FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場は下落:FRB高官によるタカ派発言を嫌気した売り

NYダウは402.23ドル安の32396.17ドル、ナスダックは20.22ポイント安の12348.76ポイントで取引を終了した。ペロシ下院議長の台湾訪問を巡る中国の警告を受け、米中緊張の深刻化を警戒した売りに寄り付き後は下落した。その後、ペロシ議長が問題なく台湾到着との報を受け、安心感から買戻しが強まり、下げ幅を縮小した。また、ハイテク株の買戻しが下支えとなった。しかし、数名の連邦準備制度理事会(FRB)高官が講演やインタビューで、国内経済が景気後退には陥っておらず、高インフレの抑制が依然必要だと、9月連邦公開市場委員会(FOMC)でも0.75%の利上げも除外しなかったため金利が急伸すると売りが再燃し、下げ幅を拡大し終了した。VIX指数は22.84から23.93へ上昇した。

 

NY外国為替市場:FRBが利上げペースを緩めるとの見方が後退

ドル/円は、ペロシ米下院議長の台湾訪問で、米中間の緊張が激化するとの懸念から、アジア市場では一時130.41円と6月3日以来約2カ月ぶりの安値を付けたが、NY市場では底堅く推移した。デイリー米サンフランシスコ連銀総裁はこの日、『米連邦準備理事会(FRB)のインフレ対策は終了からほど遠い』と述べたうえ、『FRBが来年には利下げを始める』との観測が出ていることについて『困惑している。市場参加者はデータのどこを見ているのか。私の見通しとは異なる』と批判した。また、エバンズ米シカゴ連銀総裁は『9月会合での0.50%利上げは合理的だが0.75%でも問題ない』『9月以降は来年上期まで0.25%の追加利上げ継続を引き続き期待する』と述べたほか、メスター米クリーブランド連銀総裁は『インフレは全く落ち着いていない』『FRBはインフレ抑制にコミットしている』と語った。市場で台頭していたFRBが利上げペースを緩めるとの見方が後退し、米国債の売り(金利は上昇)とドル買いが強まった。ペロシ氏の台湾到着が無事確認されたことも円売り・ドル買いを促し、取引終了間際に一時133.20円と日通し高値を更新した。なおペロシ氏の台湾到着後、中国軍東部戦区は2日夜から台湾周辺で演習や実弾射撃などの軍事行動を実施し、中国人民解放軍は『4-7日に軍事演習を実施する』と表明したが、過激な報復行動は見られず、台湾情勢を巡るリスク回避の動きはいったん和らいだ。市場では『米中間の緊張が大幅にエスカレートした場合の影響は大きいものの、現時点ではそのような可能性は低いだろう』との声が聞かれた。 

 

ユーロ/ドルは、ペロシ氏の台湾訪問を巡り、米中関係の緊張を警戒した動きも見られたが、FRB高官らのインフレ警戒を改めて強調する発言をきっかけに米長期金利が大幅に上昇すると全般ドル買いが活発化した。前日の安値1.0205ドルを下抜けて一時1.0164ドルまで下げ足を速めた。

 

NY原油先物市場は反発:リスク回避の動きが後退し買い戻し

NY原油先物市場は92.59ドル-96.47ドルのレンジ相場となった。ペロシ米下院議長が台湾に到着し、中国に過激な報復行動が見られなかったことを受けてリスク回避の動きが緩み、一時96ドル台まで買い戻しが入ったが、為替相場でドル高が進んだ動きを眺めながら急速に上げ幅を縮小した。市場では3日に控えている石油輸出国機構(OPEC)加盟・非加盟の産油国で構成する『OPECプラス』会合に注目が集まっている。アジア市場で92.59ドルまで売られたが、まもなく反転し、ニューヨーク市場の序盤にかけて95ドル台まで戻した。その後、93ドル台まで売られたが、需給ひっ迫を意識した買いが入ったことで一時96.47ドルまで上昇。ただ、通常取引終了後の時間外取引ではドル高を意識して93ドル台に下げる展開となった。 

 

NY金先物市場は5日続伸:時間外取引では売り強まる

NY金先物市場は1777.00-1805.00ドルのレンジ相場となった。ペロシ米下院議長の訪台をめぐり米中の緊張感の高まりへの警戒感で投資家のリスク回避が先行し、12月限は一時1805.0ドルまで上昇した。ただ、米長期金利が大幅に上昇し、為替相場でドル高が進んだことを受けて、金先物は上げ分をほぼ吐き出した。ペロシ米下院議長の台湾訪問を受けて安全逃避の買いが活発となり、ニューヨーク市場の序盤にかけて1805.00ドルまで買われた。ただ、米長期金利が反発し、ドル買いが優勢となったことから、金先物は反落し、通常取引終了後の時間外取引で一時1777.00ドルまで下落した。

 

米国債券市場は反落:FRB高官らのタカ派発言で売り優勢に

米国債券市場で中長期ゾーンは反落(利回りは上昇)した。米2年物国債利回りは前営業日比0.17%高い(価格は下落)3.03%で終了した。また、米10年物国債利回りは前営業日比0.18%高い2.75%で終了した。ペロシ米下院議長の台湾訪問で、米中間の緊張が激化するとの懸念から買いが先行したものの、米連邦準備理事会(FRB)高官らのタカ派的な発言が伝わると、FRBが利上げペースを緩めるとの見方が後退し一転売りが優勢となった。 

 

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