FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場は上昇:米中通商対立の後退で買い優勢

NYダウは162.94ドル高の26970.71、ナスダックは83.76ポイント高の8077.38で取引を終了した。朝方は、米民主党がトランプ大統領の弾劾調査を開始したことを受けて小動きとなった。しかし、現職大統領の弾劾は困難であるとの見方が広がった。また、トランプ米大統領が中国との貿易協議について『想定よりも早く決着するだろう』と述べると、世界経済の減速懸念を高めている米中の対立が和らぐとの思惑から買いが広がった。ナイキやインテル、アップルなどに買いが集まり、上げ幅は一時200ドルを超えた。VIX指数は17.05から15.96へ低下した。

 

NY外国為替市場:リスク選好となりドル買い優勢に

ドル/円は、トランプ米大統領が中国との貿易協議の早期決着を示唆する発言をしたことや、8月米新築住宅販売件数が予想を上回ったことなどを手掛かりに円売り・ドル買いが先行した。市場では『月末・期末を控えたロンドン16時(日本時間24時)のフィキシングに絡んだドル買いのフローが入っているのではないか』との指摘があり、一時107.88円と日通し高値を付けた。安倍晋三首相とトランプ米大統領が日米貿易協定の最終合意を確認し、共同声明に署名したことも好感された。買いが一巡したあとも107円台後半で底堅く推移した。なお、米政権が公表したトランプ大統領とゼレンスキー・ウクライナ大統領との通話記録で『トランプ大統領がバイデン氏に関して政権側との協力をウクライナに求めた』ことが明らかになると、瞬間的に円買い・ドル売りで反応したが、トランプ大統領がウクライナへの軍事支援の見返りに調査を求めた発言はなかったためすぐに持ち直した。市場関係者からは『通話記録を公開したことで大統領弾劾の確率が低下した』との声も聞かれた。 

ユーロ/ドルは、欧州市場でユーロ圏景気の減速懸念などを背景に欧州株安・ユーロ安が進んだ流れを引き継いで始まった。トランプ米大統領の発言で米中の対立懸念が和らいだうえ、低調な米5年債入札後に米10年債利回りが1.73%台まで上昇幅を広げたことがドル買いを誘い、一時1.0938ドルと12日以来の安値を付けた。欧州中央銀行(ECB)はこの日、ラウテンシュレーガー専務理事が任期切れを待たずに10月31日付で退任すると発表した。ドイツ出身の同氏は量的緩和政策の再開に批判的な立場だった。任期を2年以上残しての突然の辞任発表だったことから、市場では『憶測を呼びそうだ』との声が聞かれた。 

 

NY原油先物市場は続落:原油の在庫増を嫌気した売り優勢

NY原油先物市場は55.55ドルー57.02ドルのレンジ相場となった。為替相場でドル高が進み、ドル建ての原油先物は売りが先行した。サウジアラビアの石油生産が想定より早く回復との一部報道も原油相場の下落圧力を強めた。米エネルギー省(EIA)が発表した週間石油在庫では、原油が241.2万バレルの積み増しとなった。結果を受けて原油先物は下値を広げた場面はあったが、その後はリスクオン地合いの回復とともに下げ幅を縮小した。また、トランプ大統領が『中国との貿易協議は予想よりも早く合意する可能性もある』との見解を示したことも買い材料となった。

 

NY金先物市場は反落:ドル高や米中通商協議の進展期待から売り優勢

NY金先物市場は1507.40-1542.80ドルのレンジ相場となった。利益確定の売りが上値を抑えていたところに、為替相場でドル高が進行したことを受けてドル建ての金先物は下げ足を速めた。トランプ米大統領の弾劾リスクが後退したこと、同大統領が中国との通商合意が早期に実現される可能性を示唆したことなども安全資産の金にとっては重しとなった。 また、米長期金利の反発も売り材料になった。

 

米国債券市場は反落:米国政治リスク後退で売り優勢

米国債券市場で長期ゾーンは反落(利回りは上昇)した。米10年物国債利回りは前営業日比0.09%高い(価格は下落)1.73%で終了した。米中貿易協議の進展期待が高まったほか、トランプ米大統領の弾劾問題で米政治が混乱するとの警戒感が和らぎ債券売りが広がった。さえない米5年債入札も相場の重石となった。 

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