FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:世界的なオミクロン株の感染拡大を懸念した売り優勢

東京市場で日経平均は、安く始まった後も上値が重かった。前週末の米国株安や、オミクロン株の感染拡大による世界経済への悪影響の懸念が重石となった。中国で利下げの発表があった前後から中国株が下落すると、日本株も連れて下げを深める場面があった。市場では商いが薄い中で先物の売りに振らされやすいとの声が聞かれた。終値で心理的節目の2万8000円を下回ったのは6日以来、2週間ぶりとなった。結局、前営業日比607円安の2万7937円と続落して終了した。

 

東京外国為替市場:積極的な売買が見送られ113円半ばの狭いレンジ相場

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ113.70円付近へ上昇した。しかし、米国で新型コロナウイルスの感染者が急増していることもあり、上値を追う動きは限られた。その後、日経平均株価が急速に下げ幅を拡大すると、リスク回避の円買いが強まり、113円台半ばへ押し戻された。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、113.40円台を中心とした狭いレンジで取引された。米FOMCやECB理事会の重要イベントを終えて、積極的にポジションを傾けにくくなっている。ユーロ/ドルは、先週末の海外時間に急落した反動から利益確定などのユーロ買い・ドル売りが入り、1.1255ドル近くへ値を上げた。

 

個人金融資産が過去最大に膨らむ

日銀が20日発表した7~9月期の資金循環統計(速報)によると、9月末時点で個人が保有する金融資産は前年同期比5.7%増の1999兆8000億円と過去最大に膨らみ、2000兆円に迫った。株高・円安で個人が保有する株式や投資信託の評価益が膨らんだ。家計金融資産は6月末時点で1991兆円だった。増加は6四半期連続となった。2020年3月から21年9月末までの間に金融資産は約180兆円増えた。資産形成ブームの中で個人が投資を積極化している米国株の上昇も個人資産を押し上げた。NYダウは9末時点で前年比22%上昇した。円安も加わって評価益を押し上げた。

 

大晦日にLIBOR金利が新たな金利に切り替わる

ロイターは、今年の大晦日、多くの銀行職員や規制当局の担当者がスクリーンの前に陣取り、かつて世界でもっとも重要な数字と言われた金利が静かに歴史本に収まるのを見守ることになるだろう、と報じている。ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)がこの日、ついに新たな金利に切り替わり、デリバティブから各種ローン、企業の資金調達、クレジットカードに至る基準金利としての使命が終わる。銀行関係者らは、大晦日に行われるこの切り替えを『Y2K』になぞらえているという。Y2Kとは、2000年の元旦に世界中のITシステムが誤作動するかもしれないと警戒されたコンピューターの『2000年問題』である。

 

トルコリラ安でイスタンブール株式市場も大きく下落

金融政策委員会(MPC)は低金利信奉のエルドアン大統領の言いなりであり、市場に諦め感が漂うなかでリラ円は先週、14日以外は最安値更新を記録した。特にトルコ勢の参入直後のリラ売りが目立ち、国内からの資金逃避が日増しに高まり続けていることがうかがえる。トルコ中銀による直接の市場介入も、外貨準備高不足を見透かされているため効果はかなり限定的である。市場が中銀に送っているシグナルは『金融引き締めへの転換』だが、先週MPC会合の声明では来年1-3月期の利下げ休止に言及したものの、状況次第では春以降に緩和サイクルの再強化もあり得ると捉えられた。金融緩和を背景に堅調だったイスタンブール株式市場も、通貨暴落を嫌気して先週末は大きく値を下げ、2度の売買停止(サーキットブレーカー)が発動された。このまま株式市場までも崩れてしまえば、リラの魅力は益々失われていく。

 

南アでは新規感染者増加とインフレ進行に警戒

特に、ワクチン接種がなかなか進まない南アフリカでは新規感染者数の増加は止まらず、今後の医療ひっ迫や経済停滞への懸念は高まったままである。今後もオミクロン株関連報道には注視する必要がある。また、足もとのインフレ高進が想定以上ということも危惧すべき材料の一つである。先週発表された南アの11月消費者物価指数(CPI)は、前年比+5.5%と南ア準備銀行(SARB、中央銀行)のインフレ目標(3-6%)内で推移している。しかしながら、約10年ぶりの高い水準を前年比で記録した同月卸売物価指数(PPI)を鑑みると、更なるインフレ加速は避けられない。今後高まるであろう利上げ圧力にSARBがどのように対応するのかが注目である。

 

メキシコ中銀は0.50%の大幅な利上げで年内会合を終了

メキシコ中銀は、金融政策決定会合で5会合連続の利上げ、さらに0.50%(政策金利:5.50%)という大幅な利上げを決定し、今年の会合を終えた。インフレ見通しについては、来年を概ね引き上げた一方、2023年のインフレ見通しはほぼ変えず、短期的なインフレという認識を変えなかった。一方で、『インフレ軌道のリスクバランスはさらに悪化し、上向きのバイアスのまま』と警戒を示してもいる。今回の会合でディアスデレオン総裁は任期満了で終了となり、来年からは国内初の女性総裁となるロドリゲス氏が就任する。エレラ前財務公債相が次期総裁として確実視されていたなかでの突然の採用にロペスオブラドール大統領と昔から仲が良かったという情報が出回る中では大統領の中銀介入を疑われてもおかしくない状況である。そのような状況で来年以降の中銀のかじ取りには注目が集まる。また、今会合で一番注目となったのはエスキバル委員が0.25%の利上げを主張していたことである。同委員はこれまで4回連続で利上げに反対していたので、今回でタカ派に移行した背景を探る上でも来年1月6日に予定されている議事要旨の内容にも注目したいところである。

 

米中古車価格のピークは1Q、新車価格のピークは2Q:ゴールドマン

ゴールドマン・サックスは17日付のリポートで、新型コロナウイルスの新たな変異株オミクロン型が新たな(インフレの)アップサイドリスクの発生源であるとの見解を示した。リポートでは、中国とマレーシアにおける過去のロックダウンが米国の半導体供給を低下させ、輸入の減少と相関性があったとしながら、『仮に海外のチップメーカーのロックダウン指数が10パーセントポイント上昇したとすると(デルタ株の時には約25パーセントポイント上昇した。)、米国の自動車生産はらに3~4%低下すると推定される。これにより、コアPCE物価指数がさらに0.1~0.15パーセントポイント上昇する可能性がある』と指摘した。22年1~3月期(1Q)には新車・中古車価格がさらに上昇すると予想され、新車価格のピークは22年4~6月期(2Q、従来予想は1Q)。中古車価格のピークは1Q(従来は21年12月)と想定しているとも指摘した。コアPCEは6月に3.4%、12月に2.5%とみていた。

 

欧米市場イベント

○18:00   10月ユーロ圏経常収支(季節調整済/季節調整前)
○24:00   11月米景気先行指標総合指数(予想:前月比0.9%)

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