FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場はまちまち:オミクロン感染のピーク報道や米国の強い成長予想

NYダウは162.79ドル安の36068.87ドル、ナスダックは6.93ポイント高の14942.83ポイントで取引を終了した。12月のタカ派連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨を受けて、連邦準備制度理事会(FRB)が市場が予想していたよりも速やかなペースで金融緩和引き締めを進めるとの警戒感に寄り付き後は下落した。金利の上昇で、ハイテクも売られた。その後、ニューヨーク市のオミクロン感染がピークを打った兆候が見られるとの報道やJPモルガンのダイモンCEOがインタビューで、消費が強く、経済もここ数十年で最も強い成長を予想しているとの楽観的見解を明らかにすると、NYダウは下げ幅を縮小した。ハイテクは金利上昇が一段落したため、引けにかけて買われナスダックは小幅上昇で終了した。VIX指数は18.76から19.40へ上昇した。

 

NY外国為替市場:米露会談への警戒感から全般リスク回避

ドル/円は、ウクライナ情勢を巡る米露会談への懸念から欧州株価が軟調に推移すると、リスク回避目的の円買い・ドル売りが先行した。米金融政策の正常化が想定より速いペースで進むとの警戒が急速に強まる中、NYダウが一時590ドル超下落したことも相場の重石となり、一時115.01円と日通し安値を更新した。なお、米ゴールドマン・サックスは米連邦準備理事会(FRB)の今年の利上げ回数予想を従来の3回から4回に引き上げ、資産圧縮の開始時期も12月から7月に前倒しした。また、JPモルガン・チェースも前週末に利上げ開始の予想時期を6月から3月に早めた。米10年債利回りは一時1.8064%前後と2020年1月以来約2年ぶりの高水準を付け、一段の金利上昇への警戒感が強まった。市場関係者からは『11日のパウエルFRB議長の公聴会や12日の12月米消費者物価指数(CPI)など重要イベントを控え、インフレ動向などを踏まえた米利上げの開始時期やペースに関心が集まっている』との声が聞かれた。 

 

ユーロ/ドルは、ウクライナ情勢を巡る米露会談への警戒感から全般ユーロ売りが先行した。欧州株相場が軟調に推移するとリスク回避のドル買いも優勢となり、一時1.1285ドルと日通し安値を更新した。ただ、4日の安値1.1272ドルが目先サポートとして働くと徐々に下げ渋る展開になった。ユーロ/スイスフランやユーロ/NZドルなど一部ユーロクロスの上昇につれた買いが入ったほか、スイス・ジュネーブで相互安全保障に関する第1回米露協議が開始されたこともショートカバーを誘った。米露による『戦略安保対話』はこの日、ジュネーブで開催された。ウクライナを中心とする欧州の安全保障に関する協議が行われたものの、双方の溝は埋まらず、ロシアは米国が受け入れられないとする要求を改めて示した。もっとも、両政府は米露間の問題に関するより詳細な議論を行うために近く再び会合を開くことに前向きで、協議を継続する方針で一致した。 

 

NY原油先物市場は続落:カザフスタンのデモ沈静化で売り優勢に

NY原油先物市場は77.83ドル-79.45ドルのレンジ相場となった。中央アジアの産油国・カザフスタンでは、大規模な反政府デモが沈静化されたと報じられた。同国の油田も通常操業に向けて回復中であると伝わり、週明け原油相場の売りに繋がった。もっとも石油輸出国機構(OPEC)の加盟国・リビアから供給が減少するとの懸念は残り、78ドル割れでは下げ渋った。ロンドン市場で79.45ドルまで買われたものの、中央アジア周辺における地政学的リスクがやや低下したことや株安を意識して売りが優勢となり、一時77.83ドルまで下落した。通常取引終了後の時間外取引では主に78ドル台前半で推移した。

 

NY金先物市場は小幅に続伸:米国株安を意識して下げ渋る

NY金先物市場は1789.30-1802.00ドルのレンジ相場となった。安全保障を巡る米露協議を見極めたいとする向きが多く、1800ドルを挟み方向感が出づらかった。NY序盤に為替相場でドル高・ユーロ安が進んだ場面では、割高感が生じたドル建ての金に売りが入ったものの、その後にドルが弱含むと下値を切り上げた。ロンドン市場の中盤にかけて1802.00ドルまで買われた後、1789.30ドルまで下げたが、株安を意識して下げ渋った。押し目買いの興味は残されており、通常取引終了後の時間外取引では1800ドル近辺で推移した。

 

米国債券市場はまちまち:米金融政策の正常化へ向けた売り優勢

米国債券市場で中期ゾーンは下落(利回りは上昇)した。米2年物国債利回りは前営業日比0.03%高い(価格は下落)0.89%で終了した。また、長期ゾーンは横ばいだった。米10年物国債利回りは前営業日比変わらずの1.76%で終了した。米金融政策の正常化が想定より速いペースで進むとの見方から、この日も売りが先行した。利回りは一時1.8064%前後と2020年1月以来約2年ぶりの高水準を付けた。ただ、引けにかけては買い戻しが優勢となり、前営業日比横ばいで取引を終えた。なお、米連邦準備理事会(FRB)はパウエル議長の米上院銀行委員会での事前原稿を公表。パウエル議長は『米経済は速いペースで拡大しており、労働市場は力強い』『ツールを活用して経済と労働市場を支え、高インフレが定着するのを防ぐだろう』との認識を示すと伝わった。 

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