FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米国株安と円高を嫌気した売りが優勢

前日の米国株式市場の下落に加え、為替のドル/円が一時1ドル=113円台後半と円高基調が進行したことを嫌気した。NYダウ先物が軟化したほか、国内での新型コロナウイルスの感染拡大も重石となった。また、市場では好材料がない状態との声が聞かれた。下げ幅は600円を超える場面があったが、主力銘柄には値ごろ感からの買いが入り、次第に下げ幅を縮めた。結局、前営業日比250円安の2万522円で終了した。

 

東京外国為替市場:日経平均株価の下げ幅縮小で円売りやや強まる

ドル/円は、日経平均株価の大幅安や米長期金利低下を背景にドル売り・円買いが進み、113.65円まで下落した。原油先物相場の下落を眺めた資源国通貨安・円高が波及した面もあった。午後に入っても軟調地合いは続き、113.62円付近まで値を下げた。しかし、14日の海外市場でつけた安値113.48円が視野に入ると下げは一服した。その後は、日米金融政策スタンスの違いを意識したドル買い・円売りも見られ、113.80円台へ値を持ち直した。日経平均株価の下げ幅縮小で、過度なリスク回避姿勢が和らいだことも円売りにつながった。ユーロ/ドルは、1.13ドル台前半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

市場では今後のトルコ金融政策に対する思惑が割れる

トルコ中銀金融政策委員会(MPC)は20日、市場予想通りに政策金利を14.00%で据え置いた。中銀は声明で、『全ての政策手段においてトルコリラを優先した、政策枠組みの包括的な見直しが行われている』と述べ、こちらがリラの支えとなった。一方、高騰しているインフレについては、『ベース効果によるインフレ率の低下とともに、持続可能な物価と金融の安定のために取られた措置を背景に、ディスインフレプロセスが始まると予想』と述べた。楽観的とも取られる内容がリラの重石となった。今年最初の中銀会合を通過し、市場では今後のトルコ金融政策に対する思惑が割れている。米JPモルガンは年末まで政策金利は据え置かれるだろうとし、もし金利に変更があるとすれば、利上げよりも利下げの可能性が高いと予想した。一方で米ゴールドマン・サックスは、実質金利マイナスに耐えられなくなり、第2四半期にトルコ中銀は引き締めに転じるとの予測である。トルコ中銀が今回の声明で、前回12月会合で言及した『今年第1四半期中に最近の金融政策の累積効果を監視する』を取り下げたことが、先行き不透明感を高めた。

 

南アランドは利上げ期待と商品価格上昇が下支え

一昨日に発表された南アの12月消費者物価指数(CPI)が2017年以来の水準まで上昇したことで、来週予定されている南ア準備銀行(SARB)・金融政策委員会(MPC)への利上げ期待は高まる。また、世界経済の回復傾向が顕著になるにつれ、コモディティ価格が再びブル・トレンドに戻っていることもランドを底堅くさせる。ただ、南アは独自の問題が多数あることは忘れてはいけない。具体的には電力会社エスコムが法外な値上げを検討しており、今後の経済への足かせになりそう。物価高への追い打ちに、国民の不満が爆発寸前なことも挙げられる。また、年後半の大統領選挙で、与党アフリカ民族会議(ANC)の政争が激化する可能性も懸念される。このようなリスク要因が中長期的なランド相場には影響は与えることになる。ただ当面は、上述のように南ア金利先高観や堅調なコモディティ価格がランドを支えることになる。

 

メキシコ中銀の2月10日の金融政策会合で新総裁のスタンスを探る

ロドリゲス氏はディアスデレオン前総裁の任期満了に伴って今年から中銀総裁に就任した。ロペスオブラドール大統領が事前に新総裁として指名していたエレラ前財務公債相から人事を急遽覆したうえでの決定となったため、決定時には市場で混乱が生じた。今回の会合ではロドリゲス総裁がどのような政策スタンスを示すか注意が必要となる。ロドリゲス総裁は就任時に中銀の独立性とインフレ抑制への強い意欲を示していたが、市場では『ロドリゲス氏は大統領がメキシコシティの市長時代から重用してきた人物だけに、緩和的な金融スタンスを志向する大統領の影響力が増すのではないか』との懸念も強まっている。なお、現在の市場予想は現行の5.50%から6.00%への利上げとなっている。ロドリゲス総裁が『大統領の意向』を汲んで0.25%の利上げを主張する可能性はあるものの、利上げ慎重派は総裁とエスキベル副総裁の2名にとどまり、3対2で0.50%の利上げが決定されるとみている。とはいえ、ロペスオブラドール大統領が指名した中銀メンバー(エスキベル副総裁、ボルハ委員、ロドリゲス総裁)はいずれも比較的ハト派志向である。昨年8月会合まで利上げ反対を主張していたボルハ委員が利上げ賛成に回ったことで、現状は利上げ積極派が優勢となっているが、中銀の姿勢を徐々にハト派色へと染めようとする大統領の意向が見え隠れしている。

 

米国で変異株感染拡大の労働市場への影響は短期的との見方

米労働省が発表した週次新規失業保険申請件数(1/15)は前週比+5.5万件の28.6万件となった。前回23.1万件から減少予想に反して増加し昨年10月末以降で最高となった。失業保険継続受給者数(1/8)は163.5万人。前回155.1万人から予想以上に増加した。失業保険申請件数は数週間前に、50年超ぶりの低水準を記録したのち、基調が転換した。オミクロン感染が急増したカリフォルニア州では6075件、NY州で1.4万件申請件数も増えた。明るい点としては、失業保険継続受給者数の変動の少ない4週平均は5.525万人減の166.4万人と、2019年4月来の低水準となったことが挙げられる。
今後は、新型コロナ、オミクロン変異株流行がビジネスを混乱させ、サプライチェーン問題をさらに悪化させる可能性が残る。ただ、多くのエコノミストは一時的な傾向で、労働市場の強い回復見通しを修正する姿勢は今のところ見せていない。

 

FRB審議文書ではCBDCで決済迅速化も金融安定リスクなど懸念

FRBは公表した中央銀行デジタル通貨(CBDC)に関する審議文書で、デジタル通貨『デジタルドル』を開発すれば、決済技術の発展とともに決済スピードが上がり家計に安全な選択肢を提供できるが、金融安定を巡るリスクやプライバシーに関する懸念も出てくるとの見解を示した。文書には政策提言は盛り込まれず、CBDC開発に関するFRBの姿勢は明確に示されていない。さらに『行政機関と議会からの明確な支持』がなければFRBがCBDCの開発を進めることはないとしている。

 

欧米市場イベント

○16:00   12月英小売売上高(自動車燃料含む、予想:前月比▲0.6%/前年比3.4
○16:00   12月英小売売上高(自動車燃料除く、予想:前月比▲0.5%/前年比1.1%)
○21:30   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○22:00   マン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○22:30   11月カナダ小売売上高(予想:前月比1.2%/自動車を除く前月比1.3%)
○24:00   1月ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値、予想:▲9.0)
○24:00   12月米景気先行指標総合指数(予想:前月比0.8%)
○米露外相会談(ジュネーブ)
○日米首脳会談(テレビ電話形式)

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