FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米国株高と円安を好感した買い優勢

前日の米国株高や円安基調を受けて朝方に続伸して始まった後も、徐々に上げ幅を拡大した。ただ、買い一巡後は、米国株に対する高値警戒感もあり上値が抑えられた。足元で個人投資家などによる個別株物色は旺盛なものの、日経平均が3まん延を超えていくには海外勢の買いが必要とみられている。しかし、新型コロナウイルス感染拡大を受けて東京都が緊急事態宣言期間入りしており、外国人投資家も積極的に日本株を買う状況になく、目先はレンジでの動きが継続するとの見方との声が聞かれた。結局、前営業日比149円高の2万8718円と続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:米イベント待ちで様子見ムード

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りや日経平均株価の続伸に支えられ、110.45円付近へ上昇した。米長期金利が小幅に上昇したことも、ドルの押し上げにつながった。ただ、今晩発表される6月消費者物価指数(CPI)を見極めたいとの雰囲気もあり、積極的な上値追いは手控えられた。午後は、14~15日に予定されている米パウエルFRB議長の議会証言を控えて様子見ムードが広がり、110.40円を挟んだ方向感に乏しい値動きが続いた。ユーロ/ドルは、このところECB要人によるハト派的な発言が相次ぎ、金融緩和が当面続くとの思惑から持ち高調整などのユーロ売り・ドル買いが入り1.1855ドル近くへ軟化した。

 

中国の4-6月期GDPに注目

今週の注目イベントの一つに、15日発表予定の中国4-6月期GDPである。事前予想は前年同期比8.0%増となっており、前四半期から伸び率は大幅に鈍化する見通しとなっている。中国当局は当該期に金融引き締めの動きを強めているとみられ、足元で社債のデフォルト件数も増加傾向にある。これらの点から、中国の経済活動にはブレーキがかかっている可能性がある。中国経済の鈍化は世界経済全体にも影響を与えるだけに、内容を注視したい。

 

OPECプラス会合の今週再開の公算は小さい

石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなどの非加盟国で構成する『OPECプラス』内で、サウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)の対立緩和に向けた動きが進んでおらず、週内に会合が再開される公算が小さいことが関係筋の話で明らかになった。
サウジアラビアとUAEの対立が表面化したことで、OPECプラスは5日に再開する予定だった閣僚級会合を延期された。対立緩和に向けた取り組みをロシアが主導している。ただロシアのペスコフ大統領報道官はこの日、9日に行われた米ロ首脳の電話会談では、OPECプラスや国際原油価格は議題にならなかったと明らかにした。サウジとオマーンはこの日、OPECプラス内の協力継続を呼び掛ける共同声明を発表した。

 

トルコ観光業の回復期待高まるが労働市場改善は遠い道のり

トルコメディアによれば、同国地中海側の人気観光都市アンタルヤでは、ここ2週間で約30万人のロシア人観光客を受け入れたと報じられている。ロシアは先月後半に露トルコ間の航空便運航を再開し、その影響が着実に出ている。パンデミック禍で大打撃を受けたトルコ観光業だったが、徐々に回復への期待が高まっている。 昨日発表された5月トルコ失業率は13.2%と前回から強まったが、月の半分が全土でロックダウン(都市封鎖)が講じられた時期であり、求職活動を控えた(または諦めた)人が増加した影響があった。いずれにせよ依然として高い水準であり、労働市場の改善はまだ遠い道のりとなっている。

 

南アではズマ前大統領の支持者による暴動拡大

収監されたズマ前大統領の支持者が、ハウテン州を中心に暴動を拡大している。一部では恩赦の話も出ているが、有罪になった法廷侮蔑罪だけでなく、収賄などの容疑などもあり、前大統領は一部の支持者を除くと南ア国内・国外ともに非常に悪評の高い大統領である。ラマポーザ現大統領も恩赦を与えることの方がリスクと言える。昨日は暴動鎮圧のために、休暇中や他地域の警官もハウテン州へ派遣しているが、暴動が収集するかはまだ分からない。

 

南アではワクチン普及不足から感染拡大

ロックダウンについては、週末にレベル4の2週間延長(7月25日まで)を行うことが決定している。週末の新型コロナウイルス感染件数は1万6千人を超え、151人が死亡している。感染拡大に対して『第3波は第1・2波より深刻』とラマポーザ南ア大統領は国民に向けて発言するなど、ワクチン普及不足もあり現時点では拡大が収まりそうもない。

 

パウエル米FRB議長の半期に一同の議会証言に注目

今週の米国市場ではパウエル米FRB議長が金融政策について、半期に1度の議会証言を14日に下院金融委員会、15日に上院銀行委員会でそれぞれ行う。6月FOMCでの量的緩和縮小の議論開始や利上げ時期予測の前倒しを踏襲する形で、改めて緩和見直しの地ならしを前進させると、為替相場ではドル高の要因となりやすい。その場合、米国株には悪材料となるため、クロス円では円高・外貨安が警戒される。一方で前週までには世界的なコロナ感染の再増加や、世界景気の減速などが警戒され始めた。米国では新たなインフラ投資計画を巡り、与野党間の調整が難航している。こうした要因により、パウエル議長が微妙に緩和見直し『前のめり』のタカ派姿勢を再後退させる可能性も注視される。その場合は全般ドル安となる反面、米国の株高を通じてクロス円では円安と外貨高が支援される。

 

NY連銀の調査報告:中期インフレ期待は過去最高

NY連銀が12日に発表した6月の調査報告の中で、今後12カ月の中期インフレ期待は5月から0.8%ポイント上昇し、4.8%となった。2013年の統計開始以降で最高。一方、今後3年間のインフレ期待は3.6%で変わらず。しかし、いずれも連邦準備制度理事会(FRB)が健全な経済の成長を示唆するとする2%を上回っている。FRBは、インフレの上昇が、パンデミックの影響による供給不足が経済活動の再開に伴う需要の急増に追い付かない一時的な要因によるものという考えを、6月連邦公開市場委員会(FOMC)でも再確認した。最新の予測で物価は2021年に3%へ上昇後、来年には2.1%へ伸びが鈍化。そののちは、目標値である2%前後で推移するとFRBは見ている。

 

米国市場では6月消費者物価コア指数が公表

5月実績は前年比+3.8%だった。中古車、家庭用調度品、航空運賃、衣料品の価格が主に上昇した。6月については社会活動の拡大などを通じてサービス需要は増大しており、インフレ率は5月実績をやや上回る可能性がある。

 

欧米市場イベント

○15:00   6月独消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比0.4%/前年比2.3%)
○15:00   英中銀(BOE)、金融安定報告書を公表
○15:30   6月スイス生産者輸入価格
○15:45   6月仏CPI改定値(予想:前月比0.2%/前年比1.5%)
○16:00   5月トルコ鉱工業生産(予想:前月比▲0.4%)
○16:30   ベイリーBOE総裁、記者会見
○21:30   6月米CPI(予想:前月比0.5%/前年比4.9%)
       エネルギーと食品を除くコア指数(予想:前月比0.4%/前年比4.0%)
○14日02:00   米財務省、30年債入札
○14日03:00   6月米月次財政収支(予想:1940億ドルの赤字)
○欧州連合(EU)財務相理事会

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