FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米国の金融引き締め加速への警戒感から売り優勢

米国の金融引き締め加速への警戒感からグロース(成長)株を中心に売れた。日経平均株価は、米国株安の流れを受けて安く始まり、その後も次第に下げ幅を拡大した。半導体関連など株価収益率(PER)の高い銘柄を中心に売りが強まった。半面、鉄鋼や銀行などの割安株を物色する動きと見られた。結局、前営業日比844円安の2万8487円と3営業日ぶりに反落して終了した。信用評価損益率は12月30日申し込み時点でマイナス10.02%と、前の週のマイナス10.86%からマイナス幅が0.84ポイント縮小した。改善は2週連続となる。

 

東京外国為替市場:株価安でリスク回避の円買いが優勢に

ドル/円は、本邦輸出勢などからドル売り・円買いが持ち込まれ、116.00円付近へ下落した。その後も、日経平均株価の大幅安でリスク回避姿勢が鮮明になると、さらにドル売り・円買いが進んで115.82円付近まで下落した。ただ、下値では日米金融政策スタンスの違いを意識したドル買いも見られ、115.95円付近へ値を戻した。午後に入ると、日経平均株価がほぼ全面安となったことでドル売り・円買いが再燃、115.80円付近へ下落した。しかし、米長期金利が昨年4月以来の高水準となる1.73%付近へ上昇すると、ドルの押し目買いが入り115.90円を挟んでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、夕方から参入してくる欧州勢の動向を見極めたいとの雰囲気から、1.1310ドル前後で方向感に欠ける値動きとなった。

 

中国人民銀行は春節前に資金供給オペ:利下げなどの緩和策は望み薄

新華社系の経済紙『中国証券報』は5日、中国人民銀行(中央銀行)が2月1日の春節(旧正月)入り前に資金を供給するとの見方を伝えた。ただ、供給手段はリバースレポ(売り戻し条件付き債券購入)や中期貸出制度(MLF)などの公開市場操作(オペ)で、市場で期待が高まる利下げや預金準備率の再引き下げの可能性は小さいとした。 一部の証券会社は、新型コロナウイルスの影響で今年の春節前の資金需要は例年よりも低調と予想している。それでも、人民銀の資金供給がなければ春節前に数兆元規模の流動性が不足する見込みだ。不足額は、天風証券の予測では1兆8000億元、中信証券の予測では2兆6000億元に上る。

 

リラ安止めるにはエルドアン大統領の心変わりがポイント

ネバティ財務相は昨日『われわれは、独自の道を歩んでいく』とも述べ、低金利政策により製造業や輸出企業を支援する方針を改めて示した。一方、同財務相はインフレ対策が最優先事項としたが、市場からは対策内容や効果を疑う声が絶えない。低金利政策によるリラ安からインフレ高進、物価高騰から通貨売りというサイクルは、エルドアン大統領が心変わりしない限りは続くことになる。ネバティ財務相は昨日、昨年末に政権が打ち出した『為替リンクの個人用リラ建て定期預金」に915億リラが集まったことを明らかにした。預金額はジワリと拡大しているが、トルコ国内の外貨建ても含めた預金総額4兆8700億リラからすると、リラ支援のために講じた政策が成功しているとは言えない。また、トルコメディアは、エルドアン大統領の2月サウジアラビア訪問を報じている。最近のトルコ外交はアラブ諸国に歩み寄る姿勢を示しているが、アラブの雄であるサウジの反応は鈍いままである。来月のサウジ訪問で両国関係が改善するようであれば、リラにとっても何らかのポジティブ要因が見えてくるかもしれない。

 

南アへの渡航制限が徐々に解除方向

本日も南アから注目されるような経済指標や政治的なイベントは予定されておらず、ランド/円がトレンドを作るような相場になり難い。19日の消費者物価指数の発表までは、ランドは金融市場全般のリスクオン・オフに振らされ、明確な方向性は示されないと思われる。なお、市場は反応しなかったが、昨日はドイツが南アへの渡航制限を解除した。同様の動きは他にもみられ、4日午後には豪カンタス航空も21カ月ぶりとなる南アとの直行便を再開させた。また香港政府は、米英など8カ国からの航空便を2週間禁止しているものの、南アに対しては航空便の再開が徐々に進んでいる。

 

米12月ADP雇用統計の伸びは予想のほぼ2倍

民間部門の雇用者数を示すADP雇用統計の12月分は前月比+80.7万人となった。伸びは10月+50.5万人から鈍化予想に反し拡大し、予想のほぼ2倍で5月来で最大となった。11月分は53.4万人から50.5万人に下方修正された。

 

早期利上げと資産縮小に前向き:米FOMC議事要旨

2021年12月14~15日に開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨を公開した。雇用の回復で利上げの判断時期が近づいていることを示唆したほか、国債などの大量購入で膨らんだFRBの保有資産を早期に縮小することに前向きな意見が目立った。インフレの高止まりを警戒し、金融引き締めを急ぎたいとの意向がにじんだ。21年12月のFOMCでは国債などを大量に購入する量的緩和の縮小(テーパリング)を急ぐことを決めた。従来計画より3カ月早い22年3月に資産購入を終え、インフレ対応の利上げに迅速に動ける余地を広げた。FOMC参加者の中心シナリオとして、22年中に3回利上げする見通しも示した。ほとんどの参加者がゼロ金利政策を解除する条件を『比較的すぐに達成できる』と判断している。一部の参加者は、インフレの一段の高進時など必要な場合には最大雇用を達成したと判断する前に利上げに動く選択肢にも言及した。足元の経済環境を踏まえ、参加者は全般的に『従来の想定より早い時期に、また速いペースで利上げすることが正当化されるかもしれない』との判断に傾いている。

 

バイデン大統領の失言で政権に非難:求心力の低下を懸念

ユーラシア・グループは5日付リポートで、米国で新型コロナイルスの新規感染者数が過去最高を記録したことを受けてバイデン大統領が懸念を表明し、警戒を促したことに触れ、「オミクロン型は現在、ワクチン接種を受けた人でさえも感染した場合に隔離することを強制しているにもかかわらず、これを『ワクチン未接種の世界的流行』と宣言したことで、政府はさらなる非難に直面している。半面、米疾病対策センター(CDC)は新型コロナウイルス陽性患者の隔離時間を短縮したが、これは公衆衛生上の理由ではなく、経済的混乱を最小限に抑えるために明示的に行われた変更だ。新型コロナウイルス関連の混乱は、今後数週間のうちに学校を含む基本的なサービスに影響を及ぼす可能性が高く、バイデン氏の承認を数カ月にわたって遅らせてきた課題をさらに悪化させている」と指摘した。さらにCNBCの世論調査を踏まえ、「バイデン氏にとってさらに厄介なことは、大統領に投票した有権者の過半数が、アメリカン・レスキュープラン(1兆9000億ドル規模)は何の役にも立たないと考えている。11月には450万人もの労働者が職を辞した」とも指摘。「オミクロン型の穏やかな効果に関する楽観的なニュースでさえ、バイデン氏の問題や経済の混乱を緩和する効果はほとんどないだろう。バイデン氏は『通常の状態に戻る』ことを約束して就任したが、(現状ではそうなっていないが)今年はそれにもかかわらず始まった」と述べ、バイデン政権の求心力の低下に懸念を示していた。

 

米国市場では11月貿易収支が公表:予想は-693億ドルの赤字

10月貿易収支は-671億ドルの赤字だった。貿易赤字は輸出が過去最高を更新したことで急減した。産業用資材・原材料、原油、資本財などの輸出が増加した。11月については、輸入額が高水準を維持すると予想されており、輸出は引き続き順調だが、貿易赤字はやや拡大する可能性がある。

 

欧米市場イベント

○16:00   11月独製造業新規受注(予想:前月比2.3%/前年同月比▲1.1%)
○18:30   12月英サービス部門PMI改定値(予想:53.2)
○19:00   11月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比1.3%/前年比22.9%)
○21:30   12月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○22:00   12月独消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.4%/前年比5.1%)
○22:30   11月カナダ貿易収支(予想:20.3億カナダドルの黒字)
○22:30   11月米貿易収支(予想:771億ドルの赤字)
○22:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:19.7万件/168.8万人)
○24:00   12月米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業指数(予想:66.9)
○24:00   11月米製造業新規受注(予想:前月比1.5%)
○7日01:30   デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、講演
○7日03:15   ブラード米セントルイス連銀総裁、講演
○スウェーデン、ポーランド(公現祭)、ロシア(新年休暇)、休場

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