FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント

米国株式市場は下落:ウクライナ情勢の不透明感から売り優勢

NYダウは232.85ドル安の34079.18ドル、ナスダックは168.65ポイント安の13548.07ポイントで取引は終了した。米露外相が来週会談を予定しているほか、両国の国防相が18日電話会談を計画していることが明らかになると、寄り付き後は一時上昇した。しかし、ウクライナ東部の親露派指導者が一部住人をロシアに避難させたとの報道や、ウクライナ分離主義者がドネツクで車が爆破されたと発表したため緊張が高まり売りに拍車がかかった。市場では『3連休を前に多くの投資家が買いを手控えた』との指摘もあり、一時330ドル超下落した。ただ、前日には今年最大の下げ幅を記録しているだけに、自律反発狙いの買いも入りプラス圏を回復する場面もあった。 終日軟調に推移したが、オプション満期日に絡んだ買いが下値を支えた。VIX指数は28.11から27.75へ低下した。

 

NY外国為替市場:地政学リスクと米長期金利低下で方向感出ず

ユーロ/ドルは、緊迫化するウクライナ情勢を背景にユーロ売り・ドル買いが優勢となり、一時1.1315ドルと日通し安値を付けた。ロシアはこの日、プーチン大統領が指揮する軍事演習を19日に実施すると発表。大規模な演習となる見通しで、米欧からの反発は必至とみられる。市場では『北京冬季五輪の閉会式を20日に控え、ロシアによるウクライナ侵攻への警戒感は強い』との声が聞かれた。また、ウクライナ政府と親ロシア派武装勢力は本日も相手側が停戦合意を破り、攻撃を仕掛けてきたと互いを非難した。『ウクライナ東部ドネツク市で大規模な爆発があった』と伝わるなど、東部情勢は緊迫している。なお、『欧州中央銀行(ECB)当局者らは資産購入を9月終了することで一致し、年内の利上げに傾きつつある』との観測報道を受けてユーロに買い戻しが入る場面もあったが、ウクライナ情勢を巡る懸念が根強い中、戻りは鈍かった。

 

ドル/円は、米長期金利の低下に伴う円買い・ドル売りが入った半面、対ユーロなどでドル高が進んだ影響を受けたため、NY市場では大きな方向感が出なかった。市場では『ロシアによるウクライナ侵攻への警戒感が強いうえ、米国の3連休を控えて、様子見ムードが広がった。ポジションを一方向に傾ける動きは手控えられた』との声が聞かれた。

 

NY原油先物市場は続落:3連休控え利益確定売り優勢

NY原油先物市場は87.46ドル-91.07ドルのレンジ相場となった。イラン核合意再建をめぐる交渉進展期待や、投資家のリスク回避志向が根強いことから、これまで急速に買われてきた反動で3連休を控え利益確定売りが優勢となった。ただ、ウクライナ情勢の緊迫化を背景としたエネルギー供給不安を背景とした買いも入り、下押しは限定的だった。ロンドン市場で87.46ドルまで下げた後、ニューヨーク市場の中盤にかけて91.07ドルまで反発したが、その後は伸び悩んだ。株安を嫌気して90ドルを再び下回り、通常取引終了後の時間外取引では90ドル台で推移した。米国の石油掘削装置(リグ)稼働数は前週比4基増加の520基となった。

 

NY金先物市場は3日ぶりに小反落:3連休控え利益確定売り優勢

NY金先物市場は1888.00-1905.00ドルのレンジ相場となった。約8カ月ぶりの高値水準まで上昇し、米市場の3連休を前に利益確定売りに押された。ただ、ロシアのウクライナ侵攻への警戒感は根強く、小幅の下落にとどまった。アジア市場で1905.00ドルまで買われたが、利食い売りが増えたことで伸び悩んだ。ロンドン市場で1888.00ドルまで下げたが、ウクライナ情勢悪化の懸念は消えていないことから、ニューヨーク市場で1902.50ドルまで反発した。通常取引終了後の時間外取引では1900ドルをやや下回る水準で推移した。

 

米国債券市場はまちまち:地政学リスクの高まりから買い優勢

米国債券市場で中期ゾーンは変わらずだった。米2年物国債利回りは前営業日比変わらずの1.46%で終了した。また、長期ゾーンは上昇(利回りは低下)した。米10年物国債利回りは前営業日比0.03%低い(価格は上昇)1.93%で終了した。緊迫化するウクライナ情勢を背景に、相対的に安全資産とされる米国債が買われた。米国株相場の下落も債券買いを誘った。 

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