FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場は下落:米国での金利の急伸を警戒した売り優勢に

NYダウは368.03ドル安の34792.76ドル、ナスダックは278.42ポイント安の13174.65ポイントで取引を終了した。3月の景気先行指数が過去最高を記録し、失業保険継続受給者数が1970年来で最小となる好調な経済指標を好感し、寄り付き後は上昇した。その後、連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が利上げペースを若干加速させる必要性に言及し5月連邦公開市場委員会(FOMC)でも0.5%ポイントの利上げも選択肢になることを確認すると、売りに拍車がかかり下落に転じた。金利の急伸を警戒し、引けにかけて下げ幅をさらに拡大した。VIX指数は20.32から22.68へ上昇した。

 

NY外国為替市場:FRBの金融引き締め加速が意識されドル底堅い展開

ドル/円は、日米金融政策の方向性の違いが改めて意識される中、円売り・ドル買いが先行した。米10年債利回りが2.95%台まで上昇したことも相場の支援材料となり、一時128.70円と日通し高値を付けた。前日のG7財務相・中央銀行総裁会議では、鈴木俊一財務相が急速な円安への危機感を訴えたものの、各国から反応はなく、市場では『為替介入は難しいとの見方を裏付ける結果になった』との声が聞かれた。G7会合ではロシアのウクライナ侵略の下での国際経済が主な議題で、為替は主要な議題ではなかった。ただ、買いが一巡すると伸び悩む展開になった。高く始まった米国株相場が下げに転じ、軟調に推移するとリスク回避の円買い・ドル売りが優勢となり、128.07円付近まで下押しした。なお、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は国際通貨基金(IMF)主催のパネルディスカッションに参加し『インフレのピークは3月かもしれないが、それは分からない』『3月にピークを迎えたとは考えていない』『5月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.50%の利上げを検討する』などと発言した。FRBの金融引き締め加速が意識され、米金融政策の影響を受けやすい米2年債利回りは一時2.7261%前後と2018年12月以来の高水準を付ける場面があった。 

 

ユーロ/ドルは、欧州市場ではデギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁の発言を受けて一時1.0936ドルと日通し高値を付けたものの、NY市場では上値の重さが目立った。11日の高値1.0954ドルがレジスタンスとして意識されたほか、米長期金利の上昇に伴うドル買いが入り一時1.0831ドル付近まで下押しした。なお、ラガルドECB総裁はIMF主催のパネルディスカッションで『6月理事会では資産購入プログラム(APP)終了が鍵。金利の道筋を示唆する可能性もある』『我々は為替の目標を持っていない。為替動向は注視する』などと語った。 

 

NY原油先物市場は続伸:供給不安から買い優勢

NY原油先物市場は102.01ドル-105.42ドルのレンジ相場となった。ウクライナ侵攻を受けた制裁による欧米のロシア産原油の輸入停止に加え、石油輸出国機構(OPEC)加盟国の一角リビアにおける一部油田や輸出ターミナルの閉鎖が供給不安を誘った。アジア市場で102.01ドルまで下げた後、供給不安は払しょくされていないことから、ニューヨーク市場の中盤にかけて105.42ドルまで上昇した。ただ、米長期金利の上昇や株安を意識して上げ渋り、通常取引終了後の時間外取引では104ドルを挟んだ水準で推移した。

 

NY金先物市場は3日続落:米金利の上昇を嫌気した売り優勢

NY金先物市場は1938.00-1960.10ドルのレンジ相場となった。米金利の上昇を受け、金利を生まない資産である金の相対的な価値低下が重しとなった。米10年債利回りは一時2.95%台まで上昇した。10年債利回りの上昇一服後も、米金融政策の方向性と連動しやすい2年債の利回りは2.72%台へ上昇し、2018年12月以来の高水準を付けた。アジア市場の序盤で1960.00ドルまで買われた後、ロンドン市場で1938.00ドルまで下げた。ただ、ニューヨーク市場では株安を意識した買いが入ったことで下げ止まり、長期金利の上昇が嫌気されたものの、通常取引終了後の時間外取引で1955.70ドルまで戻している。

 

米国債券市場は下落:米FRBが積極的に利上げ実施との見方から売り

米国債券市場で中長期ゾーンは下落(利回りは上昇)した。米2年物国債利回りは前営業日比0.13%高い(価格は下落)2.69%で終了した。また、米10年物国債利回りは前営業日比0.08%高い2.91%で取引を終了した。米連邦準備理事会(FRB)がインフレに対応するため、積極的な利上げを実施していくとの見方から債券売りが広がった。なお、パウエルFRB議長はこの日、『迅速な行動が適切』『5月会合では0.50%の利上げを検討する』などと発言した。

 

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