FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場は上昇:貿易摩擦激化懸念後退と米利下げ期待

NYダウは512.40ドル高の25332.18、ナスダックは194.10ポイント高の7527.12で取引が終了した。中国商務省の声明やメキシコ大統領の発言を受けて、米国と中国・メキシコとの貿易摩擦が激化し、世界的に景気が減速するとの懸念が後退。投資家心理が改善し買いが膨らんだ。パウエル米FRB議長の発言で米利下げ期待が強まったことも相場の押し上げ要因となり、指数は一時520ドル超上げた。 ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は3営業日ぶりに急反発した。VIX指数は18.71から16.97へ低下した。

 

NY外国為替市場:米利下げ期待が強まりドルの重石に

ドル/円は、アジア市場では一時107.85円と1月10日以来約5カ月ぶりの安値を付けたものの、欧米市場では下げ渋った。中国商務省が『貿易摩擦は対話によって解決するべき』との声明を出したほか、メキシコのロペスオブラドール大統領が米国との移民問題について『トランプ米大統領が設定した期限の10日より前に米国と合意が得られる』『協議は上手くいっている』との見通しを示したと伝わった。米国を中心とした貿易摩擦を巡る過度な警戒感が後退し、米国株相場が大幅に反発した。米長期金利も上昇したため円売り・ドル買いが優勢となり、一時108.36円と日通し高値を付けた。
 ただ、上値も限定的だった。パウエル米FRB議長が講演で『FRBは景気拡大の維持のため適切に行動する』などと述べると、米利下げ期待が強まりドルの重石となった。

ユーロ/ドルは、欧州時間に発表された5月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値が予想を下回ったことでユーロ売り・ドル買いが先行した。米貿易摩擦の激化懸念が後退し米長期金利が2.14%台まで上昇したこともドル買い戻しを誘い、一時1.1227ドルと日通し安値を付けた。ただ、パウエルFRB議長の発言を受けて米利下げ観測が強まったため、ドル買いの勢いは長続きしなかった。一時1.1267ドル付近まで切り返す場面があった。

 

NY原油先物市場は小反発:米国株の大幅高を好感

NY原油先物市場は52.43ドル-53.48ドルのレンジ相場となった。米国株の大幅上昇を受けて反発したが、通常取引終了後の時間外取引で再び53ドルを下回った。ムニューシン米財務長官は20カ国・地域(G20)首脳会合において中国側との正式な会合は予定していないとの見方を伝えており、通商問題などを巡る米中対立の長期化・深刻化の影響で世界経済の成長率は大幅に鈍化し、原油需要は減少するとの懸念は消えていない。また、石油輸出国機構(OPEC)主導の協調減産が継続するとの期待感が支えとなるなか、為替相場でドル安が進み、ドル建ての原油に割安感が生じたことも買いを後押しした。

 

NY金先物市場は小幅高:米国株の大幅高が上値を抑える

NY金先物市場は1324.70-1334.10ドルのレンジ相場となった。パウエルFRB議長の発言を受けて利下げ観測が高まり、ドルの上値が重くなったことで、金に買いが入った。ただ、約3カ月ぶりの高い水準ということで利益確定売りも出やすいなか、米国株の堅調な動きを背景とした売りも入り、前日とほぼ変わらない水準で取引を終えた。 

 

米国債券市場は反落:米国株の大幅高で売りが優勢

米国債券市場で長期ゾーンは4営業日ぶりに反落(利回りは上昇)した。米10年物国債利回りは前営業日比0.06%高い(価格は下落)2.13%で終了した。米国株相場の大幅上昇で投資家心理が改善し、相対的に安全資産とされる米国債に売りが出た。なお、パウエルFRB議長の発言を受けて債券買いが入る場面もあったが、反応は一時的だった。 

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