FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場は下落:米長期金利の上昇を嫌気した売り優勢に

NYダウは153.07ドル安の32862.30ドル、ナスダックは409.03ポイント安の13116.17ポイントで取引を終了した。米国とロシアの対立悪化、バイデン政権がより強硬な姿勢で臨むとされるアラスカ州での米中外交トップ会談を控えた地政学的リスクへの懸念に寄り付き後は下落した。しかし、前日の米連邦公開市場委員会(FOMC)金利見通しで、2023年末まで事実上のゼロ金利政策が続くとの予想が据え置かれると、金融緩和策が当面継続されるとの安心感が広がり、株式への買いが優勢となった。NYダウは一時210ドル超上昇し、取引時間中の史上最高値を更新した。ただ、米長期金利が1年2カ月ぶりの高水準に上昇したことで、相対的な割高感が意識されやすいハイテクなど高PER(株価収益率)銘柄を中心に売りが強まると、指数は下げに転じた。原油先物価格の急落で石油株が売られたことも指数の押し下げ要因になった。VIX指数は19.23から21.58へ上昇した。

 

NY外国為替市場:米長期金利上昇で一時ドル急騰

ユーロ/ドルは、米連邦準備理事会(FRB)が前日の米連邦公開市場委員会(FOMC)でゼロ金利政策を長期間続ける方針を示したことを受けて、欧州序盤には1.1989ドルまでユーロ高・ドル安が進んだ。ただ、米10年債利回りが一時1.7526%前後と昨年1月以来の高水準まで急騰すると、ドル全面高の様相となりユーロ/ドルにも売りが出て一時1.1906ドルと日通し安値を更新した。原油先物価格の急落や米国株の下落を背景に、リスク回避のドル買いも入った。カステックス仏首相はこの日、パリ地域のロックダウン(都市封鎖)を行うと発表した。同首相は16日に新型コロナウイルスの国内新規感染件数の7日平均が昨年11月20日以来初めて2万5000件を超えたと明らかにし、これにより同国は感染拡大第3波に入ったとの見解を示していた。 

 

ドル/円は、欧州市場では米長期金利の上昇に伴うドル買いが目立ったものの、NY市場では上値の重さが目立った。前週分の米新規失業保険申請件数や2月米景気先行指標総合指数が予想より弱い内容となったことが相場の重石となったほか、原油安を背景に資源国のクロス円が下落した影響を受け、一時108.82円付近まで下押しする場面があった。

 

カナダドルは、WTI原油先物相場が7%超急落したことを受けて、産油国通貨であるカナダドルに売りが出た。カナダドル円は一時86.89円と日通し安値を付けたほか、米ドルカナダドルは1.2527カナダドルまで米ドル高・カナダドル安が進んだ。

 

NY原油先物市場は5日続落:ドル高を嫌気した売り優勢

NY原油先物市場は58.28ドル-64.88ドルのレンジ相場となった。昨日に米エネルギー情報局(EIA)が発表した石油在庫統計で原油在庫が4週連続の在庫積み増しとなり、石油製品在庫も予想外の積み増しとなったことが重石となる中、為替市場で米長期金利の上昇に伴いドル高・ユーロ安が進み、ドル建ての原油は一本調子で下落した。欧州でコロナ感染が再拡大しているのも、原油の売りを後押しした。ニューヨーク市場の序盤にかけて64.88ドルまで買われたが、米長期金利の上昇やドル高を警戒して売りが急速に強まる展開となった。米国株式の反落も嫌気され、通常取引終了後の時間外取引で59ドルを下回り、一時58.28ドルまで一段安の展開となった。

 

NY金先物市場は小反発:米長期金利上昇とドル高を警戒で上値も限定的

NY金先物市場は1716.60-1754.20ドルのレンジ相場となった。昨日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果公表を受けて早期の引き締め観測が後退し、金は買いが先行した。ただ、米長期金利の上昇に伴い為替市場でドル高が進み、ドル建ての金に売りも入り、上値は限られた。アジア市場で1754.20ドルまで買われたが、米長期金利の上昇を警戒した売りが次第に強まり、ニューヨーク市場の序盤にかけて1716.60ドルまで反落した。ただ、現行の金融緩和策は長期間維持される可能性が高いとの見方は変わらず、押し目買いも観測されており、通常取引終了後の時間外取引で1735.50ドルまで戻している。

 

米国債券市場は米景気回復基調が強まるとの観測から売り優勢

米国債券市場で長期ゾーンは3日続落(利回りは上昇)した。米10年物国債利回りは前営業日比0.07%高い(価格は下落)1.71%で終了した。米追加経済対策や新型コロナワクチン普及で米景気の回復基調が強まるとの楽観が続き、相対的に安全資産とされる米国債には売りが継続した。10年債利回りは一時1.7526%前後と昨年1月以来約1年2カ月ぶりの高水準を付けた。市場では『米景気回復が進み、6月のFOMCでは利上げ時期が前倒しされるとの観測が根強く、債券売りを誘っている』との指摘があった。 

 

 

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