FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:アジア株好調で好決算銘柄が物色

米連邦公開市場委員会(FOMC)という注目イベントを通過したことで安心感が広がったほか、アジア株の堅調も好感され終始堅調な展開となった。ただ、その後は上値の戻り売りが警戒されるほか、新型コロナウイルスの感染拡大が懸念されており、全体的に伸び悩む展開になった。一方、物色面では、好決算銘柄がにぎわった。市場参加者の企業業績に対する関心の高さが伺えた。結局、前営業日比200円高の2万7782円と反発して終了した。7月第3週の海外投資家は、3週ぶりに3133億円の売り越しとなった。

 

東京外国為替市場:米FRBの早期の量的緩和縮小の慎重姿勢でドル売り

ドル/円は、本邦輸出勢などから月末に絡むドル売り・円買いが持ち込まれ、109.70円付近へ下落した。前日に行われたパウエル米FRB議長の定例記者会見で、早期の量的緩和縮小に慎重な姿勢が示されたことも、ドル売りにつながった。しかし、今晩発表される4-6月期米実質国内総生産(GDP)速報値を見極めたいとの雰囲気もあり、下げは一服した。その後は、日経平均株価の底堅い動きや中国株高を眺めたドル買い・円売りで109.80円付近へ持ち直した。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、109.70円台を中心とした狭いレンジでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、FRBの緩和的な金融政策が当面続くとの観測からユーロ買い・ドル売り基調が続き、一時1.1860ドル付近へじり高となった。

 

トルコではコロナ新規感染者が4週間で4倍以上

トルコでは、新型コロナウイルスの1日あたり新規感染者数が2万2000人を超えた。4週間で4倍以上も膨れ上がっており、専門家のなかには8月に4万人まで拡大すると予想する向きも見受けられる。感染抑制のため、再び行動制限策の導入が必要との声も高まっている。しかしながら夏の観光シーズンの途中でもあり、トルコ政府が制限策を講じれば、観光・サービス業の首を絞めることになってしまう。政府はワクチンを信じ、足もとの感染の広がりは見逃す可能性もある。感染状況次第では経済回復を大きく遅らせることにもなり、トルコの対策が注目される。

 

南アは暴動被害を受け政策金利の決定にも影響か

ダンガマンドラ南ア労働相は、今月上旬の暴動で被害を受けた企業や、失業者に対しての救済を計っていると述べている。暴動の影響でハウテン州とクワズールナタール州では合わせると約7万5000人が一時解雇や完全解雇につながる可能性があると報じられている。雇用の悪化も南ア準備銀行(SARB)の政策金利の決定に影響を与える。本日は南アからはマネーサプライや卸売物価指数(PPI)が発表されるが、両指標ともランドを動意づけるのは難しく、株式市場やコモディティ価格の動向に左右される相場になりそうである。

・6月南アフリカマネーサプライM3(予想:前年比2.00%)
・6月南アフリカPPI(予想:前月比0.4%/前年比7.3%)

 

メキシコ国営石油会社の格付け引き下げ:ムーディーズ

米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは国営石油会社ペメックスの格付けを『Ba2』から『Ba3』に引き下げた。ムーディーズは今回の格下げについて『満期を迎える債務の影響で流動性リスクが高く、事業リスクも高まる』としている。ペメックスには国家のエネルギー戦略として多額の財政支援を行っている関係上、メキシコの格付けにも影響を及ぼす可能性が高く、今後の懸念材料として意識される。

 

米FRBはインフレよりも労働市場の状況が重要

注目のFOMCであったが、全体的にはあまりサプライズがなかったとの認識が強かったが、注視しておきたい点はいくつかあった。先ず、テーパリングについて正式に声明文に盛り込んできたことである。『QEを始めて以来、経済は目標に向かって進展してきている。委員会としては、引き続き今後の会合で進展状況を評価していく』と明言した。声明文に盛り込むまではいかないのではないかとの憶測もあっただけに、ある意味タカ派的な内容だったといえる。一方で、30分後のパウエルFRB議長の定例記者会見では、常に一番最初の質問者であるCNBCのスティーブリースマン記者が予想通りテーパリングについて問うと、時期などはまだ決まっていないが、労働市場の状況が一番重要であることを示唆した。完全雇用の詳細は避けたが、労働参加率なども含めた多元的な数字で判断しているとのことであった。市場はインフレ指標よりも、労働指標の重要性が増していることを確認することになった。また、もう一つの注目点は、テーパリングの方法についてある。市場では『MBSの減額から始める可能性が高い』との認識だったが、議長は『国債よりも先にMBSの減額を始めることへの支持は非常に少ない。MBSと国債は同時に減額させていくことになるだろう』との見解を表明した。その他では、全般これまでと同様の慎重な姿勢を崩さなかった印象である。いずれにしても、市場は今後、米雇用統計を中心とした米労働市場の動向に敏感に反応することは明らかである。解釈の難しいCPIやPCEコアデフレータよりもプライオリティが断然上になったことは言うまでもない。

 

パウエル米FRB議長は8月のジャクソンホール会議で講演予定

パウエル米FRB議長は28日、ワイオミング州ジャクソンホールで8月26-28日に開かれる年次経済シンポジウムに向け、講演原稿を執筆中と明らかにした。ただし、内容については明言を避けた。パウエルFRB議長はFOMC後の会見で『ジャクソンホール会議について私が言えることは何もない。講演は行うつもりだが、中身については現時点で言いたくない』と応じた。市場では、ジャクソンホール会議の場でテーパリング(量的緩和の縮小)に関する詳細が発表されるとの観測もくすぶる。パウエル議長はこの日、テーパリングの時期やペース、配分を巡って初めて突っ込んだ議論を行ったものの、『時期に関しては何一つ決定していない』と述べた。

 

米国市場では4-6月期国内総生産(GDP)速報値:予想:前期比年率+8.1%

1-3月期は前年比-1.3%だった。個人消費がさえない結果となったことから域内の経済成長率は前年同期比マイナスとなった。4-6月期については、ワクチン接種の拡大で個人消費の持ち直しが予想されていること、ユーロ圏製造業とサービス業購買担当者景気指数の回復具合などを考慮すると、経済成長率は前年同期比でプラスとなる可能性がある。

 

欧米市場イベント

○15:00   6月南アフリカマネーサプライM3(予想:前年比2.00%)
○15:45   6月仏卸売物価指数(PPI)
○16:30   6月スウェーデン失業率
○16:55   7月独雇用統計(予想:失業率5.8%/失業者数変化▲2.8万人)
○17:30   6月英消費者信用残高(予想:6.0億ポンド)
○17:30   6月英マネーサプライM4
○18:00   7月ユーロ圏経済信頼感指数(予想:118.5)
○18:00   7月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲4.4)
○18:30   6月南アフリカPPI(予想:前月比0.4%/前年比7.3%)
○21:00   7月独消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.5%/前年比3.3%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:38.0万件/319.6万人)
○21:30   4-6月期米国内総生産(GDP)速報値(予想:前期比年率8.5%)
       4-6月期米個人消費(速報値、予想:前期比年率10.5%)
       4-6月期米コアPCE(速報値、予想:前期比年率5.9%)
○23:00   6月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数、予想:前月比0.3%/前年比▲3.3%)
○30日02:00   米財務省、7年債入札

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