FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場は大幅下落:米FRBの過剰な利上げ懸念による売り優勢

NYダウは1276.37ドル安の31104.97ドル、ナスダックは632.84ポイント安の11633.57ポイントで取引は終了した。8月消費者物価指数(CPI)が予想を上回る伸びとなったため、連邦準備制度理事会(FRB)の利上げペース加速懸念に売られ、寄り付き後は大きく下落した。長期金利の急伸でハイテクの売りも加速し、相場をさらに押し下げた。同時にFRBの過剰な利上げによる景気後退入り懸念も浮上し、サービスや小売りなどを中心に売られ、一段安となった。引けにかけても売り止まず、ポジション手仕舞いの売りも巻き込み主要株式指数は大幅安で終了した。VIX指数は23.87から27.27へ上昇した。

 

NY外国為替市場:強い8月米CPIの結果受けドルが急騰

ドル/円は、注目の8月米消費者物価指数(CPI)の発表を前に思惑的なドル売りが先行すると、一時141.58円と日通し安値を付けたものの、米CPIの結果が伝わると一転上昇した。米労働省が発表した8月米CPIは前年比8.3%上昇と予想の8.1%上昇を上回り、エネルギーと食品を除くコア指数も前年比6.3%上昇と予想の6.1%上昇より強い内容だったことが明らかに。米金利の上昇とともにドル全面高の展開となり、一時144.68円まで急伸した。買い一巡後は伸び悩む場面もあった。7日の高値144.99円がレジスタンスとして意識されたほか、145.00円に観測されているバリアオプションに絡んだ防戦売りなどに上値を抑えられた。ただ、下押しは143.80円付近にとどまり、引けにかけては144.59円付近まで持ち直している。なお、市場では米連邦準備理事会(FRB)が20-21日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で通常の3倍にあたる0.75%利上げを実施する可能性を完全に織り込み、1.00%の利上げ予想も浮上した。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する『フェドウオッチ』では、1.00%の利上げ確率が38%近辺まで上昇した。 

 

ユーロ/ドルは、8月米CPIの発表を前に思惑的なドル売りが先行すると一時1.0187ドルと日通し高値を付けたものの、米CPIが上振れしたことが伝わると米金利の上昇とともにドル買いが膨らんだ。取引終了間際には一時0.9967ドルと日通し安値を付けた。市場では『再び台頭していた米インフレのピークアウト観測が完全に打ち砕かれた』との声が聞かれた。 

 

オセアニア通貨は軟調だった。NYダウが一時1360ドル超下落し今年最大の下げ幅を記録すると、リスクに敏感なオセアニア通貨に売りが集まった。豪ドル/ドルは0.6727米ドル、NZドル/ドルは0.5987米ドルまで売られたほか、豪ドル/円は97.20円、NZドル/円は86.43円まで値を下げた。

 

NY原油先物市場は4日ぶりに反落:インフレ高止まりの影響を警戒

NY原油先物市場は85.06ドル-89.31ドルのレンジ相場となった。米8月消費者物価指数(CPI)の結果を受けてドルが全面高となり、ドル建ての原油は割高感から売りが優勢となった。ただ、ロシアが欧州連合(EU)に供給停止を警告していることが相場の支えとなり下値は限られた。『米政府は戦略石油備蓄(SPR)補充のため、原油を1バレル=80ドル前後で購入することを検討している』との報道も相場の支援材料となった。ロンドン市場で89.31ドルまで買われたが、8月米消費者物価指数発表後は売りが強まり、インフレ高止まりを警戒して一時85.06ドルまで売られた。ただ、需給ひっ迫の可能性は残されており、通常取引終了後の時間外取引では、主に87ドル台で推移した。 

 

NY金先物市場は3日ぶりに反落:米長期金利の大幅上昇を嫌気

NY金先物市場は1706.70-1742.90ドルのレンジ相場となった。予想を上回った米8月消費者物価指数(CPI)の結果を受けて米長期金利が大幅上昇し、金利を生まない金は売りに押された。為替市場でドル高・ユーロ安が進み、ドル建ての金に割高感が生じたことも金の売りを後押しした。ロンドン市場で1742.90ドルまで買われたが、8月米消費者物価指数発表後に1706.70ドルまで売られた。ただ、米国株安を受けて金先物の下げ幅はやや縮小し、通常取引終了後の時間外取引では1710ドル台で推移した。 

 

米国債券市場は下落:金融引き締めの長期化を嫌気

米国債市場で中長期ゾーンは大幅続落(利回りは上昇)した。米2年物国債利回りは前営業日比0.17%高い(価格は下落)3.74%で終了した。また、米10年物国債利回りは前営業日比0.05%高い3.41%で終了した。8月米消費者物価指数(CPI)が予想を上回ったことで、米連邦準備理事会(FRB)の一段の利上げと金融引き締めの長期化観測が高まり、債券売りを促した。利回りは一時3.4564%前後と6月16日以来約3カ月ぶりの高水準を付けた。米金融政策の影響を受けやすい米2年債利回りは一時3.7895%前後と2007年11月以来の高水準を更新した。 

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