FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米FRBの金融引き締めを警戒した売り優勢

前日の米国主要株価3指数が続落したことに連れて日経平均株価も寄り付きから弱含みで推移した。米長期金利が上昇する中、幅広い銘柄が売られ、心理的節目2万7000円を下回った。特に値がさのハイテク株や株価収益率(PER)の高い銘柄の下落が指数の重石となった。3月18日以来、およそ3週間ぶりに2万7000円を下回った。米FRBが金融引き締めを積極的に進めるとの観測から、リスク回避の売りが優勢となった。結局、前営業日比461円安の2万6888円と続落して終了した。3月第5週(28~1日)の投資部門別株式売買動向によると、海外投資家(外国人)は3603億円の買い越しとなり、買い越しは6週ぶりとなった。個人投資家は915億円の買い越しとなり、買い越しは3週ぶりとなった。信託銀行は1787億円の売り越しとなり、売り越しは3週ぶりとなった。

 

東京外国為替市場:日米金融スタンスの違いからドルの下値は限定的

ドル/円は、日経平均株価の大幅安や米長期金利低下を背景にドル売り・円買いが先行し、123.47円付近まで下落した。しかし、日米金融スタンスの違いが明確になっているもともあり、下値を追う動きは限られた。その後は、米FRB当局者によるタカ派的な発言が相次ぎ、米国の金融引き締めが加速するとの思惑からドルの押し目買いが見られ、123.70円付近へ持ち直した。午後は、手掛かり材料難から積極的な売り買いは目立たず、123.70円前後で方向感に乏しい値動きが続いた。今晩の米国株価動向や米経済指標を見極めたいとのムードが広がった。ユーロ/ドルは、米長期金利の上昇が一服していることで、ポジション調整などのユーロ買い・ドル売りが入り、1.0920ドル付近へ値を上げた。

 

本邦3月末外貨準備高は前年同月比で減少

財務省は7日、3月末の外貨準備高が1兆3560億7100万ドルだったと発表した。前年同月末に比べ、123億9400万ドル(0.9%)減少した。米国債の金利上昇(価格は下落)などにより保有債券の時価評価額が減少したことに加え、ユーロが対ドルで相場で下落したことによるユーロ資産のドル換算額が減少したことなどが影響した。前月比では285億200万ドル減少した。債券の利息収入や金価格の上昇で保有する金の時価評価額が増加した一方、ユーロの対ドル相場下落でユーロ資産のドル換算額が減少した。

 

欧州市場では2月ユーロ圏小売売上高が公表

1月実績は前月比+0.2%の小幅な伸びにとどまった。インフレ進行の影響が出ている。ネット通販も低調だった。2月については、高インフレの影響が引き続き残ること、食品や飲料の販売は伸び悩んでいることから、売上高の伸びは1月実績を下回る可能性がある。

 

トルコの観光業は不調でも軍需関連は好調

一部通信社が報じたところによると、1-3月期のトルコ防衛産業によるウクライナへの輸出額は5900万ドルを超えたようである。これは前年同期比の約30倍になる。ウクライナとロシアの戦争は、トルコの観光業にとってはかなりの痛手だが、軍需関連企業にとっては収益に繋がっている。

 

南アでは燃料価格の改定で今後の経済の変化に注意

6日より南アの燃料価格が引き上げられた。もっとも税率は下げており、国内の混乱は現時点では避けられている。ただ、同じ商品や食品を手に入れる場合でも、ガソリン代を負担して行くよりも、デリバリーの方が安価で買えるという考え方も広まっている。燃料価格の改定で今後、南アの経済動向に変化が出てくるかもしれない。本日も引き続き南アからの経済指標や政治イベント等も主だったものがないので、コモディティや株式市場の値動きを見ながらの取引になる。

 

ロシアのデフォルトリスク再浮上

米国政府はロシア向けの金融制裁の運営を強化し、ロシアが米国の金融機関に保有するドル資金を使ってドル建て国債の支払いを行うことを禁止した。4日に期限を迎えた元利払いは履行されなかった模様で、30日の猶予期間中にロシアが手元のドル資金で返済を履行しない限り、1998年以来の国債デフォルトとなる。仮に返済を履行した場合も、ロシアの債務返済は綱渡りが続く。特例措置が期限を迎える5月25日以降に、米国の金融機関がロシアの債務返済に関連した業務を継続できるかが次の焦点となる。

 

FOMC議事要旨の内容はタカ派:ブレイナードFRB理事の発言を裏付ける

ブレイナードFRB理事の発言を受けて、市場としてはある程度の覚悟をした上での3月FOMC議事要旨だったが、内容は思っている以上にタカ派的だった。先ず、0.25%の利上げについては、声明文ではブラード米セントルイス連銀総裁1人が反対票を投じたことのみ判明していたわけだが、実は『多数のメンバーが0.5%利上げを支持していたものの、ロシアのウクライナ侵攻を受けて0.25%に修正した』という内情が伝わってきた。また、5月FOMCでも正式に開始が決定される見通しとなっているBSの縮小、いわゆる量的引き締めについても『月額で米国債600億ドル、MBS350億ドルの950億ドルを上限として減額していく』方針であることも判明した。前回2017年のQTでは月額500億ドル程度だったことから、ほぼ倍額の減額ペースということ。前日のブレイナード発言を裏付ける内容だったことが分かる。

 

米国では高インフレ時代より深刻

現在の米10年債利回り2.5%と7.9%CPI(消費者物価)のギャップ5.4%は1970年代初頭の第1次石油危機時の4.7%や1980年代初頭の第2次石油危機時4.5%の高インフレ時代より深刻な高インフレを彷彿とさせる。つまり、多くの識者が予想するFF金利3%水準へのメジャード利上げで退治できるような生易しいインフレではない可能性が高く、5-6月FOMC連続0.5%利上げもまた政治問題化した40年ぶり高インフレ退治へのFRBの脱『behind the curve』戦略に他ならない。(※景気や物価の上昇に対して、意図的に利上げのタイミングを遅らせる金融政策のこと。FRB(連邦準備制度理事会)が伝統的にとるハト派寄りの金融政策として知られている。)

 

スーパーサイクル12年周期の上昇局面?:10年のインフレ時代到来

米FRBの『インフレ一過性』論が大外れした今、過去100年間で4回あったコモディティ『スーパーサイクル』の上昇12年相場の始動が注目される。1996年に始まった前回のスーパーサイクルは拡大の12年後の2008年の世界金融危機と共にピークを迎え、12年の下落を経て2020年に底を打ち、新しいスーパーサイクルの12年周期の上昇局面に『プーチンの戦争』や火山大噴火による寒冷化が掉さし、向こう10年のインフレ時代の到来を告げようとしている。

 

欧米市場イベント

○14:45   3月スイス失業率(季節調整前、予想:2.4%)
○15:00   2月独鉱工業生産(予想:前月比0.2%/前年同月比3.7%)
○18:00   2月ユーロ圏小売売上高(予想:前月比0.5%/前年比4.8%)
○20:00   3月メキシコCPI(予想:前年比7.36%)
○20:30   ECB理事会議事要旨(3月10日分)
○21:15   ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:20.0万件/131.1万人)
○22:00   ブラード米セントルイス連銀総裁、討議に参加
○8日03:00   ボスティック米アトランタ連銀総裁、エバンズ米シカゴ連銀総裁、討議に参加
○8日04:00   2月米消費者信用残高(予想:166.5億ドル)

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