FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:地政学リスクの高まりと金融引き締め警戒感から売り優勢

前週末の米国株安を嫌気されたほか、ウクライナ情勢を巡る緊張感の高まりや米金融引き締め加速への警戒感が重石となっており、市場では、先行きの見通しが悪く、積極的には買えないとの声が出ていた。一方、米国株価主要3指数の先物が小高く推移しており、投資家心理を支援しているとの見方も聞かれた。地政学リスクによる株安は長続きしないのが通例であるが、今回は世界的に金融引き締めへの警戒が高まっているタイミングでもあり、地政学リスクが資源高につながってインフレ高進を招き、金融引き締め強化をさらに後押しするとの警戒感が強い。日経平均の下げ幅は一時700円を超えて心理的な節目の2万7000円を下回る場面もあった。結局、前営業日比616円安の2万7079円で終了した。

 

東京外国為替市場:日本株安ながらも115円台半ばでもみ合い

ドル/円は、日経平均株価の大幅安がリスク回避による円買いを誘い、115.29円付近まで下落した。ロシアが近いうちにウクライナへ侵攻するとの警戒感が広がっていることも、リスク回避の円買いにつながった。しかし、10日発表された1月米消費者物価指数(CPI)が前年比+7.5%と40年ぶりの高い伸びとなったことで、米連邦準備制度理事会(FRB)が金融引き締めを加速するとの見方から下値を追う動きは限られた。その後は国内輸入企業などのドル買い・円売りに支えられ、115.50円付近へ持ち直した。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、115円台半ばでもみ合いとなった。今週予定されている米経済指標や米連邦公開市場員会(FOMC)議事要旨を見極めたいとのムードから、積極的な売買は見送られた。ユーロ/ドルは、1.13ドル台半ばで小動きに終始した。欧州勢まちの様相となっている。

 

本邦長期金利0.25%以下に抑制のため『指値オペ』実施

日銀は14日、長期金利の上昇を抑え込むために『指し値オペ』と呼ぶ公開市場操作を実施する。10年物国債を0.25%の利回りで無制限に買い取ることで、同水準以上に長期金利が上がらないようにする。インフレに伴い金融政策の正常化を急ぐ米欧の中央銀行と対照的に、金利を低く抑えることで金融緩和を堅持する姿勢を鮮明にする。指し値オペの実施は2018年7月以来、約3年半ぶりとなる。日銀は長期金利の指標となる10年物国債の利回りを『0%程度』に誘導する金融緩和を進めており、0.25%が許容範囲の上限である。債券市場では海外の金利上昇が波及し、2月に日本の長期金利は0.2%台前半に上昇した。10日には一時、0.23%と16年1月以来、6年ぶりの水準まで上昇した。これを受けて日銀は10日、指し値オペを14日に実施すると公表した。銀行などの投資家は市場で0.25%より高い金利(安い価格)で10年物国債を売る利点がなくなるため、当面0.25%が事実上の上限となる。

 

前週のFX概況はドル買い比率53.1%に低下

QUICKが14日算出した10日時点の外国為替証拠金(FX)5社合計(週間)の建玉状況によると、円に対するドル買い比率は前の週末から4.24ポイント低下の53.1%だった。米長期金利の先高観を受けて円売り・ドル買いが強まる中で、相場の流れに逆らう『逆張り』の個人円買い・ドル売りに持ち高を傾けたとみられる。他の通貨ペアではまちまちだった。円に対するユーロ買い比率は3.5ポイント上昇の23.0%だった。円に対するオーストラリア(豪)ドル買い比率は7.0ポイント低下の66.5%だった。

 

★豪中銀の利上げはCPI統計2回発表後の8月以降か

オーストラリア準備銀行(中央銀行)のロウ総裁は11日、年内に利上げする可能性はあるものの拙速な行動はリスクを伴うとし、四半期インフレ統計を2回見てから決定する意向を示した。豪中銀は1日に債券買い入れの終了を決定した。ロウ総裁は、経済が予想以上の好調なら年内に利上げする可能性を示唆していた。ロウ総裁は11日、議会経済委員会で、最近のインフレ高進が持続するか、まだはっきりしないとし、中銀は忍耐強く情勢を見極める用意があると説明した。『この不確実性は早期に解消することはない』と述べ、あと2回、四半期消費者物価指数(CPI)統計を見たいと示唆した。1-3月のCPI統計の発表は4月27日、4-6月は7月27日に発表される予定である。したがって利上げは8月以降の可能性がある。

 

トルコの外貨建て長期債の格下げ:フィッチ・レーティング

格付け会社フィッチ・レーティングスは11日、トルコの外貨建て長期債の格付けを『BB-』から『B+』に引き下げ、見通しは『ネガティブ』としたことを発表した。同社による引き下げは2019年7月以来であり、インフレ高進と当局の政策信頼性の弱さなどが今回の決定要因とされた。既にジャンク級だったこともあり、リラの下押し圧力は強まらなかった。トルコ政府は12日、投資・輸出・事業への支援パッケージを発表した。また、個人が保有する金を簡単に現金化できるシステムや、付加価値税を簡素化し、主要な食品については8%から1%に引き下げることも決定した。エルドアン大統領は急な値上げを行う企業に対して、より厳しい管理と罰金を課すことを約束している。

 

南アでは1月CPIと12月小売売上高の結果に注意

16日に発表される1月の消費者物価指数(CPI)と、12月小売売上高の結果には注意を払う必要がある。CPIは1月も原油価格が上昇傾向を辿ったことで、再び南ア準備銀行(SARB)の目標中心値4.5%を大幅に上回ることになる可能性が高く、現在は12月の5.9%を若干下回る5.7%程度が市場予想となっている。今月はSARBのMPCは行われないが、CPIの結果が6%に近づいてくると3月の再々利上げ期待が高まる。 一方で、小売売上高は12月の数値のため、好結果を期待するのは難しい。11月後半にオミクロン株が確認されたことで、12月は南アで規制が強化されただけではなく、海外が南アに対する渡航制限を発令していた期間にあたる。市場予想では前月比で-0.3%程度が予想されている。

 

米FRBの3月の利上げの有無ではなく利上げ幅がポイント

米連邦準備制度理事会(FRB)当局者が3月の政策会合を前に直面する問題は、もはや利上げするかどうかではなく、金利をどの程度引き上げるかである。1月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比7.5%上昇した。変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数は6%上昇し、いずれも40年ぶりの水準に跳ね上がった。ただ、FRBはこの先、前月比の数字が鈍化に向かうかに注目する見通しである。しかしながら、1月のCPI統計では、この点で不安を和らげる要素はほとんどなかった。物価上昇圧力は1月も持続しており、前月比のインフレ率は0.6%だった。

 

欧米市場イベント

○16:30   1月スイス生産者輸入価格
○21:00   1月インド消費者物価指数(CPI、予想:前年比6.00%)
○22:30   ブラード米セントルイス連銀総裁、CNBCに出演
○15日01:15   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演

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