FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場は下落:米中の通商合意の遅延報道を嫌気

NYダウは112.93ドル安の27821.09、ナスダックは43.92ポイント安の8526.73で取引は終了した。米中貿易協議の第1段階の合意についてホワイトハウスに近い関係者が『来年にずれ込む可能性がある』との考えを示したと伝わると、投資家心理が悪化した。アップルや3M、キャタピラーなど中国売上高比率が高い銘柄を中心に売りが広がり、下げ幅は一時250ドルを超えた。ただ、ホワイトハウス副報道官が『米中交渉は継続しており、第1段階の合意文書について進展が見られる』との見解を示すと、急速に下げ幅を縮めた。 VIX指数は12.86から12.78へ低下した。なお、FOMC議事録では、多くの連銀高官が米経済の下振れリスクが高いとの認識を示し、利下げに踏み切ったものの、今後は金利を維持する方針で一致したことが示された。

 

NY外国為替市場:香港を巡る米中間の緊張の高まりで神経質な展開

ドル/円は、香港を巡る米中間の緊張の高まりが両国の貿易協議の妨げになるとの懸念が強まり、欧州市場では一時108.35円まで売られる場面があった。ただ、下値では本邦実需勢などの押し目買い意欲が旺盛で、NY市場では買い戻しが先行した。米国株が下げ渋ったほか、日経先物が持ち直したことなどが相場の支援材料となり、一時108.74円と日通し高値を付けた。もっとも、『米中の第1段階の通商合意は来年にずれ込む可能性』との観測報道が伝わると、米国株の急落とともに一時108.41円付近まで急失速した。その後、ホワイトハウス副報道官が『米中交渉は継続しており、第1段階の合意文書について進展が見られる』との見解を示すと108.65円付近まで買い戻されるなど、米中協議を巡るヘッドラインに一喜一憂する展開だった。なお、米上院は19日、『香港人権・民主主義法案』を全会一致で可決。これに対し、中国外務省は『強烈な非難と断固とした反対』を表明した。今後はトランプ大統領が同法案に署名し、成立するかどうかが焦点となる。

ユーロ/ドルは、欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会がイタリアとフランスの予算に懸念したことが嫌気されてユーロ売りが先行した。同委員会が『スペインやポルトガル、ベルギー、スロバニア、スロバキア、フィンランドも規律違反のリスクがある』と指摘したことも相場の重石となり、一時1.1053ドルと日通し安値を更新した。ただ、そのあとは米長期金利の低下に伴う買いが入り一時1.1081ドルとアジア時間に付けた日通し高値に面合わせした。 

 

NY原油先物市場は反発:米原油在庫統計やロシアの強調減産協力姿勢

NY原油先物市場は55.64-57.25ドルのレンジ相場となった。米エネルギー情報局(EIA)の在庫統計で原油在庫は137.9万バレルの積み増しと、市場予想ほど在庫増にならなかったことが好感され、原油は買い戻しが優勢となり、昨日の下げ幅を取り戻した。また、為替相場でドルが対ユーロで下落し、ドル建ての原油に割安感が生じたことも、原油の買い戻しを後押しした。また、ロシアのプーチン大統領が『OPECと目標を共有している』と述べ、協調減産に協力する姿勢を示したことも好感された。

 

NY金先物市場は反落:売買材料が交錯しもみ合う展開

NY金先物市場は1466.10ドルまで下落した後、1475.50ドルなで上昇する展開となった。米議会で『香港人権・民主主義法案』が可決されたことを受けて米中関係の悪化への懸念が高まりで金買いが入る一方で、NY通常取引終了後に発表される米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(10月29-30日開催分)への警戒感から売りも入り売買が交錯した。ただ、米中の『第1段階合意』の署名への期待感と警戒感が交錯する中、金の買いは続かずもみ合う展開となった。

 

米国債券市場は続伸:米中貿易協議の先行き懸念から買い優勢

米国債券市場で長期ゾーンは3日続伸(利回りは低下)した。米10年物国債利回りは前営業日比0.04%低い(価格は上昇)1.74%で終了した。米中貿易協議の『第1段階』の合意を巡って投資家の懸念が強まると、安全資産とされる米国債に買いが集まった。

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