★日経平均株価:利益確定売りに押されて上値の重い展開
オミクロン株への不安は後退しつつあるが、前日までの大幅な上昇に対する警戒感や2万9000円に近づくと戻り売りが厚くなると懸念され、小幅安の水準で小動きに終始した。テクニカル的には、2万8900円付近を通る200日SMAに上値を抑えられているほか、心理的な節目2万9000円付近には、25日SMAや75日SMAといった主要な主要な移動平均線が集まっており、戻り売りが意識されやすい展開となった。結局、前営業日比135円安の2万8725円と3日ぶりに反落して終了した。12月第1週での海外投資家は1201億円の売り越しとなり、4週連続となった。
★東京外国為替市場:株安を意識した円買いも下値限定
ドル/円は、本邦輸入企業などのドル買い・円売りに支えられ、一時113.81円まで上昇した。新型コロナウイルスの変異株(オミクロン株)に対する過度な懸念が和らいでいることも、リスク選好の円売りを誘った。ただ、前日の海外市場でつけた高値113.95円が視野入りする上げは一服となった。午後に入ると、日経平均株価やNYダウ先物のさえない動きを眺めたドル売り・円買いに押され、113.58円付近まで下落した。米長期金利が小幅に低下したことも、ドル売りにつながった。しかし、明日発表される11月米消費者物価指数(CPI)を見極めたいとのムードもあり、下値を追う動きは限られた。その後は、日米金融政策スタンスの違いを意識したドル買い・円売りが入り113.65円付近へ戻した。ユーロ/ドルは、1.13ドル台前半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。
★投資顧問契約残高は過去最高を更新
日本投資顧問業協会が9日公表した資産運用を請け負う投資顧問会社の契約残高によれば、2021年9月末で511兆5030億円と6月末比+2.1%と過去最高を更新した。自民党総裁選をきっかけに日本株が大幅に上昇したことで残高が伸びた。
★オフィス空室率がコロナ後初の下落
オフィスビル仲介大手の三鬼商事が9日に発表した11月の東京都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)の空室率は6.35%と、10月に比べ0.12ポイント下がった。空室率の低下は1年9ヵ月ぶりとなった。新型コロナウイルスの本格的な拡大後、初めて空室率が下がった。賃料が下がり割安圏が出たことで、一部でオフィスを広げる動きがあった。地区別では中央区が0.17ポイント高の5.47%と、5区で唯一空室率が上昇した。新宿区は大手IT(情報技術9企業がオフィスを増床し、6.13%と0.66ポイント低下した。港区や渋谷区も空室率は下がり、千代田区は横ばいにとどまったことで、都心の空室率上昇が一服した。
★エルドアン大統領は『高金利は絶対に信じない』と再び強調
一昨日の反発は結局ポジション調整の域を出ず、エルドアン大統領の低金利信奉が依然として相場の重石である。大統領は国民に対し昨日、辛抱強く政府の新たな経済モデル(低金利による経済成長や投資、輸出などを優先)を信頼する必要があると訴えた。インフレ高進の止む様子が全くないにもかかわらず、トルコ中銀が来週の会合で追加利下げを実施する可能性があるうちは、リラ買いづらさは続く。ところで、格付け会社フィッチ・レーティングスは、インフレ悪化を受けてトルコ中銀は来年にも利上げを実施せざるを得ないと見ている。ただ政策金利の引き上げも17%としており、トルコへの資金回帰に繋がるかは疑問が残る。
★南アでは引き続きオミクロン株が経済的な悪影響は残存
オミクロン株について重症化のリスクが和らぎ、ワクチンの効用もある程度期待できることがランドの支えになる。しかしながら、英国がオミクロン株の感染拡大を抑制するために、新たな規制の導入を検討するなど、感染力の強さには依然として警戒となる。感染力が弱まらない限り、南アの渡航制限が解除される可能性が低いことで、南アの経済的な悪影響は残存したままになる。本日発表の経済指標では7-9月期南ア経常収支が発表されるが、市場が反応するのは難しい。市場を動意づける要因としては、引き続きオミクロン株の詳細や株式市場の動きに連れることになる。
★メキシコ国営石油会社の経営再建が注目
国営石油会社ぺメックスが債券発行と政府からの35億ドルの資本注入を通じて財政を立て直すことを発表した。期末の負債額が1130億ドルにまで膨らんでいることを明らかにしているだけに、この措置で経営再建をどれくらい進められるかが注目される。
★10月JOLT求人件数は過去2番目の高水準:離職ペースは鈍化
米労働省が発表した米国の10月JOLT求人件数は1103.3万件と、9月から減少予想に反して増加し過去2番目の高水準となった。総失業率の740万人を大きく上回った。労働市場の需要が満たされるまで、まだ時間を要する可能性がある。8月、9月と、求人件数が減少したため労働市場の回復鈍化が懸念されたが、9月分も1043.8万件から1060.2万件へ上方修正され懸念が和らいだ。10月解雇率(Layoffs/discharges rate)も0.9%と、9月1.0%、前年1.2%から低下した。11月労働参加率も61.8%と10月61.6%から上昇したことも朗報。一方で、11月長期失業者数(15週以上)は依然高水準。労働市場の自信を表すとされる離職率は2.8%と過去最高を記録した9月の3.0%から低下した。低下は5月来で初めて。米雇用統計と同様に、労働市場への力強い回復の勢いは失速する様相も見られる。ただ、連邦準備制度理事会(FRB)が量的緩和(QE)縮小の軌道を修正する可能性は少ないと考える。
★欧米市場イベント
○16:00 10月独貿易収支(予想:143億ユーロの黒字)
○16:00 10月独経常収支(予想:170億ユーロの黒字)
○18:00 7-9月期南アフリカ経常収支(予想:2590億ランドの黒字)
○21:00 11月メキシコCPI(予想:前年比7.24%)
○22:30 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:22.0万件/191.0万人)
○24:00 9月米卸売売上高(予想:前月比1.0%)
○10日03:00 米財務省、30年債入札
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