FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場は大幅反落:金融引き締めの長期化観測強まり売り優勢に

NYダウは1008.38ドル安の32283.40ドル、ナスダックは497.56ポイント安の12141.71ポイントで終了した。連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長によるジャクソンホール会合での講演を控え、横ばいで寄り付いた。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演を受けて売買が交錯したあとは大きく値を下げた。パウエル氏はインフレ抑制を最優先に利上げを続ける方針を改めて強調。金融引き締めの長期化観測が強まり、米景気が一段と悪化するとの見方から幅広い銘柄に売りが広がった。
 市場では『インフレが早期に収束すればFRBは金融緩和方向に動くとの観測が出ていたが、パウエル氏の発言を受けて金融引き締めが強く意識され、景気が冷え込むことへの懸念が強まった』との声が聞かれた。VIX指数は21.78から25.56へ上昇した。

 

NY外国為替市場:米金利が上昇して米国株相場が急落するとドル買い優勢に

ドル/円は、米連邦準備理事会(FRB)が金融政策を判断するうえで重視している7月米個人消費支出(PCE)価格指数(デフレーター)で変動が激しい食品とエネルギーを除くコアデフレーターが予想を下回ると円買い・ドル売りが先行した。前日には『データ次第では9月に0.75%利上げの可能性もある』と発言していたボスティック米アトランタ連銀総裁が『0.50%の利上げに傾いている』と述べたこともドル売りを促し、しばらくは軟調に推移した。その後、パウエルFRB議長がジャクソンホール会議での講演で『9月の利上げ幅はデータ次第』としながらも、『早急な緩和のリスクを歴史が警告』『景気抑制の政策は一定期間必要になる可能性』と述べ、高金利をしばらく維持する方針を示すと一気にドル買いが強まり137.33円まで急上昇した。パウエル氏の講演が10分程度で終了すると『材料出尽くし』として、いったんはドル売りが優勢となり、一時136.18円と日通し安値を更新したものの、目先の売買が一巡すると米金利が上昇し米国株相場が急落した。為替市場では再びドル買いが優勢となった。取引終了間際には一時137.65円と日通し高値を更新した。なお、パウエル氏は『インフレを抑え込むには家計や企業に何らかの痛みをもたらすことになるがそれは避けられないコストだ。ただ、物価の安定を取り戻すことに失敗すればもっと大きな痛みを伴うことになる』と述べ、記録的なインフレを抑制する決意を表明した。 

 

ユーロ/ドルは、『複数の欧州中央銀行(ECB)当局者は来月8日の定例理事会で、通常の3倍に当たる0.75%の利上げについて議論したい意向』との観測報道をきっかけに、欧州金利の急騰とともにユーロ買いが先行した。パウエル氏の講演終了後にドル売りが強まったタイミングで一時1.0090ドルと本日高値を付けた。ただ、そのあとは米金利上昇と欧米株価の急落を睨みながら再びドル買いが優勢になった。欧州の天然ガス価格が過去最高値を更新し、ユーロ圏の深刻なエネルギー危機が警戒される中、域内景気の減速を懸念したユーロ売りも出やすく、一時0.9957ドル付近まで下押しした。 

 

オセアニア通貨は軟調だった。NYダウが1000ドル超下落するなど、米国株の急落を受けてリスクに敏感なオセアニア通貨に売りが集まった。豪ドル/米ドルは0.6888米ドル、NZドル/米ドルは0.6134米ドルまで下げたほか、豪ドル/円は94.63円、NZドル/円は84.25円まで値を下げた。

 

NY原油先物市場は小反発:需給のひっ迫の思惑が残る

NY原油先物市場は91.08ドル-94.02ドルのレンジ相場となった。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演など、FRB高官の発言が米金利の高水準での推移継続の観測を強めた。景気回復を遅らせるとの見方から、エネルギー需要後退の思惑を誘った。原油相場の重さにつながったものの、石油輸出国機構(OPEC)や他の主要産油国による枠組みOPECプラスによる減産への動きが下落幅の拡大を防いだ。持ち直し、小幅プラスで週の取引を終えた。ロンドン市場で94.02ドルまで買われたが、ニューヨーク市場の中盤にかけて91.08ドルまで反落した。米国株安も嫌気された。ただ、需給ひっ迫の思惑は消えていないことから、取引終盤にかけて反発し、通常取引終了後の時間外取引では93ドルを挟んだ水準で推移した。 

 

NY金先物市場は4日ぶりに反落:早期利下げ観測後退で売り強まる

NY金先物市場は1746.20-1772.30ドルのレンジ相場となった。欧州通貨やオセアニア通貨など多くの通貨に対してドル高が進んだことからドル建て金価格に割高感が生じ、金相場の圧迫要因となった。短めな年限を中心に米債金利へ上昇圧力が掛かったことも、金利がつかない資産である金への投資妙味を低め、相場の押し下げ要因となった。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演での発言などFRB高官の発言が、高金利の状態が続きやすいとの見方を強めた。アジア市場の序盤に1772.30ドルまで買われたものの、ポジション調整的な売りが増えたことで反落。ニューヨーク市場では、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の発言を受けて早期利下げ観測は後退し、一時1746.20ドルまで下げた。ただ、株安を意識して売りは一巡し、通常取引終了後の時間外取引では1750ドルを挟んだ水準で推移した。 

 

米国債券市場はまちまち:金融引き締めの長期化観測が強まり売り優勢に

米国債券市場で中期ゾーンは変わらずだった。米2年物国債利回りは前営業日比変わらずの3.38%で終了した。また、長期ゾーンは下落(利回りは上昇)した。米10年物国債利回りは前営業日比0.02%高い(価格は下落)3.04%で終了した。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長がジャクソンホール会議での講演で、インフレ抑制を最優先に利上げを続ける方針を改めて強調すると、金融引き締めの長期化観測が強まり債券売りが進んだ。半面、米景気が悪化するとの懸念から米国株が急落すると、相対的に安全資産とされる米国債に買いが入ったため下値は限定的だった。 

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