FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:見送りムード強まり徐々に動き鈍る

前日のNYダウ高は好材料となったものの、日経平均株価は売り優勢でスタートした。薄商いの中で先物主導で下げて始まり、一時前日比300円を超す下落幅となった。ただ、それ以上に売り込む様子はなく、その後は戻り歩調に転じた。国内では明日から4連休となるため、徐々に見送りムードが強まる展開となった。結局、前営業日比115円安の2万8791円と続落して大納会が終了した。12月第4週(20日~24日)の海外投資家は540億円の買い越しとなり、買い越しは7週ぶりになった。個人投資家は2278億円の売り越しとなり、売り越しは3週連続となった。信託銀行は217億円の買い越しとなり、買い越しは10週連続となった。

 

東京外国為替市場:リスク回避姿勢が和らぎ円売り優勢

ドル/円は、本邦輸入企業などのドル買い・円売りに支えられ、115.05円付近へ値を上げた。日経平均株価が急速に下げ幅を縮小し、リスク回避姿勢が和らいだことも円売りを誘った。午後に入っても堅調地合いは続き、一時115.21円付近まで値を上げて約1ヵ月ぶりのドル高・円安をつけた。ユーロ/ドルは、前日のNY市場に急伸した反動から利益確定などのユーロ売り・ドル買いが優勢となり、1.1325ドル付近へ下落した。

 

日経平均のドルベースでは年初来でマイナス

ドルベース日経平均では250ドル台で今年の安値圏にある。昨年末水準の265.57ドルを下回って年初来でマイナスとなった。海外投資家からみれば割安どころか、ドル建てで極めてパフォーマンスが悪い指数になっている。欧米と比べて新型コロナの新規感染者数が少なくても見直し買いは入りにくい展開になっている。

 

ドル/円の取引量は21年は今世紀最低に

外国為替市場で東京の存在感が薄れている。2021年は円の対ドル相場の値幅は5年ぶりの大きさとなったものの、東京市場では直物(スポット)取引の出来高は今世紀に入って最低水準に沈む。新型コロナウイルスの影響が事業会社など実需の取引に影響を及ぼしているうえ、日銀の大規模な金融緩和策はいつまでも『出口』がみえず、外為市場で日本離れが進んでいる。日銀が日々公表する外国為替市況のデータによると、21年はドル/円のスポット取引の出来高が28日までで1兆321億ドルだった。20年(1兆1095億ドル)を下回り、データが遡れる1999年以降では4年続けて最低を更新することが濃厚である。『供給制約による輸出減少で国内企業による円買い需要が少なかった』といい、コロナ禍が実需筋に影響を与え続けている。

 

枯渇が懸念されるトルコ中銀の外貨準備高

トルコ中銀は29日朝、金(ゴールド)口座からリラ建て定期預金口座への転換支援(外貨換算との比較で損失補填)を表明した。市場参加者は、リラ支援策への期待ではなく、中銀のバランスシート悪化に繋がる枠組みへの警戒感を強めている。また中銀は、2022年政策報告で『為替市場リスクを注視する』と述べたが、市場の反応は極めて限定的だった。問題はやはり、枯渇が懸念される中銀の外貨準備高です。カブジュオール・トルコ中銀総裁は先週末、『2週間以内に2カ国(アゼルバイジャンとアラブ首長国連邦)と通貨スワップ協定を締結する可能性がある』と述べた。残り1週間で協定内容を明らかにすることができるかが注視される。 なおネバティ財務相は昨日、来年の為替相場はリラが安定し、また国内の物価点検により、インフレ率は確実に低下するとの見解を示した。財務相は、23年にはインフレ問題は解決しているとも述べている。インフレ高騰の元凶である低金利政策に自身もこだわるなか、あまりにも楽観的な姿勢と言え、市場の失望感を広がらせることになる。

 

米・露首脳は30日に電話会談:ウクライナを巡る協議

米ホワイトハウスは29日、バイデン大統領とロシアのプーチン大統領が30日に電話会談すると発表した。緊張が高まるウクライナ情勢など安全保障上の問題について協議する。米政府高官は、ロシア軍がウクライナに侵攻した場合、対抗措置を取る準備ができていると強調した。米欧は、ロシアがウクライナ国境付近に部隊を集結させ、ウクライナに侵攻する可能性があると主張した。ロシア側は、米欧の軍事同盟である北大西洋条約機構(NATO)の東方不拡大を盛り込んだ米ロ間の条約締結交渉を求めている。米政府高官によると、電話会談はロシア側が要請した。

 

2022年の米FOMC投票メンバーはタカ派に傾斜の可能性

2022年の連邦公開市場委員会(FOMC)は2021年に比べ、タカ派に傾斜する可能性がある。パウエル議長はすでに、高インフレがもはや一過性ではなく、2022年まで持続するとの見方に、高インフレ対処の必要性に言及した。21年のメンバー、通常はハト派として知られるシカゴ連銀のエバンス総裁、超ハト派のアトランタ連銀のボスティック総裁のほか、リッチモンド連銀のバーキン総裁、サンフランシスコ連銀のデーリー総裁にかわって、早期の利上げの必要性を主張してきたセントルイス連銀のブラード総裁、タカ派で知られるクリーブランド連銀のメスター総裁、カンザスシティー連銀のジョージ総裁に加えて、ボストン連銀のモントゴメリー氏が22年のFOMC投票権を持つ。オミクロン変異株流行が急増しているが、2020年の状況とは異なり大規模な都市封鎖は回避される見込みで、供給不足も2022年の上半期に緩和が見込まれ、経済や労働市場の強い回復を見込み金利先物市場はすでに2022年3回の利上げを完全に織り込んでいる。

 

欧米市場イベント

○16:00   12月英ネーションワイド住宅価格指数(予想:前月比0.5%)
○17:00   12月スイスKOF景気先行指数(予想:106.4)
○19:00   外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)
○22:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:20.8万件/186.8万人)
○23:45   12月米シカゴ購買部協会景気指数(予想:62.0)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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