収入の25%を中銀に売却(リラ購入)』について、その割合を50%まで拡大を検討している。前述した税制優遇措置や、昨年末に導入した定期預金の保護策もそうだが、リラ支援策が力尽く過ぎる感は否めない。足元でのリラ相場は確かに底堅くはあるが、1年前との比較では、対ドルでまだ約44%も価値を落とした水準である。エルドアン政権の強引なリラ支え策は財政的にも長く続けられるわけもなく、急に梯子を外される可能性もあるということは念頭に置いておく必要はある。

 

南アランドはコモディティ価格の動向に振れる展開

南アからもネガティブなニュース(弱い製造業生産、電力負荷制限再開など)が出ているが、市場はほぼそれらのニュースには反応が鈍いままである。また、ネガティブなニュースよりもロシアのウクライナ侵攻で、コモディティ価格などが基本的には買い地合いが続くと見込まれていることのほうが、ランド市場には大きな影響を与えていると言える。本日は南アの2月小売売上高が発表される。前年比では1.1%程度の上昇が予想されている。来週の2月消費者物価指数(CPI)ではランドも動意づきそうだが、小売売上高でランド相場が上下することを期待するのは難しい。

 

メキシコでは国民投票で大統領の続投を支持

メキシコでは10日、ロペスオブラドール大統領の解職の是非を問う国民投票が実施され、90%超が大統領の続投を支持したことが明らかになった。この国民投票は大統領が積極的に推し進めて実施されることになったわけだが、投票率自体が全体の20%を下回っており、野党側は大統領のパフォーマンスに過ぎないと批判している。

 

米3月CPIコア指数の鈍化でインフレピーク期待

米労働省が発表した3月消費者物価指数(CPI)は前月比+1.2%と、予想通り2月+0.8%から伸びが拡大し2005年9月以降17年ぶり最大となった。前年比では+8.5%で、伸びは2月+7.9%から予想以上に拡大し、1981年12月以降ほぼ40年ぶり最大となった。食料品やエネルギー価格の上昇が押し上げた。また、CPIの3分の1を占める家賃の伸びは前月比+0.5%、前年比で+5%と、1991年5月来で最大の伸びとなった。一方で、中古車価格の値下がりが、物価上昇を抑制した。パンデミック以降、物価を押し上げてきた中古車・トラックは前月比-3.8%、前年比では+35.3%と依然大幅高だが、上昇が一段落し始めた可能性がある。米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ指標として注視している変動の激しい食料やエネルギーを除いたコアCPIは前月比+0.3%と、予想外に2月+0.5%から鈍化し昨年9月来で最低になった。前年比では+6.5%と、2月+6.4%から拡大し1982年8月以降40年ぶり最大の伸びを記録したものの、予想は下回った。
コア指数は鈍化の兆しを見せたが食料品やエネルギー価格が下げ止まる兆候は見られず、一段の上昇が警戒される。また、高インフレが家計を圧迫している証拠が見られつつあり、いずれ消費鈍化にもつながる。

 

ブレイナードFRB理事は前回に比べタカ派色弱める

米連邦準備制度理事会(FRB)の副議長指名のブレイナード理事は、コアCPI指数の低下を歓迎すると述べた。しかし、インフレは高過ぎるとの見解で、中国のロックダウンやウクライナ戦争がインフレの上方リスクになると見ている。利上げのペースに焦点を当てたくないとし、FRBは金融政策を入念に引き締めていくとの言及にとどめ、利上げ幅に関する言及を避けた。また、バランスシート縮小に関しては早くて5月に決定し、6月から開始する可能性があると指摘した。理事の発言は、前回に比べタカ派色が若干弱まった。

 

欧米市場イベント

○15:00   3月英消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.8%/前年比6.7%)
○15:00      CPIコア指数(予想:前年比5.3%)
          小売物価指数(RPI、予想:前月比0.9%/前年比8.8%)
○15:15頃   黒田東彦日銀総裁、あいさつ(第97回信託大会)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○20:00   2月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比1.1%)
○21:00   2月ブラジル小売売上高(予想:前年同月比▲1.1%)
○21:30   3月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比1.1%/前年比10.6%)
       食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.5%/前年比8.4%)
○23:00   カナダ銀行(BOC、中央銀行)、政策金利発表(予想:1.00%に引き上げ)
○23:30   EIA週間在庫統計
○24:00   マックレムBOC総裁、記者会見
○14日02:00   米財務省、30年債入札

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