FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:イベント前に様子見ムード強く上値の重い展開

前日の米ナスダック指数高が好感され、朝方は買い優勢で始まったものの、決算発表を見極めたいとのムードが引き続き強いほか、重要イベントを控えていることから、模様眺めとなった。日銀が金融政策決定会合で、現行の長短金利操作付き量的・質的金融緩和政策の継続を決定したと発表したが、反応は限定的だった。新型コロナウイルスの感染拡大も相場の重石になり、引けにかけて売りが優勢になった。結局、前営業日比134円安の2万8991円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:全般108円台前半でのもみ合い相場

ドル/円は、米FOMCを控えたポジション調整などのドル買い・円売りが持ち込まれ、108.39円付近まで上昇した。米長期金利が小幅に上昇したことも、ドルの押し上げにつながった。ただ、108円台後半にかけては、大型連休を控えた国内輸出企業のドル売り・円買いオーダーが継続的に観測されていることもあり、上げは一服した。その後は、短期筋などの利食い売りも見られ、108.30円付近へ緩んだ。日銀が26-27日に行われた金融政策決定会合で、大規模な金融緩和策の現状維持を決定した。併せて公表された展望リポートでは2023年度の物価上昇率が前年度比+1.0%になる見通しが示されたものの、ドル/円相場への影響は限定的だった。午後は、日経平均株価や米長期金利動向を睨みながら、108.20円台を中心とした狭いレンジで取引された。ユーロ/ドルは、1.20ドル台後半で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

日本の大型連休における円高仕掛けには注意

日本市場は4月29日前後から5月9日にかけて、大型連休が本格化する。日本の長期休場の場合、週明けを含めたアジア時間の早朝などの薄商い時に、わずか数分で急激に動く『フラッシュ・クラッシュ』などを狙った円高仕掛けが、ドル/円、クロス円で激化するリスクがある。しかも今年の場合、シカゴIMMの円の投機的な先物ポジションは、最新4月20日時点で差引き-5万9819枚のネット円ショート(円売り・ドル買い)になった。前週の-5万8312枚のショートから2週連続で円売り売り持ちが増加し、円のショート幅は2019年5月14日週の-6万1580枚以来という高水準になっている。円ショートの整理余地が、短期的な円買い戻しと円高の波乱リスクとして注視される。

 

トルコは29日からロックダウン実施

エルドアン統領は昨日、コロナ感染と死亡者の急増を抑えるため、29日から来月17日までとする全国的なロックダウン(都市封鎖)の実施を発表した。都市間の移動は厳しく制限され、学校は全てオンラインで授業が行われる。重要な買い物や緊急の治療を除いての外出も禁止とされた。一方、製造業や食料品関連は適用外となっている。大統領は(一時6万人を超え、現在は4万人割れ)新規感染者数を5000人以下まで減少させるとの目標を掲げました。今回のロックダウンでトルコ経済活動の停滞は足もとでは避けられないが、『制限強化やワクチン普及による感染抑制への期待は、リラにとってポジティブ』という見方が広がるかもしれない。

 

南アでは公務員との賃金交渉の進展見られず

国内の政治情勢で懸念されるものの一つとしては、先週末から始まった公務員との賃金交渉の進展がないことがあげられる。南アではインフレ率が上昇しているものの、昨年の1年は賃上げをせずに据え置かれたことで、賃上げがない場合は組合はストライキを行うことを示唆している。政府は財政赤字削減のために、賃上げを今年も抑えたい意向だが、どのような展開になるかを予想するのは難しい。なお、南ア発で注目が高まるのは来月7日のムーディーズ社の格付け見直しや、20日の南ア準備銀行(SARB)・金融政策委員会(MPC)まではない見込み。

 

米国では28日に、バイデン大統領が上下両院合同会議で演説

インフラ投資や気候変動対策、格差是正策などの政策アピールが想定されている。すでに前週には子育てや介護などの支援を軸とする『米国家族計画』の検討が報じられ、財源として富裕層を対象にキャピタルゲイン課税の最高税率を現行の20%から39.6%へ引き上げる方針が伝わった。引き続き増税問題は、米国の株安とリスク回避の円高要因として注視される。ただし、前週末23日の米国株市場では、キャピタルゲイン増税について過度な懸念の後退が見られた。税率引き上げは『ベースシナリオが28%』といったアナリスト分析が出始めるなど、『当初報じられたほどの引き上げ幅にはならないとの見方が広がった』。また、『増税の対象となる投資家が保有する株式が市場全体に占める比率は相対的に小さく、影響は限られるとの見方もあった』いずれにせよ、28日のバイデン氏演説は、米国の経済や株価にプラスの材料が出てくると、米国の株高やドル高、リスク選好の円安を支援する。反対に財源確保や格差是正として、増税への意欲が強く打ち出されると、米国の株安とリスク回避の円高というシナリオが想定される。

 

一部の米金融街大手から米国株に弱気コメント

S&P500指数は今年に入って最高値を更新しているが、一部の米金融街大手が上昇の一服を予想し始める中、投資家は利食い売りか継続保有かの決断を迫られている。最近ではゴールドマン・サックスのアナリストが21日、米成長率の第2・四半期ピークが株式リターン低下につながる可能性があると指摘。モルガン・スタンレーはこれに先立ち、株式が近いうちに逆風に直面すると警告。ドイツ銀行は今月、成長率が減速する中でS&P500が最大10%下落すると指摘。B of Aグローバル・リサーチは、年末時点の同指数が現在の水準を約8%下回るとの目標を維持した。

 

米国市場では連邦公開市場委員会(FOMC)会合が開催:結果は29日早朝

前回公表の声明では、『景気動向は、ワクチン接種の進捗も含め、ウイルスの拡大状況に大きく左右される。現在続いている公衆衛生の危機は、引き続き、経済活動、雇用、インフレにとって重荷となり、経済見通しへの深刻なリスクとなっている』との見解が表明された。その後、ワクチン接種は大幅に拡大しており、公衆衛生の危機的な状況は改善されつつある。ただし、物価見通しの早期達成の可能性は低いとみられており、金融政策の緩和的スタンスを長期間維持することが妥当との判断が示される可能性が高いとみられる。

 

欧米市場イベント

○15:30   黒田東彦日銀総裁、定例記者会見
○16:30   スウェーデン中銀、政策金利発表(予想:0.00%で据え置き)
○16:30   3月スウェーデン失業率
○19:00   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○20:00   3月メキシコ貿易収支(予想:32.00億ドルの黒字)
○22:00   2月米住宅価格指数(予想:前月比1.0%)
○22:00   2月米ケース・シラー住宅価格指数(予想:前年比11.6%)
○23:00   4月米消費者信頼感指数(予想:112.1)
○23:00   4月米リッチモンド連銀製造業景気指数(予想:22)
○28日02:00   米財務省、7年債入札
○28日05:00   マックレム・カナダ銀行(BOC)総裁、議会証言
○米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目
○南アフリカ(自由の日)、休場

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