FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:ウクライナ情勢を巡る市場の警戒感強く売り優勢

週末の米国株安やウクライナ情勢の緊迫化を受け、リスク回避ムードが強まった。しかし、取引時間中に米ホワイトハウスがロシアのプーチン大統領との首脳会談を行う可能性について言及した後は、日経平均株価は急速に下げ幅を縮小した。引き続きウクライナ情勢の関連報道に反応する神経質な展開となった。午後になると、米露首脳会談の実現可能性も含めてまだ不透明な面が大きいとの見方もあり、ウクライナ情勢を巡る市場の警戒感は根強い。結局、前営業日比211円安の2万6910円と3日続落して終了した。

 

東京外国為替市場:115.00円を挟んでもみ合い相場

ドル/円は、日経平均株価の大幅安がリスク回避の円買いを誘い、114.85円付近へ値を下げた。しかし、複数のメディアが『フランスのマクロン大統領が米露首脳会談を提案し、双方が受け入れを表明した』と報じると、ウクライナ情勢を巡る過度な懸念の後退でショートカバーが入り、115.10円台まで急反発した。仲値にかけて本邦輸入勢のドル買い・円売りが通常より多く観測されたことも、ドル/円の押し上げ要因となった。その後は、利益確定や戻り待ちのドル売り・円買いも見られ、小幅に値を下げて115.00円を挟んでもみ合い相場となった。午後には、手掛かり材料難から積極的な売り買いは目立たず、115.00円前後で方向感に乏しい値動きが続いた。本日はプレジデントデーで米国市場が休場となるため、ポジションを積極的に傾けにくくなっている。ユーロ/ドルは、夕方に発表されるフランスやドイツの2月購買担当者景気指数(PMI)速報値を見極めたいとの雰囲気もあり1.1360ドルを挟んで小動きとなった。

 

マクロン仏大統領の提案で米露首脳会談を開催予定

週明けの東京市場では、マクロン仏大統領が提案したプーチン露大統領との米露首脳会談を米国が『原則として受け入れる』ことが明らかになっている。先週末からのウクライナ情勢は、東部ドンバス地域での激しい衝突が続くなか、ウクライナと親ロシア分離派がお互いを非難し合うといった状況である。米国はバイデン米大統領が『プーチン露大統領はウクライナ侵攻を決断した』と断言するなど、いずれにしても解決の糸口が見つからない状況となっている。NATO側とロシアとの間で、お互いが落としどころを探ることになるが、衝突が激しくなっている、いわゆる、偽旗作戦が行われている地域を独立させて、その他のウクライナをNATOに加盟させるなどの妥協案しか選択肢はなくなっているような状況である。米国もロシアも一歩も譲れない状況に変わらないが、偽旗作戦が結局、通用してしまうようであれば、市場としては「今後も思いやられる」といったところである。今週は24日にも米露外相会談が予定されているが、マクロン仏大統領の提案を米国が受け入れるのだとすれば、今週末にかけて続けて行われる可能性が高いわけで、1週間の時間稼ぎがどちらに吉と出るのかを見極めていくことになりそうである。

 

中国恒大集団会長は『サッカークラブ経営を手放さず』

経営危機の直面している不動産デベロッパー中国大手、中国恒大集団の許家印会長は19日、傘下のプロサッカークラブ『広州足球倶楽部(広州FC)』について、引き続き経営に注力する意向を示した。「毎日経済新聞」が20日に伝えた。市場では、中国恒大集団が資金繰りの悪化から、広州FCを売却するとの観測が出ていた。ただ、広州FCは2020年上期、10億5200万元以上の赤字を計上。2015-19年も毎年、9億5200万元、8億1200万元、18億2900万元、19億4000万元の赤字だった。16日には選手の大幅減俸も発表した。

 

前週のドル買い比率は60.4%に上昇

QUICKが21日に算出した18日時点の外国為替証拠金(FX)5社合計(週間)の建玉状況によると、円に対するドル買い比率は60.4%と前の週末から7.3ポイント上昇した。前週はウクライナ情勢の緊迫を材料に円高・ドル安が進んだ。この場面で相場の流れに逆らう『逆張り』傾向の強い個人投資家は円売り・ドル買いの持ち高を増やしたとみられる。『ユーロ/円』取引のユーロ買い比率は5.1ポイント上昇の28.2%だった。『豪ドル/円』取引での豪ドル買い比率は0.9ポイント低下の65.6%だった。

 

エルドアン大統領のインフレ対策の効果も限定的

トルコ中銀は、先週市場予想通りに主要政策金利を2会合連続となる14%で据え置いた。高騰するインフレについては、前回は要因の1つとしたリラ安については言及せず、新たに『ファンダメンタルに基づかない価格形成』という文言を加えた。また今後については、『持続可能な物価と金融の安定に向けた措置を背景に』インフレ率は減速するとの見通しを示した。エルドアン政権は、基本的な食品の付加価値税引き下げにくわえて、小売業者に更に値下げするよう圧力をかけ、また電気代を補助するなど、物価高に苦しむ家計負担の軽減に努めようとしている。ただし、金利は敵だとするエルドアン大統領の考えが変わらない限りは、これら対策の効果も限られたものになってしまう。

 

24日の南ア1月のPPIに注目:高止まりなら利上げ期待高まる

今週の南アからの経済指標では24日に予定されている1月の卸売物価指数(PPI)の発表が注目される。CPIに続いてPPIも高止まりをした場合は、3月の利上げ予想が高まる。また、10‐12月失業率が22日に発表される予定となっている。過去最悪の失業率を更新していることもあり、今後の南アの経済や治安を占う上で注目をしておきたいところである。また、23日にはゴドンワナ南ア財務相が予算演説を行う予定で、この演説にも要注目である。

 

メキシコ中銀副総裁は米FRBの利上げに追随する必要性を示唆

メキシコ銀行(中央銀行)のヒース副総裁は、『米連邦準備理事会(FRB)の利上げサイクルが迫るなか、メキシコ中銀もFRBの政策から独立した決定はしにくく、結果的に金融政策運営が制限を受けている』との見解を示した。そのうえで『メキシコ中銀は高インフレと国内景気の減速、米FRBの利上げサイクルなどとのバランスを取る必要がある』と述べている。

 

米FRBは政策金利を9会合連続で0.25ポイントずつ引き上げ:JPモルガン

米金融当局はインフレ抑制のため政策金利を9会合連続で0.25ポイントずつ引き上げる公算が大きいと、JPモルガン・チェースのエコノミストが予測した。1月の米消費者物価指数(CPI)が1982年以来の大幅な上昇率となったことを受けて、金融引き締めの加速を見込むウォール街の金融機関が増えている。ゴールドマン・サックス・グループは年内の利上げ回数見通しをそれまでの5回から7回へと修正した。1月の米CPI上昇率は『予想外に大きく上振れ』したとし、『過去最高に近いペースだった前四半期からの減速はもはや見込んでいない』との見解を明らかにした。インフレに関しては、エネルギー面の現在の強烈な価格圧力がいずれ緩和するとしても、力強い経済成長とコスト圧力、民間セクターの行動が相乗的に物価上昇を増幅させる流れが定着しつつある可能性を指摘した。『中央銀行が姿勢を転換して成長減速の必要性を認識するリスク、およびそれが世界の金融環境に及ぼす影響が今や世界にとって最も重大な脅威だ』と続けた。

 

欧米市場イベント

○16:00   1月独生産者物価指数(PPI、予想:前月比1.5%)
○17:15   2月仏製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値(予想:55.5)
○17:15   2月仏サービス部門PMI速報値(予想:54.0)
○17:30   2月独製造業PMI速報値(予想:59.8)
○17:30   2月独サービス部門PMI速報値(予想:53.1)
○17:30   デコス・スペイン中銀総裁、あいさつ
○18:00   2月ユーロ圏製造業PMI速報値(予想:58.7)
○18:00   2月ユーロ圏サービス部門PMI速報値(予想:52.1)
○18:30   2月英製造業PMI速報値(予想:57.0)
○18:30   2月英サービス部門PMI速報値(予想:55.5)
○22日01:15   ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○米国(プレジデンツデー)、カナダ(ファミリーデー)、休場

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