FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場はまちまち:米FOMC議事要旨でタカ派色強まらず下げ幅縮小

NYダウは54.57ドル安の34934.27ドル、ナスダックは15.66ポイント安の14124.09ポイントで取引を終了した。ウクライナ情勢で、ブリンケン国務長官がロシア軍が撤収している確認がとれないとしたほか、NATOのストルテンベルグ事務総長もむしろ増強しているように見えると警告し東欧の防衛強化を決定したため、ロシアのウクライナ侵攻懸念が再燃し、寄り付き後は下落した。指数は一時340ドル超下落した。その後、連邦準備制度理事会(FRB)が1月開催分の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨でメンバーが間もなく利上げが適切になると主張したものの3月FOMCでの大幅利上げの必要性などには触れずタカ派色が強まらなかったため金利の低下が好感され、引けにかけて下げ幅を大幅に縮小した。VIX指数は25.70から24.29へ低下した。

 

NY外国為替市場:ウクライナ情勢に振れる展開

ドル/円は、米商務省が発表した1月米小売売上高が前月比3.8%増、自動車を除く数値が前月比3.3%増といずれも予想を上回ったことを受けて、円売り・ドル買いが先行し一時115.79円付近まで値を上げた。ただ、日本時間夕刻に付けた日通し高値115.79円が目先レジスタンスとして働くと失速した。ウクライナ情勢を巡る地政学リスクへの警戒が根強い中、ブリンケン米国務長官が『ロシア軍撤収の証拠はない』『ロシア軍主力部隊はむしろ国境に接近している』と述べるとリスク回避の円買い・ドル売りが優勢となり、115.38円まで値を下げた。その後、米10年債利回りが2.0627%前後と2019年7月以来の高水準を付けると115.56円付近まで下げ渋ったものの、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(1月25日-26日分)公表後は米長期金利の低下とともにドル売りが再び優勢になり、一時115.32円と日通し安値を更新した。なお、FOMC議事要旨では『当局者はバランスシートの大幅縮小が適切と認識』『バランスシートの計画は今後数会合で決定』『多くの当局者は将来のMBS売却の可能性を認識』との内容が明らかになったが、バランスシート縮小について明確なガイダンスは示されなかった。市場では『サプライズはなかったが、市場は前のめりでバランスシート縮小について具体的な内容を織り込んでいただけに、金利低下とドル売りで反応した』との声が聞かれた。 

 

ユーロ/ドルは、ロシアは前日にウクライナ国境付近に展開していた一部軍部隊の撤収開始を発表したものの、この日になってもロシア軍の撤退が確認できず、ウクライナ情勢を巡る地政学リスクへの警戒は緩まなかった。予想を上回る米小売指標も相場の重しとなり、一時1.1353ドル付近まで下押しした。ただ、アジア時間に付けた日通し安値1.1345ドルが目先サポートとして働くと買い戻しが優勢になった。米長期金利の低下に伴うユーロ買い・ドル売りも入り、FOMC議事要旨公表後には一時1.1396ドルと日通し高値を付けた。 

 

NY原油先物市場は反発:ウクライナの地政学リスクが継続し買い優勢

NY原油先物市場は90.06ドル-95.01ドルのレンジ相場となった。『ロシア軍の撤退は確認できていない』との発言が相次ぎ、ロシア軍によるウクライナ侵攻の可能性が残されていることが警戒され、原油相場は反発した。米エネルギー情報局(EIA)が発表した在庫統計で、原油在庫は112.1万バレルの積み増しと在庫減の予想に反して増加と3週間ぶりの積み増しに転じたが、在庫統計を手がかりとした売りは一時的にとどまった。ニューヨーク市場の中盤にかけて95.01ドルまで買われた。しかしながら、供給不足懸念は後退しつつあることから、ポジション調整的な売りが広がった。通常取引終了後の時間外取引で90.06ドルまで下げている。

 

NY金先物市場は反発:ウクライナリスクが意識され買い優勢に

NY金先物市場は1851.80-1874.60ドルのレンジ相場となった。昨日はロシアが軍部隊の一部撤収を開始したことやロシアのプーチン大統領が米欧と協議を継続する意向を示したことで8日ぶりに反発したが、この日は北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長やゼレンスキー・ウクライナ大統領、ブリンケン米国務長官らが『ロシア軍撤収は確認されていない』とし、再びウクライナリスクが意識され、逃避資産の金が買われた。アジア市場で1851.80ドルまで売られたが、ロシアと西側諸国とのすみやかな緊張緩和を期待することは難しいとの理由で下げ渋り、ロンドン市場で1860ドル台を回復。ニューヨーク市場の序盤に1860ドルを下回る場面があったが、ドル高が一服したことから、通常取引終了後の時間外取引で1874.60ドルまで反発した。

 

米国債券市場はまちまち:売り買い交錯して方向感出ず

米国債券市場で中期ゾーンは上昇(利回りは低下)した。米2年物国債利回りは前営業日比0.05%低い(価格は上昇)1.51%で終了した。また、長期ゾーンは前営業日と変わらずだった。米10年物国債利回りは前営業日比変わらず2.04%で終了した。ウクライナ情勢を巡る地政学リスクへの警戒が根強い中、債券買いが先行したものの、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(1月25日-26日分)を控えて売りが強まると、利回りは一時2.0627%前後と2019年7月以来の高水準を付ける場面があった。ただ、そのあとは再び買いが優勢となり持ち直した。

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