FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場はまちまち:金融機関のリバランスに伴う株買いへの思惑が支え

NYダウは82.32ドル高の31029.31ドル、ナスダックは3.65ポイント安の11177.89ポイントで取引を終了した。1-3月期国内総生産(GDP)や個人消費確定値が予想外に下方修正されたため、景気減速を警戒した売りに寄り付き後は下落した。その後、連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が参加した欧州中央銀行(ECB)の年次フォーラムで経済の強さを強調したため警戒感が後退し、上昇に転じた。さらに、ドイツのインフレがピークに達した可能性が示唆されたため国内の金利も低下し投資家心理も改善し、NYダウはプラス圏を維持した。FRBが重要視しているPCEコアデフレーターの発表を明日に控えた警戒感にナスダック総合指数は小幅下落で終了した。期末を控えて金融機関のリバランスに伴う株買いへの思惑が相場を下支えした。VIX指数は28.36から28.16へわずかに低下した。

 

NY外国為替市場:ドル/円は24年ぶりのドル高・円安

ドル/円は、6月に続き7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でも0.75%の大幅利上げの可能性が意識される一方、日銀は大規模な金融緩和策を維持した。日米金融政策の方向性の違いに着目した円売り・ドル買いが優勢となり、一時137.00円と1998年9月以来約24年ぶりの高値を更新した。ただ、そのあとは24年ぶりの137円台乗せとあって達成感から利食い売りなどが優勢になった。米10年債利回りが3.08%台まで低下したことも相場の重しとなり、136.35円付近まで伸び悩む場面があった。なお、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長はこの日、欧州中央銀行(ECB)年次フォーラムで『米経済は力強い状態にあり、FRBは堅調な労働市場を維持しながらインフレを2%に戻すことができる。ただ、ここ数カ月この任務は難しさを増している』などと発言した。また、『ドルは強くなっている。ディスインフレ的な傾向だ。我々はドルの水準に責任を負わない』などと述べた。 

 

ユーロ/ドルは、6月独消費者物価指数(CPI)速報値の伸び率が前月から鈍化し、予想を下回ったことで、インフレ加速が一服するとの観測から欧州債利回りが低下した。全般ユーロ売りが先行した。FRBの金融引き締め加速が意識されたことで、ドル高の様相も強まり一時1.0435ドルと16日以来約2週間ぶりの安値を更新した。なお、ラガルドECB総裁はECB年次フォーラムで『低インフレの環境に戻る可能性は低い』『7月にどうなる可能性があるかすでに明確に示している』などと語った。 

 

NY原油先物市場は4日ぶりの反落:利食いやドル高を嫌気した売りが優勢

NY原油先物市場は109.22ドル-114.05ドルのレンジ相場となった。需給ひっ迫への警戒感が更に高まるなかで底堅く推移し、米エネルギー省(EIA)の週間石油在庫の発表後には114ドル台に乗せた。原油在庫は276.2万バレルの取り崩しだった。もっとも一巡後は一転して売り戻しが優勢になった。先週末から上昇し続けていた後なだけに反動も大きく、109ドル台に入り込んで引けた。供給不足を警戒してニューヨーク市場の中盤にかけて114.05ドルまで買われる場面があったが、利食い売りが増えたことや主要通貨に対するドル高が進行したことを嫌気して売りが優勢となった。通常取引終了後の時間外取引で110ドルを下回り、一時109.22ドルまで下落した。

 

NY金先物市場は3日続落:ドル高を嫌気した売り強まる

NY金先物市場は1810.70-1834.90ドルのレンジ相場となった。1-3月期米GDPや同・個人消費の確定値が下方修正されると、安全資産とされる金に買い戻しが入った。もっとも為替相場でドル買いが対ユーロなどで進むと、割高感が生じたドル建ての金は上値を切り下げた。ロンドン市場の前半に1810.70ドルまで売られたが、ニューヨーク市場の序盤にかけて1834.90ドルまで反発した。しかしながら、主要通貨に対するドル高が続いたことから、米長期金利は低下したものの、金先物の上値は重くなった。通常取引終了後の時間外取引では主に1820ドルを挟んだ水準で推移した。

 

米国債券市場は上昇:米国の金融引き締めによる景気悪化懸念から買い

米国債券市場で中長期ゾーンは上昇(利回りは低下)した。米2年物国債利回りは前営業日比0.09%低い(価格は上昇)3.04%で終了した。また、米10年物国債利回りは前営業日比0.08%低い3.09%で終了した。独インフレ率の伸びが鈍化したことで、欧州債相場が上昇すると米国債にも買いが波及した。米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締め加速が景気悪化を招くとの懸念から、相対的に安全資産とされる米国債の買いを誘った面もあった。

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