FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場は大幅下落:米FRBの大幅利上げによる景気後退懸念

NYダウは741.46ドル安の29927.07ドル、ナスダックは453.05ポイント安の10464.10ポイントで取引を終了した。住宅、製造業、雇用関連指標の軒並み予想を下回る低調な結果に失望した売りに、寄り付き後は大幅下落した。連邦準備制度理事会(FRB)の大幅利上げによる景気後退懸念も強まり、一段の売りに繋がった。終日軟調に推移し、NYダウは20年12月来の約1年半ぶりの安値となった。世界中で積極的な利上げが進む中、世界経済の急速な冷え込みを警戒した投資家のリスク回避の株売りが広がった。VIX指数は29.62から32.95へ上昇した。

 

NY外国為替市場:世界経済減速懸念によるリスク回避の円買い・ドル売り

ドル/円は、前日の米連邦準備理事会(FRB)に続き、本日はスイス国立銀行(SNB)や英中銀(BOE)が利上げを決定した。世界中で積極的な利上げが進む中、世界経済の急速な冷え込みを警戒した投資家のリスク回避目的の円買い・ドル売りが優勢となった。スイスフランやポンドなど欧州通貨に対してドル安が進んだ影響も受けた。
6月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数や5月米住宅着工件数、前週分の米新規失業保険申請件数など、この日発表の米経済指標が軒並み低調だったこともドル売り要因となった。一時は3.4910%前後まで急伸した米10年債利回りが3.17%台まで急速に低下したこともドル売りを促し、一時131.46円まで値を下げた。市場では『世界的な金融引き締め加速で、日銀がイールドカーブ・コントロール(長短金利操作、YCC)を一部修正するとの思惑が浮上している』『SNBのサプライズ利上げのように、日銀も政策修正のサプライズがあるかもしれない』との声も聞かれた。 

 

ユーロ/ドルは、スイスフランやポンドに対してドル安が進むと、ユーロに対してもドル売りが先行した。米長期金利が低下に転じたこともユーロ買い・ドル売りを促し、前日の高値1.0508ドルを上抜けて一時1.0601ドルまで上値を伸ばした。市場では『注目イベントであった米連邦公開市場委員会(FOMC)を通過した安心感からポジション調整目的のユーロ買い・ドル売りが入った』との指摘もあった。なお、ドルスイスフランは一時0.9632スイスフランまで大幅に下落したほか、ポンド/ドルは1.2406ドルまで上昇した。主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時103.42まで低下した。

 

NY原油先物市場は3営業日ぶりに反発:供給不安根強く買い戻し

NY原油先物市場は110.43ドル-115.73ドルのレンジ相場となった。世界各国の金融引き締め策を受けて株式市場が崩れたため、原油にも売りが観測されて一時112.31ドルまで下落した。ただ、世界的な需給ひっ迫懸念が根強いなかで一巡後は買い戻しが優勢となった。 ニューヨーク市場の中盤にかけて110.43ドルまで売られたが、主要通貨に対するドル安が進行したことや米国がイランに対する新たな制裁措置を発表したことを受けて供給不安が再燃し、原油先物を買い戻す動きが活発となった。通常取引終了後の時間外取引で一時115.73ドルまで買われている。

 

NY金先物市場は続伸:リスク回避とドル安を好感した買い優勢

NY金先物市場は1816.30-1858.00ドルのレンジ相場となった。スイス中銀や英中銀など世界各国の中銀が金融引き締めに動いたことで株式市場が下落し、安全資産としての金需要が高まった。外国為替市場でのドル売りで金の割高感が後退したことも支えとなった。ロンドン市場で1816.30ドルまで下げたが、主要通貨に対するドル安進行を受けて反転した。ニューヨーク市場では米長期金利の続落や株安を意識した買いが強まり、通常取引終了後の時間外取引で1858.00ドルまで上昇した。

 

米国債券市場は続伸:世界経済への減速警戒感から買い優勢

米国債券市場で中長期ゾーンは続伸(利回りは低下)した。米2年物国債利回りは前営業日比0.11%低い(価格は上昇)3.10%で終了した。また、米10年物国債利回りは前営業日比0.09%低い3.19%で終了した。世界中で積極的な利上げが進む中、世界経済の急速な冷え込みが警戒されて、相対的に安全資産とされる米国債に買いが入った。米国株の大幅下落も債券買いを誘った。 

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