FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:上値も重く商いは盛り上がりを欠く展開

前日の米国株高を好感して始まった後、高値圏でのもみ合いに移行した。米連邦公開市場委員会(FOMC)や決算シーズンの本格化を前に、商いは盛り上がりを欠く展開となった。2万8000円近辺では利益確定売りも出やすく、上値は重かった。結局、前営業日比136円高の2万7970円と3日続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:アジア株安などを眺めリスク回避の円買い

ドル/円は、本邦輸出勢から月末に絡むドル売り・円買いが持ち込まれ、110.20円付近へじり安となった。上海総合株価指数やNYダウ先物がさえない動きとなったことも、リスク回避の円買いを誘った。午後に入っても軟調地合いが続き、110.17円付近まで下落した。ただ、前日の欧州市場でつけた安値110.13円に接近すると下げは一服した。その後は、値ごろ感からドルの押し目買いが入り、110.20円台へ値を切り返した。ユーロ/ドルは1.1805ドル前後でこう着相場となった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

トルコのCDSは高いながらも低下傾向:リラ買い要因

信用リスクを示すクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)を見ると、トルコ5年物国債CDSは374ベーシスポイント(bp)前後と依然として水準自体はまだ高い位置にいる。しかしながら3月末には480bp台だったことを考えると、落ち着きを取り戻しつつあると言っても良く、リラの買い戻し要因とも捉えられる。ただ気を付けたいのは、トルコで新型コロナウイルス感染が再び拡大していることである。1日あたりの新規感染者数が7月前半には5000人前後で推移していたところから、先週末には1万人台に乗せ、昨日発表では1万6000人を超えた。犠牲祭で人の流れが活発化し、今後も感染の広がりが加速する可能性は否定できない。

 

南ア準備銀行は利上げには慎重姿勢:ランド弱含みの要因

先週の南ア準備銀行(SARB)・金融政策委員会(MPC)は、市場予想通り政策金利は据え置かれたが、市場が予想していたよりもMPCが利上げにはかなり慎重姿勢を見せたのがサプライズとなり、MPC後ランドは弱含んでいる。MPCの前はナイドゥSARB副総裁は金利について『現在はマイナス金利の状態で、50ベーシス利上げしてもまだマイナス金利』と発言したこと。また、5月の消費者物価指数(CPI)が30カ月ぶりとなる5%台に乗り、MPC前日の6月CPIもSARBの目標レンジ(3-6%)の中心を上回ったことで、今回のMPCで利上げはなくても、年後半の利上げはあるのではないかという声が出ていた。しかしながら、MPCの声明で南アはインフレ抑制に自信を見せただけでなく、経済の先行きにも懸念を表明し、市場はタカ派が徐々に減ってきている。

 

ビットコインでの支払い受け入れとの報道を否定:米アマゾン

米アマゾン・ドット・コムは26日、同社が年末までに暗号資産(仮想通貨)のビットコインでの支払いを受け入れることを検討しているとの報道を否定した。ロンドンのCityA・M紙は匿名の『インサイダー』の情報として、アマゾンが年末までにビットコインでの支払いを受け入れると伝えた。これを受けてビットコインは一時14.5%上昇した。その後は押し戻され、直近では6%高の3万7684.04ドル。アマゾンの広報担当者は『この分野に対する関心はあるものの、暗号通貨に関する当社の具体的な計画を巡る憶測は事実ではない』と説明した。アマゾンは7月22日、デジタル通貨とブロックチェーン製品関連の求人情報を掲載している。

 

米国では実質金利が一時過去最低のマイナス:金融資産の下支えになりやすい

米金融市場で、名目金利から予想インフレ率を引いた実質金利が過去最低を更新した。足元ではインフレ圧力が強まっている一方、名目の米国債利回りは投資家の旺盛な需要を背景に低下(価格は上昇)基調にある。物価連動国債の取引から算出される米国の10年の実質金利は26日、一時マイナス1.12%まで低下し、1月などにつけていたマイナス1.11%を初めて下回った。2~3月には景気急回復や米金融緩和の修正観測を背景にマイナス0.5%台まで上昇していた。実質金利のマイナス幅が広がれば、企業や家計のあいだで借金をしてでも設備投資や住宅を購入した方がいいという判断が増えやすくなる。運用の面でも株式や金など別の金融資産におカネが流れやすくなる面もある。

 

米国ファンドに記録的な資金流入:上半期に100兆円流入

リフィニティブ・リッパーがまとめたデータによると、世界の投資家は今年上半期に、米国のミューチュアルファンドおよび上場投資信託(ETF)に純額ベースで9000億ドル(約99兆円)余りの資金を投じた。1992年以降のデータでは最高記録であり、今年1月~6月に投資家が世界の他地域のファンドに投じた合計金額を上回っている。
この資金流入を支えにして、米国株は記録的高値に押し上げられ、欧州やアジアの主要株価指数を上回る好調ぶりを示している。

 

米企業決算発表が本格化:調整株安となるリスクには注意

米国株市場では今週から月後半にかけて決算発表が相次ぐ。全体的にはITハイテク関連企業を中心として、良好な決算内容が期待されている。ただし、すでに米国株は好決算を織り込む形で6月以降も過去最高値更新が見られてきた。その意味で決算発表の前後では、一旦の好材料出尽くしや当座の収益回復『天井ピーク』思惑、事前期待比での失望などで、調整株安となるリスクには注意を要する。同時に今後の収益見通しに関しては、変異種などの感染再増加、根強い半導体不足などの供給制約、人手不足、素原材料価格の高騰、ITハイテク企業への規制強化圧力、米中の対立激化といった悪材料について、どの程度の悪影響が示されるかも注視される。

 

米国市場では7月CB消費者信頼感指数が公表:市場予想:124.5

6月実績は127.3と市場予想を上回り、2020年2月以来の高い水準となった。7月についても消費者の短期的な楽観傾向は変わっていないとみられるが、インフレ進行や新型コロナウイルス変異株の感染流行が懸念されており、信頼感指数は6月実績をやや下回る可能性がある。

 

欧米市場イベント

○16:30   黒田東彦日銀総裁、講演(日本記者クラブ)
○17:00   6月ユーロ圏マネーサプライM3(予想:前年比8.2%)
○20:00   6月メキシコ貿易収支(予想:17.00億ドルの黒字)
○21:30   6月米耐久財受注額(予想:前月比2.1%/輸送用機器を除く前月比0.8%)
○22:00   5月米住宅価格指数(予想:前月比1.6%)
○22:00   5月米ケース・シラー住宅価格指数(予想:前年比16.4%)
○23:00   7月米消費者信頼感指数(予想:123.9)
○23:00   7月米リッチモンド連銀製造業景気指数(予想:20)
○23:00   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○28日02:00   米財務省、5年債入札
○米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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