FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:上下に振れる荒い値動きも3日ぶりに上昇して終了

前日の大幅安を受けて自立反発狙いの買いが先行した一方、米金融政策や中国で利下げが発表されると同国経済の先行きを巡る警戒感がくすぶり、前日終値を挟んでプラスとマイナスを往来する荒い値動きとなった。午後には上海総合指数、香港ハンセン指数などのアジア株高に加え、NYダウ先物の底堅い値動きに追随した。結局、前営業日比305円高となり2万7772円と3日ぶりに反発して終了した。1月第2週(11日~14日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家(外国人)は727億円の売り越しとなり、売り越しは4週ぶりになった。個人投資家は1729億円の買い越しとなり、買い越しは6週ぶりになった。信託銀行は2248億円の売り越しとなり、売り越しは3週連続となった。

 

東京外国為替市場:日本株高と米長期金利高になるとドルか戻し

ドル/円は、仲値にかけて本邦輸出勢などのドル売り・円買いが通常より持ち込まれ、114.25円付近へ下落した。その後も、日経平均株価の急速な伸び悩みや米長期金利の低下を眺めてさらにドル売り・円買いが進み、114.03円付近まで下落した。しかし、心理的節目の114.00円に接近すると下げは一服した。その後は、日経平均株価の反発や低下していた米長期金利の持ち直しでショートカバーが入り、114.30円付近へ値を切り返した。午後は、日経平均株価の大幅高でリスク回避姿勢が和らぐと、持ち高調整などのドル買い・円売りが入り、114.55円付近までじり高となった。ただ、今晩の米経済指標や米国株価動向を見極めたいとの雰囲気もあり、上値を追う動きは限られた。その後は、利益確定や戻り待ちのドル売り・円買いも見られ、小幅に値を下げて114.40円台を中心に取引された。ユーロ/ドルは、1.13ドル台半ばで方向感を欠く展開が続いた。欧州勢待ちの様相となっている。

 

円安が実質GDPを押し上げると試算:日本銀行

日銀は19日、円安が10%進めば実質GDPを年間0.8%ほど押し上げるとの試算を公表した。10-19年の経済情勢をもとに推計、輸出企業の収益改善や訪日観光客の増加等が寄与するという。円安は輸入品の価格上昇で内需企業や家計負担を高める面があるが、全体では景気にプラスの影響を及ぼすとした。一方で日銀は生産拠点の海外移転などで円安による輸出数量押し上げ効果や輸出企業の生産や雇用増への波及効果は弱まった可能性も合わせて示した。

 

金ETF(GLD)に資金が流入:年初来で6億ドル超に

19日の米国市場で金を投資対象とするSPDRゴールド・シェアーズ(@GLD/U)に資金が流入した。QUICK FactSet Workstationによれば3億549万ドルの流入となり、これで年初来では6億ドル超の流入となった。この日のGLDは前日比1.58%高の172.08ドルで4営業日ぶりに反発して終えた。米長期金利の上昇が一服し、為替市場でドル安が進む中、実物資産のゴールドを投資対象とするGLDも堅調だった。米FRBの利上げ観測が円強い中、本来はインフレヘッジで人気を博しそうなGLDだが、過去1年では106億ドルの大幅な流出超となっていた。リスクオフの展開で足元のドル高に一服感が出ているだけに、今後巻き返しが期待される。

 

トルコ中銀の政策金利会合に注目

主要政策金利である1週間レポレートは14.00%に据え置きが市場のコンセンサスである。予想通りであれば、5会合ぶりの据え置きとなる。中銀は前回会合の声明で利下げサイクルを打ち切る考えを示しており、エルドアン・トルコ大統領も急速な金利引き下げを求めないような口調になりつつあることから、政策金利についてはサプライズなしと思われる。しかしながら世界的にインフレが高進し、米連邦準備理事会(FRB)の3月利上げが確実視され、多くの新興国中銀がタカ派色を強めるなか、低金利を維持するトルコ中銀の政策はやはり異様に映る。市場が求める金融引き締めへの転換ができない限りは、通貨リラの買い難さは続いてしまう。 トルコ中銀の声明内容では、インフレに対する見解がポイントとなる。足もとの物価上昇率は36%台、一部では年央までに50%超えとの予想も出ている。それにもかかわらず大統領や財務相のような楽観論に傾くようであれば、リラの失望売りに繋がってしまうかもしれない。

 

トルコとUAEでスワップ協定を締結:為替市場では反応薄

トルコ・UAEの通貨スワップ協定の規模は640億リラ(昨日引け値で48億ドル弱)、期間は延長ありで3年とされた。昨日の値動きを見る限りでは即効薬としての効果はないようだが、トルコ中銀の外貨準備高枯渇への懸念がどの程度まで和らぐか、今後の準備高推移を見守ることになる。締結発表後は、リラ買いは一瞬で終わった。もっともNY勢が参入すると、一転し底堅い動きになった。イスタンブール株式市場の主要指数が上昇幅を3%超まで拡大したことも支えに、8.56円まで反発した。

 

南アでのCPI上振れから利上げ期待がランドの下支え

昨日発表された南アの12月消費者物価指数(CPI)は市場予想の+5.7%を上回る+5.9%となった。この結果は2017年3月に+6.1%まで上昇して以来の高水準になる。食品やノンアルコール飲料は+5.5%上昇し、輸送価格は燃料価格の高止まりで+16.8%と急騰したことが、CPIの上振れの主な要因になっている。1月に入り原油価格はさらに上がっていることを考えると、1月CPIも更に上昇する可能性が高い。これまでは南アはオミクロン株感染拡大による海外からの渡航制限もあり、景気刺激策のため南ア準備銀行(SARB)は利上げを控えたいとしていたが、ここまで上昇したCPIを見ると、市場は来週27日の金融政策委員会(MPC)に向けて利上げ予想が増加することになる。利上げペースが一段と速くなれば、ランドは底堅い動きを見せそうである。なお、昨日発表された小売売上高も市場予想を上回る結果となった。

 

3月以降の米FOMCで連続した引き締め:エバコア

エバコアISIは19日付リポートで『米連邦準備理事会(FRB)の直近の見通しをめぐる議論が再び過熱している。市場では、量的緩和(QE)の突然の停止や来週の26日の会合での利上げ、あるいは3月の会合での50bpという大幅な利上げをめぐる憶測が再燃している』と指摘。ただ、これまでのFRBメンバーの発言や政策面、および新型コロナウイルスのオミクロン株のソフトパッチ(一時的な足踏み高)からそれらの可能性は低いとしつつ、『3月、5月、6月の会合において、連戦的な引き締め措置(利上げや量的引き締め)の実行を、市場コンセンサスよりも高い可能性が見出しており、より広範には、FRBは望ましい四半期ごとの『緩やかな』ペースよりも、より迅速に中立に戻る必要があるかもしれない』との見解を示した。

 

米国市場では12月中古住宅販売件数:予想は644万戸

11月実績は646万戸で前月比+1.9%だった。販売価格(中央値)は前年同月比+13.9%と高い伸びを記録した。中古住宅の需要は引き続き堅調。ただ、在庫水準は引き続き伸び悩んでいるため、12月販売実績は11月をやや下回る可能性がある。

 

欧米市場イベント

○16:00   12月独生産者物価指数(PPI、予想:前月比0.8%)
○16:45   1月仏企業景況感指数(予想:109)
○17:30   12月香港消費者物価指数(CPI、予想:前年同月比2.1%)
○18:00   ノルウェー中銀、政策金利発表(予想:0.50%で据え置き)
○19:00   12月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値(予想:前年比5.0%)
○19:00   12月ユーロ圏HICPコア改定値(予想:前年比2.6%)
○20:00   トルコ中銀、政策金利発表(予想:14.00%で据え置き)
○21:00   12月メキシコ失業率(季節調整前、予想:3.40%)
○21:30   欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨(12月16日分)
○22:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:22.0万件/158.0万人)
○22:30   1月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:20.0)
○24:00   12月米中古住宅販売件数(予想:前月比▲0.4%/年率換算644万件)
○21日01:00   EIA週間在庫統計

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