FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:自立反発を狙った買いが優勢

前日までの大幅下落の反動もあって買戻しが活発になり、全般は急速に引き戻した。また、テクニカル面では売られ過ぎを示唆する指標が目立つ一方、2万8000円以下の水準はチャート上で底堅くなるとの見方も出ている。バイデン米政権の子育て支援や気候変動対策に10年で1.75兆ドル規模を投じる歳出・歳入法案に関し、反対を表明していた米民主党のマンチン上院議員が20日に発言を修正したと一部で伝わっており、市場では『法案をめぐる不透明感の後退が米株価指数先物の上昇につながっているとみられ、日本株の買い安心感になっている』との見方もあった。結局、前営業日比579円高の2万8517円と3営業日ぶりに大幅反発となった。

 

東京外国為替市場:ドル/円は113.70円付近でもみ合い相場

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ113.70円付近まで上昇した。日経平均株価の大幅高でリスク選好が高まったことも円売りを誘った。ただ、米国で新型コロナウイルスのオミクロン株の感染者が急増し、初めての死亡者が確認されたことから上値を追う動きは限られた。その後は、持ち高調整などのドル売り・円買いも見られ、113.65円を挟んでもみ合いとなった。午後は、米長期金利上昇や内外株高を眺めてドル買い・円売りが入り113.74円付近までじり高となった。ユーロ/ドルは、1.1280ドル前後で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

国内経緯判断を上方修正は17ヵ月ぶり

政府は21日にまとめた12月の月例経済報告で、国内景気に関する総括判断を『このところ持ち直しの動きがみられる』に上方修正した。上方修正は2020年7月以来、17ヵ月ぶりとなった。11月は『引き続き持ち直しの動きに弱さがみられる』だった。新がコロナウイルス感染者が減少し社会経済活動が再開された。国内総生産(GDP)の過半を占める個人消費で、外食以外の娯楽などにも回復の動きが広がっていることを反映した。日本経済の先行きについては『変異型をはじめ感染症による内外経済への影響や金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある』と新型コロナの変異型に言及した。海外の景気判断は『持ち直している』と据え置いた。この表現を用いるのは2ヵ月連続となった。

 

自社株買いが過去1年で最大:BofAセキュリティーズ

21日付の顧客フローのリポートによると、同社の顧客は13~17日の1週間に米株を49億4600万ドル買い越した。3週連続の大幅買い越しとなる。この週は14~15日に行われた米連邦公開市場委員会(FOMC)がタカ派的な内容となり、S&P500指数が週間で1.93%安となって2週ぶりに下げた時だった。主体別動向では、ヘッジファンド(HF)が1億2800万ドルの小幅買い越しで、2週ぶりの買い越しとなった。機関投資家は9700万ドルの小幅買い越しで、3週連続の買い越しだった。個人投資家は9億7700万どるの買い越しで、2週ぶりの買い越しとなった。企業の自社株買いは37億4500万ドルで4週移動平均(28億2000万ドル)を上回った。傾向としては全主体が買い越しとなる珍しい状況だったが、基本的には自社株買いが過去1年で最大となり、全体の額を押し上げた。

 

中国は景気押し上げの本腰から金融緩和実施

中国人民銀行(中央銀行)が今月に入り、相次いで金融緩和を実施した。5年に1度の共産党大会開催を来年秋に控えて経済の安定が最重要課題となる中、減速懸念が強まる景気の押し上げに本腰を入れる。人民銀は15日、金融機関から預金を強制的に預かる比率である預金準備率を0.5%引き下げ、約1兆2000億元(約21兆4000億円)の資金を放出した。20日には銀行貸出金利の指標である最優遇貸出金利(LPR)1年物を0.05%下げ、3.80%にしたと発表した。預金準備率は5カ月ぶり、LPRは1年8カ月ぶりの引き下げだった。米国が量的緩和の終了前倒しを決め、英国は利上げに踏み切るなど、欧米ではインフレ圧力の高まりを背景に金融引き締めの動きが強まっている。中国も原材料価格の高騰に見舞われているものの、景気を優先し、金融緩和に踏み切った。

 

トルコリラの通貨量増大でインフレ高進とリラ暴落への道

昨日、エルドアン大統領が為替変動からリラ建て預金を保護する措置を発表した。そして、リラの下落が銀行金利を上回った場合、預金者の損失を政府が補償するという。大統領は今後、為替変動を恐れ、預金をトルコリラから外貨に移行する必要はないと訴えた。このため、リラの買戻しが加速した。しかし、よく考えてみると補償すると言ってもリラ紙幣を刷って国民に渡すことになる。そして、通貨量の増加からインフレの上昇率は早まることになり、リラ通貨はさらに価値を失うことになる。そうなれば、さらにリラ紙幣をするって通貨量を増やすことになり、ハイパーインフレに向かって猪突猛進することになるのではないだろうか?要するに目先のリラ防衛となるものの、いずれリラ暴落につながる可能性が高い。

 

南アではオミクロン株の感染カーブが緩やかに

南アからのポジティブ要因としては、新型コロナウイルス・オミクロン株の感染拡大が始まって以来、週末に初めて入院患者数が減少した。世界保健機関(WHO)の主任研究者は『オミクロンがより穏やかな変種であると結論付けるのは時期尚早』と発言していることもあり油断はできないが、感染のカーブが緩やかになっていることは南アにとっては久々の好要因である。ただし、米国の新型コロナウイルス感染の約73%がオミクロン株となっているなど、今後南ア以外の国でも経済が停滞することになれば、リスク選好にはなりにくいことがランド/円の上値を圧迫しやすい。

 

米税制・支出案支持する条件説明:法案成立に不透明感

米民主党中道派のマンチン上院議員は20日、バイデン大統領の経済施策が盛り込まれた2兆ドル(約227兆円)規模の税制・支出法案について、自身が望む変更内容を具体的に説明した。マンチン議員はウェストバージニア州のラジオ局メトロニュースの番組『トークライン』で、税法をより公正なものに改正し、現行の法案よりも幅広く処方薬価格を引き下げるほか、規模を1兆7500億ドルに縮小する場合に限り支持すると述べた。同議員はバイデン大統領と民主党指導部が来年1月の休会明けに、より小規模な法案バージョンの復活に取り組む道筋を示したが、シネマ上院議員が処方薬価格引き下げの推進に加え、法人・個人所得増税についても反対していることから、上院民主党指導部が受け入れるのは難しい見通しである。

 

欧米市場イベント

○未定   12月月例経済報告
○16:00   1月独消費者信頼感指数(Gfk調査、予想:▲2.7)
○17:30   11月香港消費者物価指数(CPI、予想:前年同月比1.9%)
○18:00   カジミール・スロバキア中銀総裁、講演
○22:30   10月カナダ小売売上高(予想:前月比1.0%/自動車を除く前月比1.5%)
○22:30   7-9月期米経常収支(予想:2050億ドルの赤字)
○24:00   12月ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値、予想:▲8.0)
○22日03:00   米財務省、20年債入札

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