FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場は下落:米中貿易摩擦に対する不透明感が重石

NYダウは43.68ドル安の26004.83、ナスダックは29.85ポイント安の7792.72で取引を終了した。5月消費者物価指数(食品・エネルギー除く)が予想を下振れ、利下げ観測の拡大から寄付き後は小動きとなった。米中貿易摩擦や香港の条例改正案を巡る抗議行動の行方を見極めたいとの思惑から、緩やかに下落する展開となった。また、ロス米商務長官は『大阪サミットでの米中首脳会談では、最終合意が予定されているわけではない』などと発言しており、依然として米中貿易摩擦に対する不透明感が相場の重しとなった。原油価格の大幅下落を背景に、シェブロンやエクソンモービルなどエネルギー株が売られたことも指数の押し下げ要因となった。半面、ユナイテッド・テクノロジーズやジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)などが買われ、相場を下支えした。 VIX指数は15.99から15.91へ低下した。

 

NY外国為替市場:ドルはユーロとポンド売りから底堅い展開

ドル/円は、日本時間夕刻に一時108.19円と日通し安値を付けたあとはじりじりと下値を切り上げる展開となった。市場予想を下回る米CPIを受けて円買い・ドル売りが入る場面もあったが、米金利低下が一時的だったことからドル円の下値は堅かった。米長期金利が低下幅を縮めたことに伴って一時108.53円付近まで値を戻している。もっとも、アジア時間に付けた日通し高値108.57円は上抜けることが出来なかった。NY中盤以降はユーロやポンド絡みの取引が中心となったため、ドル円自体は方向感が出なかった。

ユーロ/ドルは、米5月CPIが予想を下回ると、米長期金利の低下とともにユーロ買い・ドル売りが先行し、一時1.1341ドル付近まで値を上げた。ただ、夕刻に付けた日通し高値1.1343ドルの上抜けに失敗すると失速した。2.1066%前後まで低下した米長期金利が2.1413%前後まで低下幅を縮めたこともユーロ売り・ドル買いを誘った。トランプ米大統領が『(ロシアからバルト海経由で天然ガスを直接ドイツに送るパイプライン)ノルド・ストリーム2計画阻止のための制裁を検討している』と述べ、ドイツに対しエネルギーでロシアに依存しないよう警告すると、米独関係悪化への警戒感からユーロ売り・ドル買いが強まった。前日の安値1.1302ドルを下抜けて一時1.1283ドルまで下げ足を速めた。なお、同パイプラインを巡っては米国の他東欧や北欧、バルト海諸国から、欧州連合(EU)のロシア産ガスに対する依存が高まると懸念する声が出ている。一方で、ドイツは同計画を推進する強い立場を一貫して維持している。

 

NY原油先物市場は反落:原油在庫増が嫌気され売り優勢

NY原油先物市場は50.72ドル-53.05ドルのレンジ相場となった。昨日引け後に発表された米石油協会(API)の週間原油在庫が大幅積み増しとなり、原油先物は時間外から売り優勢となった。本日発表の米エネルギー省(EIA)の週間石油在庫では、一部では取り崩し予想のところ、220.6万バレルの積み増しという結果になった。これを受けて供給過剰への懸念が更に高まり、原油先物には売りが集まった。米中対立が続いていることや、原油需要拡大に直結する材料は依然として少ないことから、原油先物の上値は一段と重くなった。

 

NY金先物市場は小幅続伸:香港の抗議運動や米早期利下げ観測で買い優勢

NY金先物市場は1329.80-1342.30ドルのレンジ相場となった。香港では『逃亡犯条例』改正案に反対する抗議運動が広がり、香港株式市場はリスク回避ムードが強まった。そのため安全資産の金には資金が向かい、時間外から金先物は堅調に推移した。NY時間に入り、5月米CPIが予想より弱かったことも金相場の支えとなった。その後、為替相場でドルが欧州通貨に対して強含むと、ドル建ての金先物は上げ幅を縮小して引けた。 

 

米国債市場は続伸:米早期利下げ観測強まり買い優勢

米国債券市場で長期ゾーンは続伸(利回りは低下)した。米10年物国債利回りは前営業日比0.02%低い(価格は上昇)2.12%で終了した。米5月CPIが市場予想より弱い内容となり、早期利下げ観測が強まった。米国株の下落で安全資産とされる米国債に買いが入った面もあった。

 

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