FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:前日の反動とウイルス感染再拡大への警戒感による売り

朝方に安く始まった後も上値は重く、徐々に下げ幅を広げた。前日に大幅上昇した反動で売りが優勢となったほか新型コロナウイルスの感染再拡大への警戒感も重石になった。米ハイテク株高を背景に、朝方は半導体関連や電子部品の買いが先行して指数を下支えしたが、前日に買い戻されていた銘柄くも多く、次第に勢いを失った。ただ、鉄鋼、非鉄などの素材系および総合商社などのバリュー(割安)株は買われ、指数を下支えした。結局、前営業日比286円安の2万8489円と反落して終了した。信用評価損益率は7日申し込み時点でマイナス11.3%と、前の週のマイナス10.02%からマイナス幅が1.28ポイント悪化した。悪化は3週ぶりとなった。

 

東京外国為替市場:方向感なく114円台半ばでのもみ合い相場

ドル/円は、前日に発表された12月米消費者物価指数(CPI)が米国の金融引き締めペースを加速させる数字ではないと受け止められ、ドルが主要通貨に対して下落した流れを引き継ぎ、114.50円付近まで軟化した。日経平均株価の下げ幅拡大でリスク回避姿勢が強まったことも、円買いを誘った。しかし、下値では本邦輸入勢などがドル買い・円売りに動き、114.65円付近へ値を切り上げた。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、小幅に値を下げて114.50円台を中心とした狭いレンジで取引された。今晩予定されている米経済指標やブレイナード米FRB理事の公聴会での証言を見極めたいとのムードが広がった。ユーロ/ドルは、1.1440ドル付近で方向感を欠ける値動きが続いた。欧州勢待ちの様相となっている。

 

原油高・円安からガソリン価格は2ヵ月ぶりに値上がり

資源エネルギー庁は13日、レギュラーガソリンの店頭価格(全国平均、11日時点)が前週比1.8円(1%)高い1リットル166.5円だと発表した。値上がりは約2ヵ月ぶりとなった。寒冷地を中心に需要が増えている灯油も同107.4円と同1.2円(1%)高く、5週ぶりに上昇した。原油高や円安が波及し、来週以降も値上がりが続くとの見方が多い。原油調達コストの上昇で、国内元売り各社がの卸値引き上げが波及した。新型固陋なウイルスの変異株『オミクロン株』への過度の警戒感が後退し需要増観測が広がった。さらに産油国の天候不順などによる供給停滞も重なり、原油価格は上昇基調にある。外国為替市場では、円相場が対ドルで一時、5年ぶりの円安水準となる1ドル=116円台をつけた。元売り各社は今週、卸値を2年さらに引き上げると系列の給油所に通知しており、来週以降も値上がりを見込む声が増えている。家計への負担が増す。

 

中国の1.2兆ドルの外貨建て債務がアキレス腱

中国の高成長屋台骨を支えた建設投資の原動力は他ならぬ膨大な借金であったが、もはや4%台の低成長時代に入った中国が従来のハイペースの借り入れを続けることなどできない。そればかりか、世界的なインフレ昂進による金利上昇とドル高が1.2兆ドルのドル建て債務を抱える中国経済のアキレス腱となっている。22年には中国不動産企業が内外で発行したオフショア社債だけで400億ドル(約4.5兆円)もの償還が予定されている。21年には中堅『花様年控股集団』や『中国地産集団』、『新力控股』などが次々とデフォルトに陥り、既に格付け会社フィッチ・レーティングスは昨年末12月9日、経営難に陥った中国恒大集団とカイサG『佳兆業集団』を部分的デフォルトと認定、デフォルト不安は消えていない。『重商主義』輸出攻勢による高成長に巨大な資源『爆買い』を背景に世界経済への影響力を強めてきた中国だが、そのアキレス腱は1.2兆ドル(約136兆円)に膨れ上がった外貨建て対外債務の存在であり、36兆ドルの世界最大の民間債務である。かかる外貨建て債務の膨張は、世界的なインフレ昂進と長期金利上昇により難局を強いられる。特に、恒大集団の米ドル債の発行残高は2兆円規模に膨らみ、中国企業として今後過去最大のデフォルトになる可能性があり、海外投資家は中国企業への警戒感を強めている。

 

ADQの最高責任者の絶好の買い時発言でリラ買いか

昨日NY勢の参入後から下値を切り上げ始めました。ロンドンのフィキシングに向けてリラ買いが強まった。英FT紙が報じたところによると、アラブ首長国連邦(UAE)の国営投資会社・アブダビ開発ホールディング(ADQ)の最高責任者が、通貨安により下落しているトルコ資産は長期的にみれば絶好の買い時だとの見解を示した。UAEとトルコのトップ会談が実現した昨年11月、UAE側が、トルコへの投資支援のために100億ドル規模の基金を用意していると語っていたことが思い出される。結果的に昨日は、潤沢なオイルマネーのトルコ投資が意識されたのかもしれない。ただし『インフレ高にもかかわらず金融緩和、中銀独立性の失墜、外貨準備高の枯渇懸念、預金保護策への不信感、効果薄なインフレ抑制やリラ支援策、原油価格の高騰など』、リラのとってのネガティブ材料は目白押しである。

 

仮想通貨に走るトルコ市民:米WSJ

トルコ市民の間ではここにきて、乱高下する通貨リラに見切りをつけ、それ以上にリスクの高い資産として知られる暗号資産(仮想通貨)に乗り換える動きが広がっている。2021年10-12月期(第4四半期)にリラが対ドルで急落する中、リラを使った仮想通貨の取引高は取引所3カ所の合計で1日当たり平均18億ドル(約2070億円)に上った。ブロックチェーン(分散型台帳)分析会社チェイナリシスがデータをまとめた。国際決済銀行(BIS)の2019年調査では、リラの取引高は1日当たり約710億ドルに上り、これに比べればなおわずかだか、それでも過去5四半期のいずれの水準も上回っている。仮想通貨の中でも、ドルに連動するステーブルコインのテザーがとりわけ人気を集めている。データ提供会社クリプトコンペアによると、リラはこのほど、対テザーで取引された法定通貨として、ドルやユーロを押さえ首位に立った。

 

メキシコでは自動車生産台数の減産が継続

メキシコの12月自動車生産台数は21万2272台となり、前年同月比で17%減となった。メキシコ国立統計地理情報院(INEGI)が発表したところによると、前年同月比での生産台数減少はこれで6カ月連続になった。また、2021年の年間生産台数は前年比2%減の297万9276台となり、こちらも4年連続で前年を下回っている。昨年は世界的な物流の停滞や半導体不足によって自動車メーカーの操業停止が相次いだ結果、コロナ禍で苦戦した2020年の生産台数をさらに下回る格好となったが、2020年が前年比で20%減となったことと比較すると生産減は穏やかなものとなった。2022年は生産回復が期待されるところだが、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の扱いを巡って米国との溝が深まりつつあり、メキシコの主要産業である自動車生産は先行き不透明な状況が続いている。

 

米インフレがピークに達したとの見方も

米労働省が発表した12月消費者物価指数(CPI)は前月比+0.5%となった。伸びは11月+0.8%から鈍化も予想は上回った。前年比では+7.0%と、11月+6.8%から予想通り拡大し、1982年以降40年ぶり最大を記録した。パンデミックの影響を受けた物や労働者不足が引き続き大きく影響した。さらに、ガソリン価格の上昇も指数を押し上げた。ガソリン価格は前年比49.5%増となった。変動の激しい食品やエネルギーを除いたコアCPIは前月比+0.6%と、予想外に11月+0.5%から伸びが拡大した。前年比では+5.5%になった。伸びは11月+4.9%から予想以上に拡大し1991年2月以降31年ぶり最大となった。今月の物価上昇の3分の1近くを占めた家賃は前月比+0.4%、前年比で+4.1%で2007年2月来で最大となった。中古車価格は前月比+3.5%。前年比で+37.3%で引き続き、供給不足が響いている。パンデミックによるサプライチェーンの混乱にはまだ収束の兆しは見られない。しかし、中国の12月消費者物価指数(CPI)、生産者物価指数(PPI)の伸びも予想以上に鈍化するなど、世界的にインフレが頭打ちとなった兆候も見られる。 

 

★欧米市場イベント

○16:00   11月トルコ鉱工業生産(予想:前月比0.5%)
○17:45   マン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○19:30   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○22:30   12月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.4%/前年比9.8%)
        食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.5%/前年比8.0%)
○22:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:20.0万件/173.3万人)
○23:30   エルダーソンECB専務理事、講演
○24:00   米上院銀行委員会でブレイナード米連邦準備理事会(FRB)理事のFRB副議長指名公聴会
○14日02:00   バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○14日03:00   米財務省、30年債入札
○14日03:00   エバンズ米シカゴ連銀総裁、講演

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

カテゴリー

カレンダー

4月 2024
« 1月    
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ページの先頭へ