FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場は下落:米中貿易協議を巡る不透明感を嫌気

NYダウは1.63ドル安の27781.96、ナスダックは3.08ポイント安の8479.02で取引を終了した。シスコ・システムズ(CSCO)の決算が嫌気されたほか、米中貿易協議を巡る不透明感が意識される中、高値警戒感から売りが優勢となり一時100ドル超下げた。ただ、下値では押し目買い意欲が旺盛で指数はプラス圏を回復する場面もあった。市場関係者からは『マーケットは米中貿易協議に関する具体的な情報を待ちつつ、神経質になっている』との声が聞かれた。 VIX指数は13.00から13.05へ上昇した。

 

NY外国為替市場:リスク回避の動き強まり円買い・ドル売り優勢

ドル/円は、米中貿易協議の進展を巡る不透明感や香港情勢の緊迫化が懸念されて米国株相場が下落して始まると、投資家がリスク回避姿勢を強め円買い・ドル売りが先行した。108.50円割れに観測されていたストップロスを巻き込んで一時108.26円まで値を下げた。その後108.40円付近まで下げ渋る場面もあったが、英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が『米中は第1段階の合意取りまとめで難航している』と報じると一時108.24円と4日以来の安値を付けた。中国商務省報道官はこの日、追加関税の撤廃について『合意の重要な条件であり、両国で議論を詰めているところだ』と説明したほか、前日には『中国による米農産品の輸入拡大で協議が難航している』と報じられており、米中協議の不透明感が意識されていた。なお、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は米下院予算委員会で『米経済は持続的な拡大の可能性が高い』と述べ、米経済の先行きに自信を示した一方、『米債務は経済より速く拡大しており持続不可能』と指摘した。企業債務についても『歴史的な水準に積み上がっている』と警戒感を示し、金融システムを注視すると強調した。 

ユーロ/ドルは、欧州時間に一時1.0989ドルと10月10日以来の安値を付けたものの、NY市場では米長期金利の低下に伴う買い戻しが優勢となった。前日の高値1.1020ドルを上抜けて一時1.1028ドルまで値を上げた。 

 

NY原油先物市場は反落:原油とガソリンの在庫増を嫌気

NY原油先物市場は56.63-57.79ドルのレンジ相場となった。昨日のOPECのバーキンド事務局の発言(米シェールガスの伸びの鈍化予想や、世界の原油需要見通しを上方修正する可能性)以来堅調に推移していた原油先物価格だったが、米エネルギー省(EIA)の週間在庫統計が発表されると、原油在庫が予想以上に増加したほか、ガソリン在庫が予想に反して増加したため一転下落した。また、中国の10月鉱工業生産が市場予想を下回ったことなどを意識した売りが観測された。さらに、米中通商協議の今後の見通しは不透明であることも原油先物の上昇を抑える一因となった。

 

NY金先物市場は続伸:米中通商協議の進展期待後退で買い優勢

NY金先物市場は1461.70-1475.50ドルのレンジ相場となった。米中通商協議で知的財産や農産物の購入、関税についての最終合意に達することは容易ではないとの見方が広がっていることや、中国経済の成長鈍化に対する警戒感が再浮上した。また、欧州株式市場が軒並み軟調に引けたことで、市場はリスクオフになり避難通貨として金先物価格は堅調に推移した。その後、米10年債利回りが低下し、ドルが弱含んだことで金先物価格は上げ幅を更に拡大した。

 

米国債券市場は続伸:リスク回避の動きから安全資産買いが優勢

米国債券市場で長期ゾーンは3日続伸(利回りは低下)した。米10年物国債利回りは前営業日比0.06%低い(価格は上昇)1.82%で終了した。米中貿易協議を巡る不透明感が意識されて、安全資産としての米国債に買いが入った。

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