FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場は4日続落:世界的な株安を警戒した売りが優勢に

NYダウは486.27ドル安の29590.41ドル、ナスダックは198.88ポイント安の10867.93ポイントで取引を終了した。英国政府が1972年来で最大とされる減税策を発表し、インフレ高進にさらに拍車をかけるとの懸念に欧州市場が大幅安となった流れに続き、寄り付き後は下落した。国内の長期金利も一段と上昇、景気後退懸念を受けた売りも強まり、一段安となった。引けにかけ、世界的な株安を警戒した投資資家心理の悪化で、買い持ちポジション手仕舞いの売りも巻き込み下げ幅を拡大して終了した。NYダウは一時820ドル超下落した。VIX指数は27.35から29.92へ上昇した。

 

NY外国為替市場:リスク回避のドル買いで一強通貨に

ポンド/ドルは、トラス英政権が打ち出した1972年以来の大規模な減税策と国債増発計画をきっかけに財政悪化懸念が強まると、英国債相場が暴落(利回りは急騰)した。英株安・債券安・通貨安の『トリプル安』となり、一時1.0840ドルと1985年以来37年ぶりの安値を更新した。市場では『今回発表された一連の措置に伴う費用は英国の財政では賄いきれず、通貨危機を招く恐れがある』との声が聞かれたほか、『ポンドが信用を失うリスクがあり、1ポンド=1ドルのパリティ(等価)まで下落する可能性がある』との指摘があった。なお、ユーロ/ポンドは一時0.8937ポンドと昨年1月以来のポンド安水準を付けたほか、ポンド/円は155.45円と3月17日以来の安値を更新した。 

 

ユーロ/ドルは、高インフレの長期化と金融引き締めによるユーロ圏景気の後退が懸念される中、英国が発表した大規模な減税と大幅な借り入れ増額で金融市場に動揺が広がった。世界同時株安の様相が強まる中、リスク回避のドル買いも重なり一時0.9668ドルと02年9月以来20年ぶりの安値を更新した。主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時113.23と02年5月以来の高値を付けた。 

 

ドル/円は、NYダウが一時820ドル超下落するなど、米国株相場が軟調に推移すると、主要通貨に対してリスク回避のドル買いが先行した。円に対してもドル買いが進んだ。9月米製造業・サービス部門PMI速報値が予想を上回ったことも相場の支援材料となり、一時143.46円と日通し高値を付けた。もっとも、欧州市場では政府・日銀による円買い介入への警戒感から、瞬間的に1円程度急落する場面も見られた。19時前には142.32円付近、20時過ぎには142.38円付近まで、いずれも143円台前半から一気に下落し、すぐに持ち直した。

 

NY原油先物市場は大幅に反落:エネルギー需要鈍化への懸念強まる

NY原油先物市場は78.04ドル-83.92ドルのレンジ相場となった。世界的な金融引き締めで景気減速は避けられず、エネルギー需要鈍化への懸念が再び持ち上がると売り優勢となった。また、英国財政が大幅に悪化との警戒感から同国資産の売却が進み、これが他のリスク資産を売る動きにも繋がった。一時78.04ドル付近まで下げ幅を広げ、1月以来の安値を更新した。アジア市場で83.92ドルまで買われたが、欧米株安を警戒してニューヨーク市場で78.04ドルまで値を下げた。通常取引終了後の時間外取引では主に79ドルを挟んだ水準で推移した。

 

NY金先物市場は3日ぶりに反落:米金利上昇とドル高を嫌気した売り

NY金先物市場は1646.60-1685.00ドルのレンジ相場となった。時間外から地合い弱く、2020年4月以来の1650ドル割れまで売り込まれた。米金利が上昇して金利を生じない金の魅力が薄れたこと、為替相場でドル高が大きく進みドル建て金の割高感が高まったことが売りを誘った。NY勢の本格参入後に反発する場面もあったが、1665ドル付近を戻りの高値に再び売り押された。アジア市場で1685.00ドルまで買われたが、主要通貨に対するドル高が進行したことでニューヨーク市場の終盤にかけて1646.60ドルまで反落した。通常取引終了後の時間外取引では主に1650ドルを挟んだ水準で推移した。

 

米国債券市場は まちまち:英国債相場の暴落に連れて売り優勢に

米国債券市場で中期ゾーンは下落(利回りは上昇)した。米2年物国債利回りは前営業日比0.08%高い(価格は下落)4.20%で終了した。また、長期ゾーンは上昇(利回りは低下))した。米10年物国債利回りは前営業日比0.03%低い(価格は上昇)3.68%で終了した。英国債相場が暴落すると米国債にも売りが波及した。利回りは一時3.8248%前後と2010年4月以来の高水準を付けた。ただ、米国株が大幅に下落すると、相対的に安全資産とされる米国債に買いが入ったため相場は上げに転じた(利回りは低下)。 

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