FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:上値の重さが意識され様子見ムード

前日までの急な戻りに対する警戒感や上値の重さが意識されていることから、軟調な始まりとなったものの、売り一巡後はさえ渋りの展開になった。ただ、上値を追う動きはみられず、小幅安の水準でのもみ合いに終始した。実需買いが入っているもみられたものの、参加者は依然として少ない。市場では、第1四半期の決算発表を見極めたいとのムードが強く、決算が出そろうまで閑散相場が続く可能性がある。午後は新規の取引材料に欠け、動意の薄い展開だった。結局、前営業日比109円安の2万8608円と3日ぶりに反落した。信用評価損率は9日申し込み時点でマイナス8.48%と、前週のマイナス8.11%からマイナス幅が0.37ポイント悪化した。悪化は3週間ぶりとなった。

 

外国為替市場:米長期金利の低下でドル売りやや優勢

ドル/円は、前日に発表された6月米消費者物価指数(CPI)の強い数字で、高インフレが今後も続くとの思惑からドル買いが優勢になった流れを引き継ぎ、110.70円付近まで上昇した。ただ、今晩に予定されているパウエル米FRB議長の議会証言を前に、積極的な上値追いは手控えられた。その後は、米長期金利低下を眺めたドル売り・円買いに押される展開となり、110.45円付近へ下落した。アジア主要株価が総じて軟調だったことも、リスク回避の円買いを誘った。午後は、新規の手掛かり材料に乏しく、110.50円前後で小動きとなった。ユーロ/ドルは1.17ドル台後半で方向感に欠ける値動きとなった。欧州勢待ちの様相となった。

 

20時のトルコ中銀の金融政策に市場の注目が集まる

主要政策金利である1週間レポレートは19%で据え置きが大方の市場予想です。見込み通りであれば、4会合連続の据え置きとなる。ポイントは声明内容となる。特に前回6月に注目された『高水準のインフレ率とインフレ期待を考慮し、4月インフレレポートの予測に沿った大幅な低下が達成されるまで、現在の引き締め的な金融政策スタンスを断固として維持する』とした一文である。その前の5月会合から、『引き締め的な』や『断固として』との文言が追加され、タカ派な内容と受け止められた。足もとのトルコインフレが再び加速するなかで引き締めスタンスの継続は当然のこととして、更なる利上げに含みを持たすことにでもなれば、リラ/円は昨日突入した日足一目均衡表・雲の中で強含むことができるかもしれない。逆に、支持率回復に躍起になっているエルドアン大統領の圧力に屈しタカ派姿勢を弱めることにでもなれば、リラ売りが加速する可能性もある。

 

南アの抗議活動が全土に拡大:南アランドの重石に

南アフリカで、ズマ前大統領(79)の収監に端を発した抗議活動が全土に拡大し、商店の略奪や警察への投石などの暴力行為が発生している。ズマ前大統領の出身地クワズール・ナタール州や、最大都市ヨハネスブルクを擁するハウテン州では警察が暴徒を抑えきれず、軍が2500人の派兵を決める事態となっている。ズマ前大統領の収監以来、数日間に少なくとも30人が死亡、500人近くが逮捕された。店舗やガソリンスタンド、政府機関は閉鎖を余儀なくされている。貧困や不平等、新型コロナウイルス対策の経済的影響に対する不満が火に油を注ぐ形となり、抗議活動は一層激しさを増している。

 

シティグループは南ア国債のオーバーウエート圧縮

米金融大手シティグループは、南アフリカ長期国債のいーバーウエート・ポジションを圧縮するとともに、通貨ランドのアンダーウエート・ポジションを構築したことを明らかにした。シティのルイス・コスタ氏は顧客向けノートに『南アにおける数日間にわたる社会情勢の混乱を受け、一方退いて騒乱の原因と影響を深く考える時が来た。われわれはこの不幸な最近の事態がさらに持続して与党アフリカ民族会議(ANC)のラマポーザ政権、そして最も大事な点として既に分裂しているANC内の今後の合意形成に重大な悪影響をもたらすのではないかとみている』と述べた。

 

米6月CPIは予想以上に上昇:インフレは一過性な要因との分析を裏付けた

米国の6月消費者物価指数(CPI)は前月比+0.9%となった。伸びは5月+0.6%から鈍化予想に反し拡大し、2008年6月以降13年ぶり最大を記録した。前年比も+5.4%とやはり予想外に伸びが5月+5.0%から拡大し、2008年8月来で最大となった。連邦準備制度理事会(FRB)が最も注視している変動の激しい燃料や食料品を除いたコアCPIは前年比で+4.5%と、1991年7月以降30年ぶり最大の伸びを記録した。
全体指数を押し上げたのは、5月と同様に中古車や航空運賃、輸送コストなど、主にパンデミックの影響を大きく受けたセクター。中古車、トラック価格は前月比+10.5%。全体の上昇のほぼ3分の1を占める。12カ月間で中古の自動車、トラックの価格は45.2%上昇した。新車の価格も前月比+2.0%。食品や燃料価格の上昇も、それぞれ+0.8%、+1.5%と著しい。ガソリン価格は前月比+2.5%、前年比では+45.1%。食品は前年比で+2.4%になった。 結果は、『インフレは一過性な要因が引き上げている』というFRBの分析を裏付けた。同時に、持続的にインフレを押し上げるとされる賃貸や宿泊施設などを含むシャルター価格の強い上昇に警鐘をならすアナリストも見られ、今後も動向を睨む。中古車などの価格は短期的にピークを付け、来年にかけて価格が下落に転じ、コアインフレを目標以下に押し下げるとの指摘もある。

 

6月米CPI結果を受け今後のパウエル米FRB議長の発言に注意

6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)後にパウエル米FRB議長は、『インフレはここ数カ月で著しく上昇し、数カ月間高止まりした後に鈍化する可能性がある』と発言している。消費者物価指数(CPI)は個人消費支出価格指数(PCE)と比較し調査対象も狭く、代替品などによる行動変化調整を行わず、対象品目も固定的なことで、短期的に上昇する傾向が強い。このようなことで、CPIの高まりがすぐにテーパリング期待につながらないように、米FRB議長は『インフレ要因は時間とともに後退するだろう』と6月後半の議会証言でも指摘している。しかしながら、FRB議長が上述の議会証言で『(前年比)5%のインフレは受け入れられない』と発言したこともあり、もし市場予想(4.9%)を上回り5.4%まで上昇したことで、パウエル米FRB議長の発言にも変化が出てくる可能性がある。

 

上院民主党が3兆5000億ドル規模のインフラ計画で合意

米議会民主党のチャック・シューマー上院院内総務が、上院民主党の指導部と上院予算委員会の民主党メンバーが3兆5000億ドル規模のインフラ投資計画で合意したと明らかにした。ロイターの報道によれば、予算委の民主党議員とホワイトハウス当局者は非公開で2時間余りにわたり協議を実施したといい、共和党議員は参加しなかったという。シューマー氏は『超党派計画の6000億ドルにこの額を足せば、4兆1000億ドルとなりバイデン大統領がわれわれに予算要求した額に非常に近い』と強調した。バイデン大統領と上院民主党は同計画について14日に協議する。

 

欧米市場イベント

○15:00   6月英消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.2%/前年比2.2%)
○15:00    CPIコア指数(予想:前年比2.0%)
○15:00   6月英小売物価指数(RPI、予想:前月比0.3%/前年比3.4%)
○15:30   6月インド卸売物価指数(WPI、予想:前年比12.23%)
○16:30   6月スウェーデン消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.1%/前年比1.3%)
        コア指数(予想:前月比0.1%/前年比1.5%)
○18:00   5月ユーロ圏鉱工業生産(予想:前月比▲0.2%/前年比22.2%)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○20:00   5月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比12.2%)
○20:00   トルコ中銀、政策金利発表(予想:19.00%で据え置き)
○21:30   5月カナダ製造業出荷(予想:前月比1.0%)
○21:30   6月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.6%/前年比6.8%)
       食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.5%/前年比5.1%)
○21:45   シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○23:00   カナダ銀行(BOC、中央銀行)、政策金利発表(予想:0.25%で据え置き)
○23:30   EIA週間在庫統計
○15日01:00   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、米下院金融サービス委員会で金融政策や経済情勢に関する半期に一度の証言
○15日02:00   ラムスデン英中銀(BOE)副総裁、講演
○15日02:30   カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演
○15日03:00   米地区連銀経済報告(ベージュブック)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

カテゴリー

カレンダー

4月 2024
« 1月    
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ページの先頭へ