FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:ウイルス感染拡大への警戒感から売り優勢

世界的な株安を嫌気したほか、国内での新型コロナウイルスの感染拡大への警戒感から、寄り付きから400円を超える下落した。いったん戻りを試しに行ったが、すぐに上値が重くなると、その後は下値を探る流れが続いた。前日に続き日銀によるETFの買い入れがないとの観測があり、相場の重石になった。結局、前営業日比591円安の2万8508円と大幅に続落して終了した。

 

東京外国為替市場:リスク回避の円買い強まる

ドル/円は、日経平均株価の大幅安を眺めて下値を模索する展開となり、108円を割り込んで一時107.88円付近まで下落し、3月5日来の安値を付けた。世界的に新型コロナウイルスの新規感染者が増加していることもあり、リスク回避の円買いを誘った。ただ、下値では本邦輸入勢などがドル買い・円売りに動き108円台を回復した。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、108.00円を挟んでもみ合いとなった。本邦実需筋の売り買いが午前で一巡したこともあり、商いは薄かった。ユーロ/ドルは、1.2030ドル前後で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

日銀の今月ETF購入はゼロ:株式市場に広がる不安

日銀は20日、TOPIXが午前に前日比1.25%安となったが、ETFを買い入れなかった。3月にETF購入の方針を変更し4月から適用すると公表したが、まだ今月は買っていない。月間で購入がゼロとなると、黒田日銀総裁が就任して以降で初めてとなる。市場では、テーパリング(段階的な金融緩和の縮小)かと見構えている。日銀は明らかにしていないが、市場は長らくTOPIXの午前の下落率が0.5%を超えると、日銀がETFを購入するとみていた。まず変化があったのは、2月18日にTOPIXが午前に0.54%安となったが買い入れず、翌19日も0.76%安となったが日銀は動かなかった。しかし、1.92%安となった2月26日に購入したため、市場は1.0%超の下落で買うルールになたっと受け止めていた。しかし、昨日はETF買いは見送られた。

 


ECBでは超緩和維持:テーパリングの憶測は時期尚早

欧州中央銀行(ECB)は今週予定されている定例理事会で、大規模な金融緩和策を据え置くと見られている。回復の遅れに対処するために、ECBが超緩和策を維持することが正当化される。 一部のアナリストは、夏に向けて、ワクチン接種が進み、新型コロナウイルス感染が沈静化することを見込み、ECBが景気の見通しを引き上げると見ている。もし、域内の大規模金融緩和継続への強い公約がなければ、6月にテーパータントラムが起こると、警戒されている。投資家はさらに、この会合で、中央銀行による長期金利の上昇を抑制する戦略の明確化を求めている。
ラガルド総裁は最近のインタビューで、欧州経済が第1四半期に縮小する可能性を警告した。成長軌道を脱したわけではないが、回復ペースが米国経済の回復に遅れることも認識。物価安定の目標には程遠いと、慎重な見解を示している。4月理事会でも同様に、慎重な見通しを示す可能性が強く、緩和策縮小を織り込むには時期尚早と見る。

 

トルコリラは中銀の独立性への信頼を取り戻すまでは上値の重い展開

与党・公正発展党(AKP)副党首は『実質金利マイナスとした金融政策は100年に1度の策であり、今後のトルコ実質金利は常にプラスである』との考えを示した。先週末は、エルドアン政権高官から『トルコ中銀の声明は緩和を意味するものではない』との発言も伝わっている。エルバン財務相もインフレ対策を最優先と再度強調したが、リラ相場の反応は限られたままである。インフレの改善見込みが立たない中でトルコ中銀の政策も手詰まり感が出てきており、市場の期待値を上げるのは簡単ではない。まずは『中銀の独立性』への信頼を取り戻すことが必要かもしれない。しかしながらエルドアン大統領が先月、トルコ中銀総裁を突然更迭したショックを拭い去るのは簡単ではない。

 

本日は市場の注目度が高い南アの3月消費者物価指数(CPI)が発表

2月CPIは前年比で南ア準備銀行(SARB)の目標バンドとする3.0-6.0%を割り込む2.9%となったが、今月は3.2%程度が市場予想となり、再び目標バンドに戻る可能性が高まっている。今回のCPIは先週SARBが南ア特有のインフレリスクを指摘したことで注目度が高まっている。今回は市場予想を上回れば素直にランド買い、もし再び3%割れになった場合はランド売りに反応する可能性が高い。

 

米共和党のインフラ投資対案は6000億ドル以下の可能性も

米上院の共和党議員らは、バイデン大統領が掲げる2兆3000億ドルのインフラ投資計画への対案について、週内に概案の取りまとめを目指しており、規模は6000億ドルを下回る可能性がある。シェリー・ムーア・カピト議員は記者団に対し、概案には財源の手当てについても盛り込まれ、バイデン氏の大規模な提案とは対照的な内容になると表明した。『向こう数日中、できれば週の終わりまでに取りまとめたい』と語った。ロジャー・ウィッカー議員は規模について『6000億ドルを下回るかもしれない』と指摘した。部分的にはこれまで使われていない資金を再配分する形で活用する可能性があるほか、『ガソリン税を納めていない電気自動車からも公平な負担を求める可能性がある』と述べた。

 

欧米市場のイベント

○15:00   3月英CPI(予想:前月比0.4%/前年比0.8%)
○15:00      CPIコア指数(予想:前年比1.1%)
○15:00   3月英小売物価指数(RPI、予想:前月比0.4%/前年比1.6%)
○17:00   3月南アフリカCPI(予想:前月比0.7%/前年比3.2%)
○17:05   ラムスデン英中銀(BOE)副総裁、講演
○19:30   ベイリーBOE総裁、講演
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:30   3月カナダCPI(予想:前月比0.6%/前年比2.3%)
○23:00   カナダ銀行(BOC、中央銀行)、政策金利発表(予想:0.25%で据え置き)
○23:30   EIA週間在庫統計
○24:00   マックレムBOC総裁、記者会見
○22日02:00   米財務省、20年債入札
○インド(ヒンドゥー教ラーマ神生誕日)、ブラジル(チラデンテスの日)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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