FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場は上昇:ウクライナ情勢の緊迫化一服で買い戻し

NYダウは422.67ドル高の34988.84ドル、ナスダックは348.84ポイント高の14139.76ポイントで取引を終了した。ロシアが軍の一部撤収開始を発表したため、ウクライナ侵攻懸念が緩和し、寄り付き後は上昇した。プーチン大統領がドイツのショルツ首相と会談し引き続き外交的解決に前向きである姿勢を強調したことやブリンケン国務長官とラブロフ露外相の電話会談などもプラス材料となり、終日堅調に推移した。引けにかけて、バイデン大統領がロシア軍の撤収が未確認としたものの、パンデミック収束に伴う経済再開銘柄の買いが相殺し、上げ幅を拡大した。VIX指数は28.33から25.70へ低下した。

 

NYが国為替市場:リスク選好から米長期金利上昇でドル買い

ドル/円は、ウクライナ付近のロシア軍の一部が撤収するとの報道が流れ、ロシアによるウクライナ侵攻への警戒感がやや後退すると円売り・ドル買いが先行した。プーチン露大統領が安全保障を巡り米欧との協議を継続する意向を示したことも、投資家のリスク回避姿勢後退につながった。1月米卸売物価指数(PPI)が予想を上回り、米長期金利が上昇したこともドル買いを促し、前日の高値115.75円を上抜けて一時115.87円まで上値を伸ばした。プーチン露大統領はこの日、モスクワで行われたショルツ独首相との会談後の記者会見で、『米国、北大西洋条約機構(NATO)と安全保障に関するさらなる交渉の用意ある』『部隊の一部撤収は決定済み』『我々は欧州で戦争を望まない』などと述べた。一方、ショルツ独首相は『軍事衝突を起こさず、平和的な進展を確実にすることが鍵』『軍事衝突が起きた場合、その後どのような展開になるかは極めて明確』などと語った。また、バイデン米大統領はNY午後に開いた会見で『米国はロシアとの外交的関与の準備がある』としながらも、『ロシアがウクライナに侵攻する可能性はまだ高い』『ロシア軍部隊の撤収はまだ確認していない』『ロシアがウクライナに侵攻すれば断固として対応する用意』などと述べた。 

 

ユーロ/ドルは、1月米PPIが予想を上回り、米10年債利回りが2.05%台まで上昇すると、1.1320ドル付近まで下押しする場面もあったが下値は限定的だった。ロシアによるウクライナ侵攻が回避されるとの期待感が高まり、欧米株価が大幅に反発した。投資家のリスク回避姿勢が和らぎ、全般ユーロ買いが優勢となり、一時1.1368ドルと日通し高値を更新した。なお、ビルロワドガロー仏中銀総裁は『従来の資産購入プログラム(APP)は第3四半期に終了できる可能性』『6月のECB理事会前に利上げする必要はない』などと述べたが、相場の反応は限られた。

 

NY原油先物市場は5日ぶりに急反落:ウクライナ情勢の緊迫化後退で売り

NY原油先物市場は90.66ドル-95.17ドルのレンジ相場となった。緊迫するウクライナ情勢をめぐり、ロシア軍の一部が撤収を始めたと伝えられたことで、軍事侵攻が回避されるとの期待感が広がり、ウクライナ情勢の緊迫化を背景に買われた原油相場に調整の売りが入った。アジア市場で95.17ドルまで買われたが、ロシアがウクライナ近郊から部隊の一部を撤退させたことを受け、ロシアと西側諸国との緊張緩和が示唆されており、供給不足懸念は和らぎ、ポジション調整的な売りが広がった。一時90.66ドルまで下落したが、株高を意識して92ドル台前半まで戻しており、通常取引終了後の時間外取引では92ドルを挟んだ水準で推移した。

 

NY金先物市場は8日ぶりに反落:地政学リスク回避の動き後退で売り

NY金先物市場は1845.40-1881.60ドルのレンジ相場となった。ロシアが西部と南部の軍管区の軍部隊の一部が演習を終え、撤収を開始すると発表し、ロシアのプーチン大統領が米欧と協議を継続する意向を示した。これを受けてウクライナ情勢への過度な警戒感が緩み、投資家のリスク回避の動きが後退し、逃避資産の金に売りが入った。アジア市場で1881.60ドルまで買われたが、ロシアがウクライナ近郊から部隊の一部を撤退させたことを受け、ロシアと西側諸国との緊張緩和が示唆されており、安全逃避的な金買いは縮小した。ニューヨーク市場の序盤にかけて1845.40ドルまで反落した。ただ、押し目買いも観測されており、通常取引終了後の時間外取引では1850ドル台で推移した。

 

米国債券市場はまちまち:リスク回避の動き後退で長期債に売り

米国債券市場で中期ゾーンは上昇(利回りは低下)した。米2年物国債利回りは前営業日比0.01%低い(価格は上昇)1.56%で終了した。また、長期ゾーンは下落(利回りは上昇)した。米10年物国債利回りは前営業日比0.06%高い(価格は下落)2.04%で終了した。ウクライナを巡る緊張が和らいだことで、相対的に安全資産とされる米国債には売りが先行した。1月米卸売物価指数(PPI)が予想を上回ったことも相場の重しとなった。 

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