FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米国株高の流れを引き継いで堅調推移

前日の米国市場でのハイテク株高の流れを引き継いで堅調な推移となった。一方、ウクライナ情勢への警戒感も継続した。半導体関連や電子部品、グロース(成長)株を中心に買い戻す動きが目立った。また、ドル/円が堅調に推移する中、自動車など輸出関連もしっかりだった。前日までの5営業日で1400円超下げていた後とあって、買いが入りやすかった。結局、前営業日比505円高の2万6476円と反発して終了した。2月第3週(14日~18日)の投資部門別株式売買動向で、海外投資家(外国人)は32億円の買い越しとなった。買い越しは6週ぶりだった。個人投資家は16億円の買い越しとなり、買い越しは3週ぶりだった。また、信託銀行は1890億円の買い越しとなり、買い越しは4週連続となった。

 

東京外国為替市場:利益確定や持ち高調整によりドルの上値が重い展開

ドル/円は、ウォラー米FRB理事が講演で『雇用や物価のデータが強い場合は、3月会合で0.50%の利上げが有力な選択肢となる』と発言すると、ドル買いが強まって115.62円付近まで上昇する場面があった。しかし、前日のNY市場でつけた高値115.69円が意識され、追随する動きは見られなかった。その後、週末を控えた利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いに押され、115.25円付近へ下落した。一部メディアが『ウクライナの首都キエフで複数の爆発音があった』と報じたことも、円買いを誘った。午後に入っても軟調地合いは続き、115.15円付近まで値を下げた。ただ、今晩の米国株動向やウクライナ情勢の続報を見極めたいとの雰囲気もあり、下げは一服した。その後は、日経平均株価の上げ幅拡大を眺めてドル買い・円売りも見られ、115.20円を挟んでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、前日の海外時間に急落した反動から、利益確定やポジション調整のユーロ買い・ドル売りが持ち込まれ、一時1.1230ドル付近まで上昇した。

 

ロシアのウクライナ侵攻でも落としどころが重要

ロシア・プーチン政権によるウクライナ『侵攻』を受け、ウクライナ問題は深刻化している。欧米は経済制裁の強化に動くも現時点では『決定的』なものは避けられているが、事態が一段と深刻化すれば苛烈な制裁に動く可能性は残る。米ドル決済停止は『抜かずの宝刀』とみられるが、今後はロシア経済の『体力』に注目が集まろう。過去の欧米による経済制裁では外貨準備は減少したが、当時は固定相場制のほか、ソブリン・ウェルス・ファンド(SWF)の取り崩しが影響した。他方、足下では対外準備資産の2割を金が占めるほか、外貨準備も米ドル以外にも分散を進めている。短期的には持ち応える体力は充分な一方、長期化すれば体力が蝕まれるとともに、経済の疲弊が不満噴出に繋がる可能性もある。その意味では、ウクライナ問題の『落としどころ』が重要になると言える。

 

トルコの観光業においてはウクライナ問題は大きな打撃

ウクライナ情勢を見極めながらの取引は変わらない。国際社会からの強い非難にもかかわらず、ロシアは強硬姿勢を貫いている。事態が直ぐに落ち着くとは思えず、そうなると国家間の関係性からリラは買いにくい展開が続く。もしプーチン露大統領がウクライナ全体の属国化を目指しているのであれば、紛争の長期化は避けられない。トルコ観光業界にとっては、ロシアだけではなくウクライナも優良顧客である。外貨獲得の貴重なチャンスである観光シーズンを控えているが、状況を見る限り、ウクライナからの観光客数は伸び悩む。トルコ政府が予想する経常黒字の達成もかなり難しくりそうである。

 

エルドアン政権は若者を引き付けられず

ドイツの財団が昨年トルコで実施した調査では、トルコの若者の7割以上が外国で生活してみたいと思っていることが分かった。インフレ高騰や通貨暴落などトルコ経済が過去20年で最悪の危機に直面しているため、若い人たちの多くが国内での将来について悲観的な見通しを持っている。そのため、トルコ外でのチャンスを求める人が増えている。このトルコの若者に関する調査は全国で行われ、18歳から25歳の3243人が対象となった。『生活状況、政治的・社会的な態度や意見、好みや期待、志向』などの質問のなか、回答者の約73%が『機会があれば外国に住みたい』と答えた。また、約48%が20年間も国を率いてきたエルドアン政権を『信頼できない』と述べた。エルドアン大統領と政府は、若者たちに明るい将来の展望を十分に与えることができていない。

 

今後の南アの格付けへの変化が注目点:格付け会社フィッチが苦言

南ア国外要因でランドが動く相場になっているが、南ア国内事情を少しだけ振り返ると、昨日発表されたPPIは市場予想を下回った。オミクロン株の影響もあり、かなり予想より振れる展開が続いているが、PPIがある程度抑えられたことは南アにとっては良いことである。ただし、引き続きエネルギー価格が上昇していることもあり、3月に発表される経済指標次第で、南ア準備銀行(SARB)の再利上げの可能性はまだあるのではないかと思われる。また、23日に発表された南ア予算に対して格付け会社のフィッチが苦言を呈している。フィッチは今回の予算の支出が大きすぎること、昨年の税収増はコモディティ価格の高騰が要因で、あくまでも一時的なものだったこと、などを指摘している。今後の南アの格付けに対して、変化があるかも注目される。

【昨日の指標結果】     (結果)  (予想)
・1月南アPPI(前月比)    +0.2%   +0.4%
・1月南アPPI(前年比     +10.1%   +10.5%

 

パウエル議長の議会証言でタカ派発言なければ25pbの利上げ:野村証

3月2日に米FRBのパウエル議長が米下院金融サービス委員会で議会証言に臨む。市場では3月15~16日の米FOMCでの50bp利上げの織り込み度が低下しているが、地政学リスクやインフレに対する見解のほか、議会に提出する半期金融政策報告書で今後の利上げに関して何らかのシグナルが発せられるのか監視が高い。野村証券は25日付の国債金融為替フラッシュのリポートで『FRB執行部が50pb利上げの可能性を真剣に考慮しているとすれば、パウエル議長からタカ派的な発言が必要となろう』と指摘している。リポートでは、50pb利上げへの期待を高めるような発言がなければ『3月は25pbの利上げとの見方が市場コンセンサスとなりそうだ』とみている。

 

米国市場では1月PCEコア価格指数が公表:予想は前年比+5.1%

12月実績は円年日+4.9%と1983年以来の高い伸びを記録した。物価上昇圧力が高い状態が続いている。供給制約の状態が続いており、1月の上昇率は12月実績を上回る可能性がある。

 

欧米市場イベント

○16:00   10-12月期独国内総生産(GDP)改定値(季節調整済、予想:前期比▲0.7%/前年同期比1.4%)
○16:00   10-12月期独GDP改定値(季節調整前、予想:前年同期比1.4%)
○16:00   1月独輸入物価指数(予想:前月比1.6%/前年比23.7%)
○16:45   10-12月期仏GDP改定値(予想:前期比0.7%)
○16:45   2月仏消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.3%/前年比3.2%)
○16:45   1月仏卸売物価指数(PPI)
○16:45   1月仏消費支出(予想:前月比▲0.5%)
○19:00   2月ユーロ圏経済信頼感指数(予想:113.1)
○19:00   2月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲8.8)
○21:00   10-12月期メキシコGDP確定値(予想:前期比▲0.1%/前年比1.0%)
○21:00   1月メキシコ貿易収支(予想:38.42億ドルの赤字)
○22:30   1月米個人消費支出(PCE、予想:前月比1.5%)
       1月米個人所得(予想:前月比▲0.3%)
       1月米PCEデフレーター(予想:前年比6.0%)
       1月米PCEコアデフレーター(予想:前月比0.5%/前年比5.1%)
○22:30   1月米耐久財受注額(予想:前月比0.8%/輸送用機器を除く前月比0.4%)
○23:00   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、会見
○24:00   1月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数、予想:前月比▲0.5%/前年比▲0.8%)
○24:00   2月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、確報値、予想:61.7)
○ユーロ圏財務相会合

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