FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:自立反発狙いの買いが下支え

朝方は米国株高を好感し反発したが、その後は米国株先物やアジア株のさえない値動きが重石となり、徐々に値を消す展開となった。米長期金利の上昇、ウクライナ情勢など、複数のさえない外部要因が嫌気されたほか、週末相場の手仕舞い売りも先行した。来週は、米国や中国で3月消費者物価指数(CPI)、生産者物価指数(PPI)などの発表が予定されていることから、様子見ムードが強まった。ただ、前日までの下げが急ピッチだったため、自立反発狙いの買いが入って相場を支えた。結局、前営業日比97円高の2万6985円と3日ぶりに反発して終了した。

 

東京外国為替市場:123.90円を中心とする狭いレンジ取引

ドル/円は、本邦輸出勢などから継続的にドル売り・円買いが持ち込まれ、123.67円付近まで下落した。元日銀理事の早川氏が『日銀は早ければ今夏にもイールドカーブコントロール(YCC)政策の弾力化に動く可能性がある』との見解を示したことも、円買いにつながった。ただ、このところ米FRB当局者からタカ派的な発言が相次ぎ、日米金融政策スタンスの違いが鮮明になっていることから下値を追う動きは限られた。その後、本邦輸入勢などがドル買い・円売りに動き、123.95円付近へ値を持ち直した。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、123.90円台を中心とする狭いレンジで取引された。今晩の米株価動向を見極めたいとのムードが広がった。ユーロ/ドルは、10日に行われる仏大統領選の第1回目投票を前に極右政党ルペン候補の支持率が現職のマクロン候補を猛追しているため、同国の政局先行きを警戒したユーロ売り・ドル買いが入り、1.08ドル台後半から1.0855ドルふきへ下落する場面があった。

 

材料出尽くしが近づき金利差からの円安圧力はピークが近いか:野村証券

ドル/円が125円台に乗せた後、3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨で量的引き締め(QT)の方針が示されたものの、上値の重い展開となっている。野村証券は8日付の国際金融為替フラッシュのリポートで『米国でバランスシート縮小の方針が明らかになったことで、当面の米国の金融政策正常化は材料出尽くしが近づき、米日金利差面での円安圧力はピークが近づいていよう』との見解を示した。リポートでは『しかし、今週は豪州準備銀行(RBA)のタカ派化が明確になるなど、全体として見れば海外での金融政策正常化の機運は強まっている』とも指摘した。来週には13日のカナダ銀行(BOC)、およびニュージーランド準備銀行(RBNZ)の金融政策、14日の欧州中央銀行(ECB)理事会を控えていることを踏まえ、『BOCは50bp利上げの公算が大きい。ECBもタカ派化の公算が大きく、クロス円主導での円安圧力が高まる可能性がありそうだ』とも指摘した。来週後半に欧米でイースターを控える中、ECB理事会後には持ち高調整による円買い戻しが広がる可能性もあるとみていた。

 

中国減速で4月の日本株買いシナリオに黄信号:JPモルガン

JPモルガンの8日付リポートで、足もとの日本株の軟調さは米連邦準備理事会(FRB)による引締め強化のみならず、中国・上海のロックダウンが長期化している点も関係していると指摘した。日経平均のザラ場時間帯のリターンは中国株のすう勢に影響を受けやすとの見方が示されている。リポートでは、中国景気下振れへの不安感が日本市場における中国向け売上比率の高いシクリカル銘柄などの回復を鈍らせている可能性があるほか、一部の海外投資家は中国株ダウンサイドに備えたヘッジとして、日本株でショートを構築していた可能性があるとも指摘している。さらに、上海のロックダウンが長引くほど外需銘柄での上値追いに慎重にならざるを得ないことから、『4月の海外勢による日本株買いシナリオ』が期待したほど鮮明化しないリスクがあるとし、フローの一部は外需を避け、リオープン観測を拠り所に『一部の内需銘柄を消去法的ながらも選好している』との見方も示された。

 

ロシアのデフォルトと欧州内の不協和音

米国政府が米国の中継銀行に対してロシアのドル建て国債の支払い禁止を命じたことを受け、ロシア政府はドルでの支払いを断念し、支払い相当額のルーブルを特別口座に保管する方針。猶予期間が終わる30日以内にドルでの支払いが行われない場合や、ルーブルでの支払いが執行された段階で、デフォルトと認定される可能性が高い。
 欧米がロシア向けの追加制裁を打ち出すなか、ハンガリー政府がEUの方針に反し、ロシア産のガス輸出代金をルーブルで支払うことを示唆。欧州委員会が法の支配の原則に違反するとし、同国向けのEU予算の停止手続きを開始したことに対抗した可能性がある。今後のロシアへの追加制裁の決定を巡っては、ハンガリーとEUの間の対立が影を落とす恐れがある。

 

トルコ中銀による4月の市場参加者調査結果の発表

トルコでは足もとのインフレ率が60%台を超えてきており、複数の米投資銀行も年後半まで高止まりするとの見通しを示している。そういったなか本日は、トルコ中銀による4月の市場参加者調査の結果が発表される。前回調査では、インフレ予測の中央値が年末は40%半ば、1年後が26%半ばだった。リラ相場への影響は限定的と思われるが、主要な市場参加者がどの程度まで物価の上振れを見込んでいるのかが参考になる。

 

海外投資家がトルコの不良債権購入に関心

一部通信社は、海外の資産運用会社や銀行がトルコの不良債権購入に関心を示していると報じた。記事によれば、現在トルコの銀行は大幅に延滞しているローンを500億リラ以上、くわえて不良債権を約1600億リラ抱えている。昨年末の規制緩和により、非居住者もそれら債権に投資できることになった。ロシアへの経済制裁が強化されるなかで、同国から流出した資本が行き場を探しているということも、トルコにとっては追い風になっている。

 

米国の労働市場のひっ迫を新たに証明

米先週分新規失業保険申請件数は16.6万件と、前回から予想外に減少し、1968年来で最低となった。労働市場のひっ迫を新たに証明した。パウエル議長は、労働市場が不健全な程ひっ迫していると見ており、速やかな引き締めが必要となる理由として挙げている。 米連邦準備理事会(FRB)が6日に公表した3月開催分の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で、多くの高官が50bpの利上げを主張したが、ウクライナ戦争が不透明感を生んだため25BPにとどめたことが明らかになった。ただ、多くの高官が年内1回以上50BPの利上げが正当化される可能性を主張した。また、バランスシート縮小ペースでは米国債が600億ドル、住宅ローン担保証券が350億ドルと、各月950億ドル規模の縮小が適切となるとの見解で合意した。2017-19年のペースの2倍で、保有資産を1.1兆ドル減らす。

 

欧米市場イベント

○17:00   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○17:10   センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演
○18:30   3月南アフリカSACCI企業信頼感指数
○20:15   パネッタ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○20:30   ストゥルナラス・ギリシャ中銀総裁、マクルーフ・アイルランド中銀総裁、ヘロドトゥ・キプロス中銀総裁、講演
○21:00   3月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA、予想:前年同月比11.00%)
○21:30   3月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化8.00万人/失業率5.3%)
○23:00   2月米卸売売上高(予想:前月比0.8%)
○9日01:00   10-12月期ロシア国内総生産(GDP)速報値(予想:前年比5.0%)
○9日01:00   3月ロシアCPI(予想:前月比7.8%)
○10日 仏大統領選第1回投票

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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