FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米国株安に連れた売り優勢

米国株式市場では、主要3指数が大幅続落して終了した。新型コロナウイルスのデルタ変異株の感染拡大で新たなロックダウンが実施され、景気回復がとん挫するとの懸念から広い業種に売りが出た。これを受けて日経平均株価も大幅安でスタートとして。ただ、下値も目処として意識されていた5月安値を割り込んだ後は、突っ込み警戒感も生じ、買い戻しが活発化したとの声も出ていた。さらに、日経平均のPER13倍台の日本株は割安感が強いことから、景気敏感株などに実需買いが流入したが、買いの勢いは続かなった。結局、前営業日比264円安の2万7388円と5日続落して終了した。

 

東京外国為替市場:109円台半ばでのもみ合い相場

ドル/円は、日経平均株価やアジア主要株価を睨みながら、109.50円台を中心とした狭いレンジで取引された。本日は五・十日にあたり、仲値にかけて本邦実需の動向が注目されたが、需給に大大きな偏りは見られなかった。午後に入り、米長期金利が小幅に低下すると、持ち高調整などのドル売り・円買いに押されて109.38円付近まで下落した。日経平均株価の下げ幅拡大もリスク回避の円買いを誘った。ただ、今晩の米国株価動向や米住宅関連指標を見極めたいとの雰囲気もあり、下げは一服した。その後は、値ごろ感からドル買いを戻す動きも見られ、109.50円近辺へ値を持ち直した。ユーロ/ドルは、ユーロ/円の下げに連れ安となり、1.1780ドル付近までユーロ売り・ドル買いが進んだ。

 

トルコ株式市場は本日から23日まで休場

イスラム教の二大祭礼の一つ『イード・アル・アドハー(いわゆる犠牲祭)』の期間に入り、イスタンブール株式市場も本日から23日まで休場となる。トルコ勢がほぼ不在のなかで、リラ/円は昨日同様にリスクセンチメントの強弱に振らされる展開になりやすい。世界的に新型コロナウイルス感染が再拡大しているが、トルコでも一日あたりの新規感染者数は7000人台と感染ペースが上昇しつつある。ただしコロナワクチンの接種回数では、接種合計回数6354万回は世界全体で8番目に多い数である。犠牲祭で祭り気分が高まるなかで人々の移動も増加することが予想され、トルコでもコロナ変異種の広がりが懸念されます。今後もし感染状況が悪化ともなれば、せっかく回復の兆しをみせてきたトルコ観光業の足かせになる。

 

増産を主張したUAEへの譲歩で最終合意

足下の世界経済は、主要国で新型コロナウイルスの感染収束やワクチン接種により景気回復が進む一方、新興国などで感染再拡大を受けた行動制限の再強化など景気に冷や水を浴びせる動きもみられ、好悪の材料が混在する。国際原油価格は様々な思惑が影響して不安定な動きが続いた。協議は難航が予想されたが、8月から年末まで毎月日量40万バレルずつ段階的な減産縮小、協調減産の来年末までの延長で合意する一方、来年5月以降の事実上の増産容認により来年9月頃の協調減産終了を目指すなど増産を主張したアラブ首長国連邦(UAE)への譲歩により最終合意に至った。当面の原油価格は世界経済の回復が進む一方、協調減産は小幅縮小に留まるなど堅調な推移が見込まれ、新型コロナ禍からの回復が進む世界経済への影響に要注意と言える。

 

南アが国内の暴動で国際的な信頼性を失う:ランドの上値を圧迫

先週拡大した南アフリカ国内の暴動は一旦落ち着きましたが、現地では食料、医療品などを含めた物資不足がいまだに解決されていない。ズマ前大統領の支持者がトラックを燃やすなどで高速道路を封鎖したことにより、サプライチェーンが困難に直面している。南アフリカ貨物輸送業者協会(SAAFF)は政府に対応を迫っているが、解決までは時間がある程度かかる。懸念されるのは、今回のこの暴動で南アが国際的な信頼性を失っている。今後、南アからの資金離れに繋がる可能性もあり、もしそうなればランドの上値を圧迫することになる。なお明日以降、21日に6月南ア消費者物価指数(CPI)、22日には南ア準備銀行(SARB)金融政策委員会(MPC)が開かれるので、週後半のランドはより振幅が激しくなる可能性がある。

 

米国株を2週ぶりに売り越し:B of Aセキュリティーズ

20日付けの顧客フローのリポートによると、同社の顧客は12~16日の1週間に米国株を5億1600万ドル売り越した。2週ぶりに売り越しに転じたことになる。この週は米長期金利の低下基調が強まってリスク回避の展開となったことを受け、S&P500指数が週間で0.97%安となって4週ぶりにに下げて終えた時だった。主体別動向では、ヘッジファンド(HF)が10億3800万ドルの売り越しで、2週ぶりの売り越し。機関投資家は16億8400万ドルの売り越しで、2週連続の売り越しだった。個人投資家は6億8700万ドルの買い越しで、2週連続の買い越し。企業の自社株買いは15億1900万ドルで、4週ぶりに10億ドルを上回った。傾向としてはHFや機関投資家の大幅売り越しが響いた一方、決算シーズンが始まる中で自社株買いが下支えとなった。

 

NAHB住宅市場指数は11ヵ月ぶり低水準:買い手が様子見の姿勢

全米住宅産業協会(NAHB)が発表したNAHB住宅市場指数の最新7月分は80と、予想外に6月81から低下し11カ月ぶり低水準となった。ただ、前年同月の72からは上昇した。需要は引き続き強いが、建築材や人件費の上昇が建設業者の信頼感の低下につながった。昨年の11月に過去最高を記録したのちは、低下傾向にある。拡大と縮小の境目である50は2014年7月以降7年間継続して上回っている。住宅価格の高騰で、買い手が様子見の姿勢に転じた。購買見込み客足指数は65で、今年初めて70を下回った。

 

米企業の決算発表:好材料出尽くしや失望などに警戒

米国株市場では今週から月後半にかけて決算発表が相次ぐ。全体的には良好な決算内容が期待されているものの、すでに米国株は好決算を織り込む形で6月以降も過去最高値更新が見られてきた。その意味で決算発表の前後では、一旦の好材料出尽くしや当座の収益回復『天井ピーク』思惑、事前期待比での失望などで、調整株安となるリスクには注意を要する。同時に今後の収益見通しに関しては、変異種などの感染再増加、根強い半導体不足などの供給制約、人手不足、素原材料価格の高騰、ITハイテク企業への規制強化圧力、米中の対立激化といった悪材料について、どの程度の悪影響が示されるかも注視される。

 

欧米市場イベント

○15:00   6月独生産者物価指数(PPI、予想:前月比1.1%)
○16:30   ビルロワ・フランス中銀総裁、講演
○17:00   5月ユーロ圏経常収支(季節調整済/季節調整前)
○21:30   6月米住宅着工件数(予想:159.0万件、前月比1.2%)
         建設許可件数(予想:170.0万件、前月比1.0%)
○シンガポール(ハリラヤハジ)、トルコ(犠牲祭)、休場

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