FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場はまちまち:世界経済の回復期待継続もハイテク株は軟調

NYダウは357.96ドル高の27791.44ドル、ナスダックは42.63ポイント安の10968.36ポイントで取引を終了した。中国の良好な経済指標や米国の雇用関連指標が予想を上回ったため世界経済の回復期待が強まった。また、トランプ米大統領が8日に失業給付の増額を含む追加の経済対策を大統領令で発動すると、米景気懸念が和らぎ買いが広がった。業績が景気に左右されやすい景気敏感株に買いが集まり、指数は一時370ドル超上げた。 中国政府が米上院議員など11人を対象に報復制裁を発表したが、トランプ政権の閣僚を除外した為、米中対立深刻化懸念も緩和した。しかし、トランプ大統領による中国のアプリTikTokやWeChatを禁止する大統領令の影響でハイテク株は引き続き軟調だった。VIX指数は22.21から22.13へ低下した。

 

NY外国為替市場:米長期金利が上昇に転じたことがドル相場の下支え

ドル/円は、トランプ米大統領が追加の新型コロナウイルス経済対策を実施する大統領令に署名したことで全般ドル買いが先行した。前週末の高値106.05円を上抜けて一時106.20円まで値を上げた。ただ、買いが一巡するとじりじりと上値を切り下げる展開になった。米10年債利回りの低下などが相場の重石となり、一時105.67円と日通し安値を更新した。もっとも、前週末NY時間安値の105.56円がサポートレベルとして意識されると下げ渋った。米10年債利回りが上昇に転じたことも相場の下支え要因となり、105.97円付近まで持ち直した。トランプ米大統領は8日、失業保険給付の上乗せ延長や一部を対象とした給与税の一時免除、家賃未払いに伴う立ち退き猶予の延長、学生ローン返済の減免措置に関する4つの大統領令に署名した。ただ、同大統領の行動により、新型コロナ追加経済対策を巡る野党民主党との協議は危うくなる可能性があるなど、実施に向け不透明感は残っている。しかしながら、ムニューシン財務長官はこの日、『民主党の主張が合理的であれば、米政権と議会は今週中にも追加対策で合意できる』との見解を示している。

 

ユーロ/ドルは、米長期金利が低下したタイミングでユーロ買い・ドル売りが入り1.1792ドル付近まで持ち直したものの、1.18ドル台に乗せることは出来なかった。米長期金利が上昇に転じたほか、一部ユーロクロスの下落につれた売りが相場の重石となり、一時1.1736ドルと日通し安値を更新した。米商品先物取引委員会(CFTC)が前週末発表した4日時点の建玉報告によると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の通貨先物市場で非商業部門(投機筋)のユーロの対ドル持ち高は18万648枚の買い越しと過去最大になった。市場では『ポジションの偏りが気にかかる。ユーロの反落を警戒する必要がある』との指摘があった。

 

NY原油先物市場は反発:需要改善の思惑から買い優勢

NY原油先物市場は41.17ドル-42.33ドルのレンジ相場となった。サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコのナセル最高経営責任者(CEO)が、中国のガソリン・ディーゼルの需要が、コロナショック以前の水準を回復したことを指摘した。中国の物価指標が市場予想以上に改善したことも支援となった。アジア市場で41.96ドルまで反発し、ニューヨーク市場の序盤に41.58ドルまで弱含みとなったが、まもなく株高を期待した買いが入り、一時42.33ドルまで上昇した。

 

NY金先物市場は反発:欧州や香港での地政学リスクが意識

NY金先物市場は、2027.80-2060.80ドルのレンジ相場となった。先週末7日の大幅反落の後を受けた戻りに加え、『欧州最後の独裁者』と呼ばれるベラルーシのルカシェンコ大統領が週末9日の大統領選で6選を果たしたことに反政権派が反発を強めたことや、香港での国家安全維持法違反による民主活動家の逮捕など地政学的なリスクが意識され、安全資産とされる金は一時2060.80ドルまで買い戻された。その後は対ユーロなどでドル相場が持ち直し、ドル建て金価格の圧迫要因となり上昇幅を縮小したものの、先週末比プラスの水準を維持して引けた。ロンドン市場から自律反発を狙った買いが強まり、ニューヨーク市場で2060.80ドルまで上昇したが、米景気対策での合意形成への期待が広がったことから利食い売りが強まり、一時発表を控え2027.80ドルまで反落した。

 

米国債券市場:米景気減速懸念が後退したことで売り優勢

米国債券市場で長期ゾーンは続落(利回りは上昇)した。米10年物国債利回りは前営業日比0.01%高い(価格は下落)0.57%で終了した。トランプ米大統領が追加の経済対策を大統領令で発動したことを受けて、米景気減速懸念が和らぐとして相対的に安全資産とされる米国債に売りが出た。 

 

 

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