FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:引けにかけて急速に下げ幅縮小

前日の米国株安を嫌気して、朝方に大幅安で始まった後も、下げ幅を拡大した。新型コロナウイルスのデルタ株による感染拡大で世界経済の正常化に向けた動きが鈍化するとの警戒感が広がった。また、米中対立のリスクを嫌気する声が聞かれた。後場の中ごろから株価の下げが急ピッチだった反動から、下値では個人投資家などの押し目買いが入ったほか、日銀のETF買い入れ観測も支えになった。大引けにかけて急速に下げ渋った。結局、前営業日比177円安の2万7940円と3日続落して終了した。

 

東京外国為替市場:米長期金利の持ち直しで110円台回復

ドル/円は、本邦輸入勢などからドル買い・円売りが持ち込まれ、109.90円付近まで上昇した。低下していた米長期金利が持ち直したことも、ドル買い要因となった。午後もこの流れは続き、米長期金利が1.33%台へ上昇したことや日経平均株価の下げ幅縮小にも支えられてさらにドル買い・円売りが進み、110.09円付近までじり高となった。ただ、複数うのメディアが『バイデン政権は早ければ本日中に少なくとも10の中国企業・機関を経済ブラックリストに追加する』と報じられたことも、上値の重石となった。その後は、世界的に新型コロナウイルスの感染拡大が続いていることで、持ち高調整などのドル売り・円買いも見られ、110.00円付近へ緩んだ。ユーロ/ドルは、1.1835ドル前後で方向感に欠ける展開になった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

ECBはフォワードガイダンスを巡って語彙できず

欧州中央銀行(ECB)は8日、戦略見直しの結果を公表したものの、見直し内容が先行きの政策にどのように反映されるかを示す『フォワードガイダンス』を巡って合意に至らなかったことから、22日の理事会で改めて討議することになった。複数の関係筋が明らかにした。戦略見直しでは、中期的なインフレ率目標を『2%』に変更したほか、気候変動の問題に一段と配慮することなどを決定した。会合では、25人で構成される理事会メンバーの多数が、新たな戦略の導入に伴い一段と持続的な金融緩和が求められ、より長期的な景気支援の実施を市場に示すためにも、一段と持続的な金融緩和をフォワードガイダンスに反映させる必要があると主張した。これに対し一部の当局者は、戦略見直しと政策決定を混同すべきでなく、こうした場で政策決定を行うべきではないと反論した。

 

トルコ5月経常収支が公表

エルドアン大統領は昨日、与党・公正発展党(AKP)党員に向けた演説を行い、リラが記録的な安値圏で変動しているのは外国勢力が企てた攻撃のせいだと述べた。見えない敵をでっち上げ、経済的な苦境の原因を押し付ける方法は大統領がよく使う手である。国のリーダーが現実逃避しているともいえ、リラの信頼を更に失わせることにも繋がりかねない。なお、本日の欧州序盤には5月トルコ経常収支(予想:30.3億ドルの赤字)が発表される。月の半分は全国的なロックダウン措置が講じられていた時期でもあり、赤字幅が市場予想よりも拡大する可能性には注意したい。

 

南アのポジティブ材料:買収のためのランド買い

ドバイ政府が保有するドバイポートワールドが、南アのインペリアルロジスティクスの株式を買収するために127億ランドの入札を開始した。このフローが出た場合は一時的にランド買いが出てくることには注意しておきたい。

 

米労働市場の回復は連邦政府の支援策失効待ち

米労働省が発表した先週分新規失業保険申請件数(3日まで)は前週比2000件増の37.3万件と、前回から予想外に増加した。前回分も36.4万件から37.1万件へ上方修正された。申請件数の減少は滞っている。理由としては、失業者が雇用復帰よりも、政府が供給している緊急失業保険など様々な失業者優遇措置を受給することを意図的に選択していることに加えて、企業が必要としている人材と失業者の技術が相違していることなどが挙げられる。失業保険継続受給者数(6月26日まで)は333.9万人と、前回から減少し、パンデミックによる経済封鎖が始まった昨年3月来で最小となった。前回分は346.9万人から348.4万人へ上方修正された。失業保険緊急支援策を終了した州の継続受給者数は減少にある。連邦政府の失業保険緊急支援策は9月に失効するが、ワクチン接種が進み、ビジネス活動が正常化しつつあるため、多くの州がすでに支援策を中断している。求人件数も増加しており、雇用者獲得のためのボーナス支給などの企業努力が奏功するため、連邦政府の支援策が失効すれば申請件数が一段と減少。真の雇用の回復が実現すると期待される。

 

米国債利回りの低下はポジションの巻き戻し誘発によるもの

米国債券利回りはここ数カ月低下傾向にあったが、足元では低下ペースが加速した。利回り上昇を見込んだ投資家のポジション巻き戻しをさらに誘発する流れとなっている。向こう数カ月に力強い成長やインフレ加速を見込む投資家はなお多いが、足元の相場動向を受けて、最も楽観的な見通しを見直す動きが出ている。これがドミノ効果となって、依然として利回りの上昇予想を堅持する投資家にもじわり連鎖した。そのため、投資パフォーマンスで同業に見劣りしたくないとの考えから、自らの読みに反しながらも、米国債に買いを入れている。

 

欧米市場イベント

○15:00   5月英国内総生産(GDP、予想:前月比1.5%)
○15:00   5月英鉱工業生産指数(予想:前月比1.5%/前年比21.6%)
○15:00   5月英製造業生産高(予想:前月比1.0%)
○15:00   5月英商品貿易収支/英貿易収支(予想:111.00億ポンドの赤字/12.50億ポンドの赤字)
○15:00   6月ノルウェーCPI(予想:前月比0.4%/前年比2.9%)
○16:00   5月トルコ経常収支(予想:30.3億ドルの赤字)
○16:00   レーン・フィンランド中銀総裁、講演
○19:00   ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○19:00   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○20:30   欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨(6月10日分)
○21:30   6月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化19.5万人/失業率7.7%)
○23:00   5月米卸売売上高
○23:00   5月米卸売在庫(予想:前月比1.1%)
○24:00   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議(伊ベネチア、10日まで)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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