FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場はまちまち:強い米経済指標とワクチンの実用化期待

NYダウは112.11ドル高の28606.31ドル、ナスダックは42.32ポイント安の11671.55ポイントで取引を終了した。9月小売売上高や10月ミシガン大消費者信頼感指数速報値の予想以上の改善に加え、製薬大手ファイザーが開発中の新型コロナウイルスワクチンについて『11月下旬には米食品医薬品局(FDA)に緊急使用許可を申請する』と発表したことを好感して上昇して寄り付いた。ワクチンの実用化が意識されて買いが優勢となった。しかし、9月鉱工業生産が予想外のマイナスに落ち込んだほか高値からはハイテク株中心に利益確定売りも目立ち、引けにかけて上げ幅を縮小した。VIX指数は26.97から27.41へ上昇した。

 

NY外国為替市場:米長期金利上昇でドルは底堅い展開

ドル/円は、9月米小売売上高や10月米消費者態度指数(ミシガン大調べ)速報値など良好な米経済指標が相次ぐと、米長期金利の上昇とともにドル買いが優勢になり、一時105.43円付近まで値を上げた。ただ、アジア時間に付けた日通し高値105.45円を上抜けることは出来なかった。前日の高値105.49円や14日の高値105.52円など105円台半ばでは上値の重さも意識される。NY中盤以降は週末を控えたポジション調整の動きが主体となり、狭いレンジ取引に終始した。なお、若田部昌澄日銀副総裁はパネル討論会で『日銀は為替レートを目標にしていないが、為替の動きを非常に注意して追い続けている』『為替レートがインフレに及ぼす影響に留意する必要』などと述べたと伝わった。

 

ユーロ/ドルは、新型コロナウイルスのワクチン開発への期待から欧米株株価指数が上昇すると、リスク選好のドル売りが先行し、一時1.1746ドルと日通し高値を更新した。ただ、9月米小売売上高態など良好な米経済指標が相次ぐと、徐々にドル買い戻しが優勢となり1.1713ドル付近まで上げ幅を縮めた。

 

ポンド/ドルはブレグジット絡みの報道に一喜一憂する神経質な値動きだった。ジョンソン英首相はこの日、『欧州連合(EU)側の交渉姿勢に変化がない限り、合意できない』と明言した。英BBCなどのインタビューを通じて『自由貿易協定(FTA)なしの結果に備える必要がある』と国民や経済界に呼びかけた。英国とEUの交渉が決裂し、経済が混乱するリスクが高まりポンド売りが出た。半面、ジョンソン氏が決裂を表明しなかったことで『交渉継続の余地は残されている』と判断されて、ポンド買い戻しも入った。市場では『交渉上の駆け引き』との見方があった。その後も『バルニエEU首席交渉官とフロスト英首席交渉官は来週初めに再交渉することで合意』との報道にポンド買いで反応した一方、『フロスト氏はバルニエ氏の訪英を断った』との報道にポンド売りで反応するなど、1.29ドル台前半で売買が交錯した。取引終了前には、米格付け会社ムーディーズが英国を格下げしたことを受けてポンド売りが出た。

 

NY原油先物市場は続落:主要産油国による減産への思惑

NY原油先物市場は40.34ドル-41.30ドルのレンジ相場となった。欧州で複数の国が夜間外出禁止令やレストランやバーの営業停止が始まることにより、原油需要減退予想で原油先物価格は軟調に推移した。ただし、米国の経済指標が市場予想を上回ったことなどを好感し、徐々に下げ幅を縮め小幅に続落して引けた。アジア市場で41.30ドルまで買われた後、ニューヨーク市場の序盤にかけてポジション調整的な売りが入ったことで40.34ドルまで下落。ただ、主要産油国による減産への思惑は残されており、時間外取引で一時41.21ドルまで戻す場面があった。米国の石油掘削装置(リグ)稼働数は、前週末比12基増加の205基となった。

 

NY金先物市場は小幅安:1900ドル台維持でも方向感のない展開

NY金先物市場は1901.10-1918.70ドルのレンジ相場となった。金先物市場は方向感のない値動きだった。NY入り前はドルが若干弱含んでいたこともあり、ドルで取引される金先物は割安感から底堅い値動きを見せていた。しかし、徐々に上値も重くなり前日比では小幅に反落して引けた。ニューヨーク市場の序盤にかけて1918.70ドルまで買われた後、米国株高を意識して1901.10ドルまで反落したが、売り一巡後に1908.00ドルまで戻しており、1900ドル台を終日維持した。

 

米国債券市場は続落:強い米経済指標受け売り優勢

米国債券市場で長期ゾーンは続落(利回りは上昇)した。米10年物国債利回りは前営業日比0.01%高い(価格は下落)0.74%で終了した。9月米小売売上高や10月米消費者態度指数(ミシガン大調べ)速報値などが予想より強い内容となったことで、安全資産とされる米国債に売りが出た。 

カテゴリー: 朝の市場コメント

カテゴリー

カレンダー

4月 2024
« 1月    
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ページの先頭へ