FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場は上昇:好悪材料豊富で値動きの荒い展開

NYダウは526.82ドル高の26289.98ドル、ナスダックは169.84ぽいんと高の9895.87ポイントで取引を終了した。5月米小売売上高が過去最大の伸びとなったことが好感されたことや、低コストの抗炎症薬でウイルス重症患者の生存率を高めることが明らかとなったほか、米政権が1兆ドルのインフラ支出を検討との報道も投資家心理の改善を誘った。その後、中国が感染の再燃でウイルス対策の水準を引き上げ、また、米国でもテキサス州やフロリダ州で感染者数や入院患者数の増加が伝えられると上げ幅を縮小した。新型コロナウイルスの感染『第2波』への懸念から一時は40ドル超高まで上げ幅を縮める場面も見られるなど、相場は総じて荒かった。しかし、パウエルFRB議長が上院銀行委での証言で、回復が軌道に乗るまでゼロ金利政策を維持する方針を繰り返したため引けにかけては再び上昇が加速する展開となった。VIX指数は34.40から33.67へ低下した。

 

NY外国為替市場:方向感を欠く展開が継続

ドル/円は、米小売統計後にドル買いが強まった場面では一時107.61円付近まで値を上げた。もっとも、アジア時間につけた高値の107.64円を上抜けることはできず、一時107.17円付近まで反落した。引けにかけては107.30円前後でのもみ合いとなった。なお、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は米上院銀行委員会で『景気回復の時期や強さについて著しい不透明感がある』『景気が軌道に乗るまでゼロ%近辺の金利を維持する』などの見解を示したが、相場への影響は限られた。

 

ユーロ/ドルは、NY勢の参入後は5月米小売売上高が過去最大の伸びとなったことを受けてユーロ売り・ドル買いが先行した。米フロリダ州など複数の州で新型コロナウイルスの感染拡大が確認され、中国の北京市当局が新型コロナウイルスに関して警戒レベルを『2級』に引き上げたと伝わると、米中での新型コロナの感染『第2波』に対する警戒感が高まり、リスク回避の動きが加速した。一時は1.1228ドルまで急速に値を下げた。もっとも、前日安値の1.1227ドルが意識されると急ピッチで値を下げてきた反動もあり、その後は1.1270ドル台まで下げ渋った。

 

NY原油先物市場は続伸:原油需要の拡大観測を好感した買い

NY原油先物市場は36.38ドル-39.06ドルのレンジ相場となった。米政権が1兆ドルのインフラ支出を検討との報道を受けて株高が進み、リスク資産の原油先物も買いが優勢となった。5月米小売売上高が市場予想を大幅に上回る結果になったことや、国際エネルギー機関(IEA)が2020年の石油需要予想を引き上げたことも、原油の買いを後押した。アジア市場で36.38ドルまで下落したが、ニューヨーク市場で一時39.06ドルまで買われた。 ただ、39ドル近辺では利食い売りが観測された。

 

NY金先物市場は反発:感染第2波への警戒感と地政学リスクの高まりで買い

NY金先物市場は1721.80-1741.30ドルのレンジ相場となった。この日発表された5月の米小売売上高は市場予想を大幅に上回ったことから、安全逃避の金買いは一時縮小した。しかしながら、北朝鮮の行動を警戒して北東アジア地域における地政学的リスクの増大を意識した買いが観測された。また、中国・北京市が新型コロナの集団感染で緊急対応レベルを3から2に引き上げ、米テキサス州でも新型コロナの感染が急増しているなど、新型コロナの感染の第2波への警戒感が強まっていることが、安全資産とされる金の買いを誘った。 

 

米国債券市場は下落:米景気回復を見込んだ売り優勢

米国債券市場で長期ゾーンは3日続落(利回りは上昇)した。米10年物国債利回りは前営業日比0.03%上昇(価格は下落)0.75%で終了した。5月米小売売上高が予想を大きく上回ったことで、米景気回復を見込んだ売りが出た。また、米国株式相場の上昇も売りを促した面がある。

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