FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場は大幅反落:リスク回避の材料が重なり売り優勢

NYダウは730.05ドル安の25015.55ドル、ナスダックは259.78ポイント安の9757.22ポイントで取引を終了した。米国で新型コロナウイルスの新規感染者が過去最多となるなか、テキサス州がバーの営業を再び停止し、レストランの入店制限を発表したほか、フロリダ州もバーでのアルコール摂取量を制限すると発表した。また、米中対立を巡る懸念が高まったため幅広い銘柄に売りが広がった。米連邦準備理事会(FRB)は前日発表したストレステストで、銀行の配当制限などの措置を発動した。そのため、ゴールドマン・サックス(8.65%安)やJPモルガン・チェース(5.48%安)など金融株が軒並み下落した。VIX指数は32.22から37.74へ上昇した。

 

NY外国為替市場:有事のドル買い優勢

ドル/円は、欧州時間に一時106.80円と日通し安値を付けたものの、NYの取引時間帯に入ると一転上昇した。新型コロナウイルスの感染再拡大や米中対立を巡る懸念を背景に、NYダウが一時770ドル超下落した。そのため、リスク回避のドル買いが優勢となり、日本時間早朝に付けた107.24円を上抜けて一時107.36円まで上値を伸ばした。市場では『月末・期末を控えたロンドン16時(日本時間24時)のフィキシングに絡んだ円売り・ドル買いのフローが観測された』との指摘もあった。ただ、フィキシング通過後はドル買いの勢いが後退するなか、前日の高値107.45円が目先レジスタンスとして働いたため上値が重くなった。一目均衡表の雲上限107.40円もレジスタンスとして意識された面がある。なお、米テキサス州はこの日、州内で新型コロナ感染者が急増していることを受けてバーの営業を停止し、レストランは入店制限を強化するよう命じた。米フロリダ州はバーなどでのアルコール類提供を禁止すると発表した。また、米上院が前日に香港問題めぐる対中制裁法案を可決したことで、市場では『米中対立が深まる恐れがある』との指摘があった。「中国は香港情勢をめぐる米国の圧力について、『米中貿易協議の第1段階合意に悪影響を及ぼす可能性がある』と反発している」との一部報道も伝わっている。 

 

ユーロ/ドルは、米国株相場の下落を背景にリスク回避のドル買いが先行し、一時1.1195ドルと日通し安値を付けたものの、フィキシング通過後はドル買いの勢いが後退したため、1.1238ドル付近まで持ち直した。ユーロポンドが終日底堅く推移したことも相場の下支え要因となった。

 

NY原油先物市場は反落:ウイルス感染拡大で需要後退を懸念した売り

NY原油先物市場は37.79ドル‐39.35ドルのレンジ相場となった。米南部の州を中心に新型コロナウイルス感染拡大が続き、経済活動の停滞によるエネルギー需要後退への懸念が高まった。WTI原油先物は、時間外の39ドル台からNY昼前には37ドル後半まで売り込まれた。もっとも、週引けにかけては下げ幅を縮小した。米ベーカー・ヒューズ社が発表した国内の石油掘削装置(リグ)稼働数は前週比1基減少の188基となり、2009年以来の低水準となったことで、需給の引き締まりも意識された。また、新型コロナウイルスの感染再拡大を警戒して米国株式は大幅に下落したことが嫌気された。

 

NY金先物市場は反発:米株の大幅下落を意識した買い優勢

NY金先物市場は1754.00-1786.20ドルのレンジ相場となった。NY朝方には為替相場でドル高が進行し、売りが先行したドル建ての金先物は一時1750ドル台まで弱含んだ。ただしその後、米南部の州で新型コロナウイルス感染急増が明らかとなり、経済活動の停滞懸念から米国株が売られて安全資産の金に資金が流入した。下値から大きく反発した金先物は底堅いまま週引けした。 換金目的の売りが一巡した後は底堅い動きとなった。

 

米国債券市場は上昇:リスク回避の動き強まり買い優勢

米国債券市場で長期ゾーンは上昇(利回りは低下)した。米10年物国債利回りは前営業日比0.04%低い(価格は上昇)0.64%で終了した。米国内で新型コロナウイルスの感染が再び拡大していることが懸念されて、相対的に安全資産とされる米国債に買いが集まった。米中関係の緊張感の高まりも債券相場の支えとなった。 
 

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