FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:ウクライナ情勢の一段の緊迫化からリスク回避の売り優勢

ウクライナ情勢の一段の緊迫化を受けたリスク回避の売りが優勢となり、朝方に安く始まった後も下げ幅を拡大した。ロシアのプーチン大統領は21日にテレビ演説し、ウクライナ東部の親ロシア派2地域の独立を承認すると表明し、平和維持軍を派遣するよう国防省に指示した。欧米からは非難する声明や制裁措置に動く意向が伝わっており、ウクライナを巡る情勢が一段と緊迫化した。半導体関連や電子部品といった値がさハイテク株の下落が指数の重石になったほか、主力株もさえない銘柄が目立った。日経平均の下げ幅は一時650円を超える場面もあった。結局、461円安の2万6449円と4日続落して終了した。

 

東京外国為替市場:ドル/円の上値は重いものの過度な円買いにならず

ドル/円は、仲値に向けて本邦輸入勢のドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれ、114.80円付近まで上昇した。朝方に約3週間ぶりの安値114.50円をつけた反動から、利益確定のドル買い・円売りが入りやすい面もあった。ただ、ウクライナ情勢を巡り、米国とロシアの対立が激化するとの警戒感が高まっているため、ドル/円の上値は重かった。その後は、日経平均株価の下げ幅拡大やアジア株安を眺めたドル売り・円買いに押され、114.60円付近へ下落した。

国連安全保障理事会はウクライナ情勢を協議する緊急会合を日本時間午前11時から開催した。ロシアのプーチン大統領がウクライナ東部の親ロシア派地域の独立を一方向的に認めたことについて、ほぼすべての理事国が非難したが、市場の想定した範囲の内容と受け止められ、ドル/円相場への影響は限られた。午後は、新規手掛かり材料に乏しく、114.70円を挟んで小動きとなった。ユーロ/ドルは、ウクライナ情勢を巡る地政学リスクを警戒したユーロ売り・ドル買いが優勢となり、1.13ドルを割り込んで一時1.1288ドル付近まで下落した。前日に独連銀が独経済のリセッション入りの可能性に言及したことも、ユーロの重石になった。

 

ロシア侵攻を牽制する中国、対米関係に配慮=WSJ

米ウォールストリート・ジャーナル紙は、ロシア侵攻を牽制する中国、対米関係に配慮、ウクライナを巡りロシア支持を表明した後、米国寄りに軌道修正と報じた。中国はこのところ、ロシアがウクライナを侵攻しないよう以前より明確な警告を発している。ロシアとの連携強化を図る一方で、米国と完全な敵対関係に陥ることを避けるため綱渡りの対応をしている。中ロ関係は現在、70年前の冷戦初期以来最も緊密になっている。その背景には、米国と対決姿勢を取ることが両国にとって共通の利益になるとの判断がある。中国の習近平国家主席は今月、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領との会談で、西側諸国と対立するロシアにこれまでで最も強い支持を表明した。しかし中国政府はその後、外交交渉を通じた危機解消を目指すべきだと呼び掛けるなど、米国とその同盟諸国に近い姿勢をとるようになっている。中国の外交官や中国政府アドバイザーらによれば、こうした方向転換は、最高指導部の1週間以上に及ぶ密室での協議の末に打ち出されたもので、対米関係が現状以上に敵対的になるのは避けたいとの思惑を反映している。対米関係のさらなる悪化は、中国を西側諸国から孤立させ、長期的に中国の発展を損なう恐れがあるためである。

 

プーチン露大統領が一定の成果を上げたことで次の展開に注目

偽旗作戦が実行されてきたウクライナ東部のドンバス地域。その中でもロシアとの国境沿いとなるドネツクとルガンスクを、プーチン露大統領は独立国家として承認するという新たな展開となった。NATO側もロシアが何もなしでは終われないことはわかっていたはずだが、バイデン米大統領がかかる独立の動きをけん制する前に、一気に国家承認から、ロシア軍の、あくまでも平和維持部隊としてのウクライナ侵攻が始まったところである。プーチン露大統領に言わせれば、『衝突が激化している隣国の治安安定を図り、今後も平和維持に協力していく』ということになる。米国を始めNATO側がそれをすんなりと受け入れるはずもなく、今後は時間をかけてロシアへの経済制裁へと繋がっていくのかもしれない。ただ、市場では今後の展開について、『ロシア軍がこれ以上ウクライナ侵攻を図るようであれば、NATO側との軍事衝突になる可能性もある』との悲観的な見方が出ている一方、『プーチンは一定の成果を上げたわけなので、これ以上は考えていないのではないか」との声も聞かれている。ドネツクとルガンスクを実質上奪取できれれば面目は保てるというものである。一定の経済制裁などは当然想定内で、今後は、ロシアの平和維持部隊の駐留長期化の可能性が高まるということになれば、市場としては『一旦線引きする必要がある』との結論に達してもおかしくない。

 

欧州市場ではユーロ圏2月マークイット製造業PMIが公表:予想は58.6

1月実績は58.7だった。ユーロ圏の製造業ままずまず堅調だった。受注は4ヵ月連続で改善している。ただし、イタリア、スペイン、ギリシャは減速していることから、2月については1月実績を下回る可能性がある。

 

ロシア制裁ならトルコ政府はエネルギー政策の見直しの可能性も

ミンスク合意の破棄とも捉えられるプーチン大統領の決定で、今後は西側による対露制裁が現実味を帯びてきた。そうなると北大西洋条約機構(NATO)加盟国のトルコにとっても、今後ロシアからの天然ガス供給がこれまで通りという訳にも行かない。エネルギー政策の見直しに迫られるようだと、トルコ国内の企業や家計へのコスト増が危惧される。なお、昨日発表されたトルコの1月外国人観光客数は128万人と、前年同月比で約151%増加した。パンデミック前、20年1月の179万人とはまだ開きがあるものの、観光客が着実に戻ってきているのは確かである。5月以降の本格的な観光シーズンへの期待も高まっている。しかしながら、優良顧客であるロシアやウクライナの情勢が不安定なため、状況次第では期待倒れになってしまう懸念は残る。

 

南ア経済は最悪な事態に直面:IMF

南ア紙のインタビューで国際通貨基金(IMF)関係者が『南アはインフレ、公的債務の問題で、南ア経済は最悪な事態に直面している』と南ア経済について言及した。なお、本日発表予定だった10-12月の南ア失業率は、3月1日から15日の間への発表に変更された。新型コロナウイルスのパンデミック後は、失業率のデータ集積に戸惑うことが多く、昨年も発表時期が大幅に遅れた。

 

メキシコでは24日の2月隔週消費者物価指数に注目集まる

今週の国内イベントで重要なのは、まずは24日の2月隔週消費者物価指数(CPI)で現時点での予想としては前年比で+7.17%である。昨年11月の+7.37%をピークにその後は2カ月連続で前月から鈍化したが、ここへきて再びインフレ圧力が高まる模様である。そして、同日(日本時間では25日0時)には先日行われたメキシコ中銀の金融政策発表の議事要旨が公表される。ロドリゲス新体制による初会合で6会合連続での利上げが決定されたが、比較的メンバーの中でハト派とされるエスキベル副総裁が0.50%ではなく0.25%の利上げを主張するなど、他メンバーと再び意見が分かれたことが明らかになった。議事要旨では副総裁の詳細な見解が判明する為、その点には注目したいところである。

 

米国市場では2月マークイットサービス業PMIが公表:予想は53.0

1月実績は51.2で市場予想を下回った。労働力不足が影響した。ただ、各種サービスに対する需要はまずまず堅調であることから、2月については1月実績を上回る可能性がある。

 

欧米市場イベント

○17:30   1月香港消費者物価指数(CPI、予想:前年同月比1.7%)
○18:00   2月独Ifo企業景況感指数(予想:96.5)
○19:45   ラムスデン英中銀(BOE)副総裁、講演
○23:00   12月米住宅価格指数(予想:前月比1.0%)
       10-12月期米住宅価格指数
○23:00   12月米ケース・シラー住宅価格指数(予想:前年比18.0%)
○23:45   2月米製造業PMI速報値(予想:56.0)
○23:45   2月米サービス部門PMI速報値(予想:53.0)
○23:45   2月米総合PMI速報値
○24:00   2月米消費者信頼感指数(予想:110.0)
○24:00   2月米リッチモンド連銀製造業景気指数(予想:10)
○23日03:00   米財務省、2年債入札
○23日05:30   ボスティック米アトランタ連銀総裁、質疑応答に参加

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

カテゴリー

カレンダー

4月 2024
« 1月    
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ページの先頭へ