FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:東京都で変異型の市中感染が確認されるとマイナス圏に

前日の米国株高を好感して小幅高で始まった後、小動きが続き方向感は出なかった。海外勢がクリスマス休暇で市場参加者が少ない中、相場は盛り上がりを欠いた。市場では、出来ないもので勢いもない。産業別の動向にも特色はみられないとの声が聞かれた。日経平均は週初に2万8000円を下回る水準まで下落後に3日続伸していたことから戻り待ちの売りが出て上値を抑えた。午後に入り、東京都で新型コロナウイルスの変異型『オミクロン株』の市中感染が初めて確認されたと伝わると、日経平均は下落に転じた。結局、前営業日比15円安の2万8782円で終了した。

 

東京外国為替市場:海外勢の流動性低下で全般様子見ムード

ドル/円は、仲値に向けて本邦輸入企業などがドル買い・円売りに動き、114.51円付近まで値を上げて約1ヵ月ぶりの高値をつける場面があった。しかし、週末を控えて積極的な上値追いは見られなかった。その後は、高値警戒感から利益確定やポジション調整のドル売り・円買いに押され、114.30円台へ下落した。午後は、日経平均株価を睨みながら、114.40円前後で取引された。クリスマス休暇入りで海外勢の流動性が低下しており、様子見を決め込む市場参加者も多かった。ユーロ/ドルは、1.13ドル台前半で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

中国の民間債務膨張で世界的な金利上昇による難局を迎える

国際決済銀行(BIS)によると、2021年3月末現在、中国の民間債務は36兆ドルと米国(35兆ドル)を僅差で抜いて世界最大となり、その残高は2008年末から12年間で31兆ドル急増、その間の世界の債務増加額58兆ドルの過半超を中国一国が占める不都合な真実がある。『重商主義』輸出攻勢による高成長に巨大な資源『爆買い』を背景に世界経済への影響力を強めてきた中国だが、そのアキレス腱は1.2兆ドル(約136兆円)に膨れ上がった外貨建て対外債務の存在であり、36兆ドルの世界最大の民間債務である。かかる外貨建て債務の膨張は、不動産大手『恒大集団』の外貨建て社債の部分デフォルトに象徴される如く、世界的なインフレ昂進と長期金利上昇により難局を強いられる。さらに、注目すべきは、中国の債務比率や65歳以上の人口比率の推移が、バブル崩壊前後の日本と瓜二つであり、中国は30年前の日本と同じ債務膨張の末のバブル退治と人口動態上の難局に直面、低成長時代への幕が開けられたという。

 

中国の西安市はロックダウン開始:約1300万人に自宅待機

中国の西安市で新型コロナウイルスの感染が広がり、同市は23日から事実上のロックダウン(都市封鎖)を開始した。住民約1300万人に自宅待機を求め、移動を制限。大規模なPCR検査を実施し、感染の封じ込めを急いでいる。中国メディアによると、西安市では最近、ネズミが媒介するハンタウイルスに感染して発症する出血熱も相次いで確認されている。当局は二つのウイルスの感染拡大に神経をとがらせている。新型コロナの感染は9日ごろから拡大。新華社電によると、同日から23日午後1時(日本時間同2時)までに計234人の感染が確認されている。

 

2022年世界の石油需要は過去最高更新の可能性も

2021年の世界の石油需要が、新型コロナ禍からの景気回復にともない大幅に増加したと報じている。22年は温暖化対策で化石燃料使用の削減が進むことが見込まれるが、世界全体の消費量は過去最高に達する可能性があるとしていた。国際エネルギー機関(IEA)によると、22年の原油消費量は日量9953万バレルと、21年の同9620万バレルから増加し、19年の同9955万バレルに迫る見通しだという。

 

トルコ政府の預金保護措置はステルス利上げ

トルコ政府のリラ建て預金の保護措置は、ドル/トルコリラが10リラから20リラまで100%減価、為替差損を被った場合、預金金利が20%とすれば、高い方?の100%が適用されるらしい。すなわち、個人の1年以下の預金に限れば、利上げしたことになるため、ステルス利上げとなる。そして、この損失補填分は、財政支出となることで、トルコの財政赤字が悪化することになる。 トルコの一般国民が保有するリラ建て定期預金残高は12月10日時点で約1兆2000億リラ(約925億ドル)に上る。外貨建て預金残高は、約2600億ドルとなっている。トルコの人々は、今回の預金保護措置を信じて、リラ建て預金はそのまま、外貨建て預金はリラ建てに転換するのだろうか。
 トルコ政府の対外債務残高は、2020年末で4500億ドル、対GDP比60.4%、今年は、リラの下落により膨張しており、国家債務残高も2020年が1.6兆リラ、2021年が2.2兆リラに拡大している。そして、デフォルト(債務不履行)への警戒感が高まっていることで、格付け会社は格下げしている。

 

南アではオミクロン株の流行はピークアウトか:ランドには好材料

南アフリカを含むアフリカ地域は世界的にみてワクチン接種が遅れる展開が続くなか、先月末に同国で新型コロナウイルスの新たな変異株(オミクロン株)が確認された。その後は世界的に感染拡大の動きが広がるとともに、同国でも感染拡大の動きがオミクロン株に置き換わることで感染動向が急速に悪化する事態に見舞われた。足下では依然として感染爆発が懸念される状況が続いているが、新規陽性者数や陽性率は頭打ちしているほか、重症化率も低いなど早くもピークアウトが意識されつつある。感染動向のピークアウトは明るい材料となる。

 

2022年は米国の利上げが想定され:ドルはやや強気の展開か

シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のFedWatch(CMEグループがFF金利先物の動向に基づき算出する数値)によると、2022年6月時点で0.25ポイント以上の利上げが実施される確率は22日時点で88%程度。市場参加者は来年6月までに少なくとも1回の利上げが実施されることを確実視している。22日時点で、来年9月時点で0.5ポイント以上の利上げ確率は71%程度、来年12月時点では88%程度まで上昇するが、0.75ポイント以上の利上げ確率については、来年12月時点でも63%程度にとどまる。利上げ確率は今後発表される経済指標の内容次第で大幅に変動する可能性があるが、インフレや雇用関連の経済指標の発表後における利上げ確率の動向は注目に値する。金融市場が2022年に3回の利上げを十分に織り込む場合、来年12月時点で0.75ポイント以上の利上げ確率は少なくとも80%を超えているとみられる。2022年における3回の利上げ実施を想定している投資家はドルに対してやや強気だが、3回利上げの確率がやや低下した場合でも、米国経済の相対的な優位性を意識してドルに対してやや強気な見方を維持する可能性がある。

 

欧米市場イベント

○21:00   11月メキシコ貿易収支(予想:19.72億ドルの赤字)
○香港、シンガポール、フランス、英国、南アフリカ、カナダ、メキシコなどは短縮取引
○スイス、ドイツ、スウェーデン、ノルウェー、米国(以上、クリスマスの振替休日)、ブラジル(クリスマス・イブ)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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