FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:模様眺めムード強い相場展開

前日の米国株式は上昇したものの、日本株は急な戻りを演じたほか、米雇用統計の発表を控えた週末要因もあって模様眺めムードが強かった。緊急事態宣言が延長の方向となったことも重石となった。そのため、上値は重く下落する場面もあった。また、4月の米雇用統計の発表を控えているのも、積極的な売買を見送らせた。結局、前営業日比26円高の2万9357円と続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:109円前後でのもみ合い相場

ドル/円は、週末を控えた持ち高調整などのドル売り・円買いが先行、109円を割り込んで108.94円付近まで軟化した。しかし、3日の海外市場でつけた安値108.90円が意識され、下値を追う動きは限られた。その後は、国内輸入企業などがドル買い・円売りに動き、109.15円付近へ値を持ち直した。日経平均株価がマイナス圏からプラス圏へ転じたことも、リスク選好の円売りを誘った。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、1009.10円前後で取引された。今後発表される4月米雇用統計を前に、様子見ムードが広がった。ユーロ/ドルは、1.2065ドル前後でこう着相場となった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

トルコ中銀の政策金利は据え置き:引き締めスタンスの維持確認

トルコ中銀は6日の金融政策決定会合で、政策金利を市場予想通りに19.00%で据え置きました。中銀は声明で『物価安定を追求するため、利用可能なすべての手段を引き続き断固として使用』『インフレ率の恒常的な低下を示す強力な指標が示され、中期的な目標である5%に到達するまで、政策金利はインフレ率を上回る水準で決定され続ける』と述べた。前回同様の声明内容だったが、引き締めスタンスの維持が確認できたことでリラ売り圧力は弱まった。カブジュオール・トルコ中銀総裁は先日、4月がインフレのピークとの見解を示した。ただし、35%台まで跳ね上がった4月トルコ生産者物価指数(PPI、前年比)や5月に入っても商品価格は上昇傾向を強める中で、総裁の見通しは楽観的であるとするアナリストの声も多く聞かれる。トルコ中銀が公表した4月30日時点の外貨準備高は前週比で2.1%減少し、金融当局が再びリラ買い為替介入を実施していることが窺える。ただし過去2年を振り返ると介入の実質的な効果はほとんどなく、『準備高の無駄使い』が投機筋に狙い撃ちされる可能性がある。

 

南アフリカのリスク材料

ムーディーズ社が南ア債の格付けを発表する。同社の発表は通常NY引け間際になることが多いのだが、更なる格下げとなった場合はランドの上昇基調に水を差す可能性がある。なお、同社は前回の見通しを『ネガティブ』としている。また、7-9日の間に政府と南ア公務員組合(PSA)の労働交渉が行われることである。9日まで続くので結果が出るのが翌週になるが、交渉が進まずPSAによるストライキとなった場合は南ア経済には痛手となる。

 

ハリス米副大統領が週末メキシコを訪問

ロペスオブラドール・メキシコ大統領は、ハリス米副大統領と電話会談を行うほか、ハリス米副大統領が6月8日にメキシコを訪れるだろうと述べた。大統領はバイデン政権下で移民対策の責任者であるハリス氏と協議を行う予定となっている。バイデン政権はトランプ前政権から移民政策を大きく転換した。移民について寛容な姿勢を示しているが、ホンジュラスやエルサルバドル、グアテマラなど中米三角地帯諸国からの移民が急増しており、対応が急務となっている。

 

ダラス米連銀総裁は早めの緩和縮小議論を求める発言

カプラン米ダラス連銀総裁は6日、経済の回復ペースが予想以上に速まっていることや市場の不均衡を考え、米FRBは早めに金融緩和縮小に関する議論を始めた方が良いという考えを示した。ハーバード大学の講演で、新型コロナウイルスワクチン接種が進展し、政府の財政出動も拡大していることから、『経済状況は今後ますます健全になる見込み』とした上で、予防的な措置は必要ないものの、後手に回るのは避けたいと語った。利上げの条件が整うのは『2022年中』とした。

 

バイデン米大統領は当初の税率から引き下げる考え

バイデン米大統領は6日、連邦法人税率が25-28%の水準であれば、自身の掲げる大型インフラ投資計画の財源を賄えるとの認識を示し、野党・共和党の支持を得るために当初の案から税率を引き下げる考えを示した。バイデン大統領はこれまで、2兆3000億ドル規模のインフラ投資計画の費用を確保するため、連邦法人税率を現行の21%から28%に引き上げる案を示している。バイデン氏は『大手企業の支払いがゼロとならぬことを確実にし、法人税率を25-28%の間とすることで財源を賄う』と述べた。その上で『私が提案していることは極めて必要なこと』とし、富裕層や大企業の優遇を通じて貧困層まで富を浸透させるという『トリクルダウンは機能しない。ボトムアップ、そしてミドルアウトによって構築しなくてはらなない』と言明した。

 

米国市場では4月の雇用時計を公表

エコノミストの平均予想では、失業率は5.8%と3月の6.0%からさらに低下する見通し、非農業部門雇用者数は平均予想で99.5万人増と、3月の91.6万人増に続き100万人近くの伸びが予想されている。パンデミック以降、雇用統計よりも最新の労働市場の動向が正確に示されると注目されている5月1日までの週次新規失業保険申請件数は9.2万件減の49.8万件と、前回59万件から予想以上に減少した。パンデミックに入って以降初めて50万件を下回った。先行指標の中で雇用統計との相関関係が最も強いとされる民間の雇用者数を示す4月ADP雇用統計も昨年9月来の大幅な伸びを記録している。

 

欧米市場イベント

○14:45   4月スイス失業率(季節調整前、予想:3.3%)
○15:00   3月独鉱工業生産(予想:前月比2.2%/前年同月比5.7%)
○15:00   3月独貿易収支(予想:211億ユーロの黒字)
○15:00   3月独経常収支(予想:240億ユーロの黒字)
○15:45   3月仏貿易収支(予想:55.0億ユーロの赤字)
○15:45   3月仏経常収支
○15:45   3月仏鉱工業生産指数(予想:前月比2.0%)
○17:30   4月英建設業PMI(予想:62.3)
○19:00   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○20:00   4月メキシコ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.27%)
○20:15   ブロードベント・イングランド銀行(BOE)副総裁、ホールデン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○21:00   3月ブラジル小売売上高指数(予想:前年同月比▲1.7%)
○21:30   4月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化▲17.5万人/失業率7.8%)
○21:30   4月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化97.8万人/失業率5.8%/平均時給、前月比横ばい/前年比▲0.4%)
○22:00   バーキン米リッチモンド連銀総裁、バーチャル討論に参加
○23:00   4月カナダIvey購買部協会景気指数
○23:00   3月米卸売売上高(予想:前月比1.0%)
○23:00   3月米卸売在庫(予想:前月比1.4%)
○8日01:00   4月ロシアCPI(予想:前月比0.6%)
○8日04:00   3月米消費者信用残高(予想:200億ドル)

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