FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場は上昇:リスク選好のドル安・円安の展開

NYダウは369.21ドル高の26075.30ドル、ナスダックは69.70ポイント高の10617.45ポイントで取引を終了した。全米でウイルス感染が引き続き拡大する中、ウイルス治療薬に期待が広がったほか原油高で投資家心理が改善し寄り付きから買いが先行し、一時NYダウは390ドル超上げた。しかし、トランプ大統領が『中国との信頼関係が毀損しており、現時点で、米中第2段階貿易協定は考えられない』と発言すると米中関係悪化懸念がひろがり一時上げ幅を縮める局面もあったが、引けにかけては再び上げ幅を拡大した。VIX指数は29.26から27.29へ低下した。

 

NY外国為替市場:ドル/円は107.00円を目前に上値の重い展開

ドル/円は、米国株相場の上昇を背景にリスク選好のドル売りが出たほか、低調な米インフレ指標を受けたドル売りで一時106.61円と6月24日以来の安値を付けた。ただ、ロンドン16時(日本時間24時)のフィキシングにかけては『ポジション調整的なドル買い戻しが入った』との声も聞かれ、106.95円付近まで下げ渋った。一時は0.5678%前後と4月22日以来の低水準を付けた米10年債利回りが上昇に転じたことも相場の下支え要因となった。トランプ米大統領はこの日、現時点で中国との『第2段階』の通商交渉は検討していないとの見解を示したものの、金融市場への影響は限られた。 

 

ユーロ/ドルは、新型コロナウイルスの治療薬開発に関する前向きな発表が相次いだことで、NYダウが一時400ドル近く上昇した。リスク選好のドル売りが優勢となり、一時1.1325ドルと日通し高値を付けた。6月米卸売物価指数(PPI)が予想を下回ったこともドル売りを誘った。市場では『株高を背景に有事のドル買いが巻き戻された』との声が聞かれた。もっとも、引けにかけては週末を控えたポジション調整目的の売りが出たため、やや伸び悩んだ。
 なお、米製薬大手のギリアド・サイエンシズは10日、同社のコロナ治療薬『レムデシビル』を重症のコロナ感染者に投与したところ、通常の治療法に比べ死亡率が62%低下したと発表した。また、米製薬大手ファイザーとワクチン開発で提携するドイツのバイオ企業も「ワクチンを年内に承認申請する」との見通しを示した。 

 

NY原油先物市場は反発:世界石油需要が上方修正されたことを好感

NY原油先物市場は38.54ドル-40.77ドルのレンジ相場となった。国際エネルギー機関(IEA)が2020年の世界石油需要を従来予想から上方修正したことを背景に買いが入った。また、米国の石油掘削装置(リグ)稼働数は、前週比4基減少の181基となった。2009年6月以来の低水準になったことが判明したことも買いを後押しした。アジア市場からロンドン市場で38.54ドルまで売られたが、ニューヨーク市場では株高を意識して反転し、通常取引終了後の時間外取引で40.77ドルまで上げ幅は拡大した。

 

NY金先物市場は続落:米国株高で利益確定売り優勢

NY金先物市場は1796.50-1817.00ドルのレンジ相場となった。米国でのコロナ感染の再拡大や、為替相場でのドル安・ユーロ高などを背景に買いが先行したが、米国株が上昇に転じ、上げ幅を拡大すると安全資産の金は利益確定売りに押された。NY市場の序盤で1817.00ドルまで買われたが、株高を意識して伸び悩み、一時1796.50ドルまで下落。その後は下げ渋り、1800ドル台を回復したが、通常取引終了後の時間外取引でも上値の重い状態が続いた。

 

米国債券市場は反落:治療薬開発に関する報道で売り優勢

米国債券市場で長期ゾーンは反落(利回りは上昇)した。米10年物国債利回りは前営業日比0.04%高い(価格は下落)0.65%で終了した。新型コロナウイルス感染再拡大への懸念から買いが先行し、利回りは一時0.5678%前後と4月22日以来の低水準を付ける場面があった。しかし、コロナ治療薬開発に関する前向きな報道が相次ぐと一転売りが優勢となった。

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