FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米国株高を好感した買いも上値の重い展開

前週末の米国株式市場では、新型コロナウイルスのワクチン接種が進展する中、好調な経済指標の発表を受けて景気回復期待が高まり、主要3指数が反発した。米国株高を受けた朝方のプラスから一旦マイナス圏沈んだものの、徐々に持ち直した。手掛かり材料に乏しく、もみ合いとなった。ワクチン接種が欧米に比べて遅れる日本では、米国株に対する見劣りを意識する声もある。企業決算が本格化しており、決算発表後の株価の反応に関心が寄せられていた。結局、前営業日比105円高の2万9126円と反発して終了した。

 

東京外国為替市場:欧州通貨に対してドル安に連れ円買いやや優勢

ドル/円は、日銀金融政策会合や連邦公開市場委員会(FOMC)などのイベントを控えた持ち高調整などのドル売り・円買いに押され、107.70円付近へじり安となった。欧州景気の回復を期待した欧州通貨・ドル安が波及した面もあった。午後も軟調地合いは続き、107.65円付近まで円を下げた。しかし、今晩の米国株価動向や米経済指標を見極めたいとの雰囲気もあり、下げは一服した。その後は、値ごろ感からドルを買い戻す動きも見られ、107.70円台を中心とした狭いレンジでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは23日に発表されたユーロ圏の経済指標が総じて好調で、欧州景気は底堅いとの見方から2ヵ月ぶりにユーロ高・ドル安となる1.2117ドル付近まで上昇した。

 

中国最大の不良債権受け皿会社は業績発表間に合わず

中国最大の不良債権受け皿会社で国有企業の中国華融資産管理は、2020年の業績を今月30日の期限までに発表できないとの見通しを明らかにした。同社を巡ってはこのところ社債のデフォルト(債務不履行)を起こすとの懸念が強まっており、投資家は神経を一層尖らせることになる。華融資産管理の発表文によると、業績公表前に確定させなければならない取引があるため、同社の会計監査人にはさらなる時間が必要だという。発表文は中国外国為替取引システム(CFETS)が運営する中国貨幣網のサイトに掲載された。華融資産管理は経営は安定しており、全ての業務が正常に運営されているとあらためて説明した。同社は3月31日に20年暫定決算の発表期限を迎えたが、同日までに発表できず、4月1日以降、同社株式は取引が停止されている。

 

トルコリラの重石が増える

トルコの『インフレ加速、経常赤字の拡大、新型コロナ感染状況の悪化とそれに伴う景気低迷など』は一朝一夕で解決できる問題ではなく、リラの重石となっている。今週発表される3月トルコ貿易収支も赤字幅の拡大が見込まれ、リラの重石になりやすい。エルドアン大統領による中銀への緩和圧力や、それに伴う中銀独立性への不信感もリラの弱さに繋がっている。そういった中、カブジュオール・トルコ中銀総裁は先週末、(国内で批判の声が高まっている)過去2年に1000億ドル以上も費やされたとされる為替介入を擁護する姿勢を示した。先週半ばにはエルドアン大統領がリラ買い介入の再開を示唆しているが、介入効果を疑問視する声は多く、外貨準備高への疑惑と枯渇懸念は高まる。 さらに、米国とトルコの関係悪化懸念もリラの重石である。バイデン米大統領は、第一次世界大戦中にオスマン帝国(現トルコ共和国)が行ったアルメニア人への殺害行為を『ジェノサイド(民族虐殺)』と表現した。トルコにとってはかなり神経質な問題であり、トルコ外務省はすぐさま非難声明を発表した。米国の新たな政権のもとで、両国の溝は広がりつつある。

 

南アでは利下げサイクル終了との思惑でランド下支え

先週発表された、3月の南ア消費者物価指数(CPI)は市場予想通りの結果となったが、再び南ア準備銀行(SARB)のインフレ目標レンジ(3.0%-6.0%)に戻した。ひと月でレンジに持ち直したことが好感され、利下げサイクルは終了したと思われ、ランド/円の下支えになる。 CPIでは、食品及びノンアルコール飲料が+5.7%、住宅及び公共事業が+2.2%、輸送が+3.8%、そのほかの商品サービスが+4%、また燃料価格が+2.3%となった。SARBはこの結果を受け、今年のインフレ率は目標とするレンジの中間である4.5%近辺になるとの予想を立てている。

 

メキシコでは炭化水素の改定案が可決

炭化水素法の改定案が下院で可決した。ロペスオブラドール大統領が署名すれば成立となるが、民間のビジネス環境の悪化につながるとして経済界から批判が相次いでいるにも拘らず、結局成立に持ち込んだことで国内の溝は深まるばかりである。あくまでも国営石油会社ペメックスを支援するための策としているが、国が民間企業の許認可を一時的に停止できるようになることで、民間への悪影響が大いに考えられる。

 

米FOMCでは金融政策据え置き:緩和策の解消を急がない姿勢

米連邦準備制度理事会(FRB)は27-28日に開催する連邦公開市場委員会(FOMC)で金融政策を据え置く見込みである。ワクチン接種ペースの加速、追加財政策、大規模金融緩和が奏功し2021年の経済は6.5%成長が予想されているほか、インフレの上昇を受け、早くて6月会合で緩和縮小の戦略協議が開始されるとの思惑も市場で浮上している。しかし、パウエル議長は、新型コロナウイル変異種感染やワクチン普及動向に依然かなりの不透明性があり、物価安定や最大雇用の目標達成には『程遠い』との考えを繰り返す可能性が強い。4月会合でも、経済が回復軌道にあっても、緩和策の解消を急がない断固とした姿勢が示される可能性が強く、ドルの上値を抑制すると考える。

 

欧米市場イベント

○17:00   4月独Ifo企業景況感指数(予想:98.0)
○21:00   パネッタ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○21:30   3月米耐久財受注額(予想:前月比2.4%/輸送用機器を除く前月比1.6%)
○22:00   レーンECB専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○27日00:30   米財務省、2年債入札
○27日02:00   米財務省、5年債入札
○ニュージーランド(アンザックデーの振替休日)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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